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国立西洋美術館 常設展 2025.11

2025年11月に東京・国立西洋美術館で開催されている常設展「フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”」他を鑑賞した感想

目次

国立西洋美術館・常設展示2025.11

概要

  • 展示:フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”
  • 期間:2025年10月25日[土]-2026年5月10日[日]
  • 場所:国立西洋美術館・14-18世紀展示室
  • 展示:物語る黒線たち――デューラー「三大書物」の木版画
  • 期間:2025年10月25日[土]-2026年2月15日[日]
  • 場所:国立西洋美術館・版画素描展示室(常設展示室内)
  • 展示:コレクション・イン・フォーカス|Collection in FOCUS
  • 期間:2025年3月11日[火] -2026年2月予定
  • 場所:国立西洋美術館・本館2階・新館1階

感想

■フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”

美術館の展示でたまにおこなわれる、離れた美術館にある作品を並べて鑑賞できるという企画は、その機会が貴重なので、興味ある作品が並ぶときは鑑賞に赴いている。

今回の2つの作品をみると、人物を主体とするさまざまな生き物が描かれ、西国の所蔵作品は悪魔のような姿も見られる。また、背景の建物、空や森の表現も美しく、細部まで丁寧に描かれており、絵画の中を探索する楽しみもある。

両作品はサイズと黄金色の装飾が一致しており、説明にこの作品は祭壇装飾絵画で、他に複数の作品があった可能性が示唆されている。2枚並んでいるだけでもどこかの教会や館の壁に並べて展示されていた様子が思い浮かんだ。

額縁はそれぞれの所蔵館で用意しているためか意匠が異なっており、作品が現在は違う場所で所蔵されていることを意識させる。各館の努力によって異なる館で保管されている作品の出会いがあるということは、今後より多くのシリーズ作品が同時に鑑賞できるかもしれないので、より多くの作品が集まって展示されることを期待したい。

詳細な絵画の説明は展示室で配布されているリーフに記されている。

フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”
フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵―100年越しの“再会”

フルーニング(グルーニング)美術館(Groeninge Museum)はベルギーのブルージュ(Bruges)にある美術館で1400年頃〜近現代のフランドル絵画を収蔵している教会を改修した美術館。

■物語る黒線たち――デューラー「三大書物」の木版画

展示は以下の章構成となっている。

  • 黙示録
  • 大受難伝
  • 聖母伝
  • 黒線の芸術
  • デューラーを触発した先行者たちの作品
  • デューラーの版画の影響力と作品のコピーライト

詳細な説明は公式サイトで配布されるPDFに詳しく載っている。

展看板挿絵にもなっている「黙示録の四騎士」語感が厨二心をくすぐる。
デューラーの作品では4人まとめて描かれてるけれど、『ヨハネの黙示録』では第6章でバラバラに登場する。

この四騎士は仏教の四天王とは意味合いがぜんぜん違うけれど、物語の中に目的、役割を持った集団が居るという共通性が面白いと思う。

デューラー「三大書物」の木版画・国立西洋美術館
デューラー「三大書物」の木版画・国立西洋美術館

■コレクション・イン・フォーカス|Collection in FOCUS

  • 国立西洋美術館における額縁の保存・修復(本館2階)
  • 幻想の実験場――「聖アントニウスの誘惑」が醸成した想像力をめぐって(本館2階)
  • クールベとパリ・コミューン(新館2階)
  • ブラックの静物画―手で触れることのできる空間を求めて(新館1階)

国立西洋美術館における額縁の保存・修復(本館2階)

額縁修復にも予算が必要なわけで、今回予算が取れたのを機に移動用額装のままだったヨルダーンス《聖家族》の額縁を修復し本来の額縁に戻した記録とその作業について解説されている。

ヨルダーンス《聖家族》国立西洋美術館
ヨルダーンス《聖家族》国立西洋美術館

幻想の実験場――「聖アントニウスの誘惑」が醸成した想像力をめぐって(本館2階)

所蔵の3つの「聖アントニウスの誘惑」ダフィット・テニールス (子)、アンリ・ファンタン=ラトゥール、ジャン=ルイ・フォラン、を展示し、同じ主題から生みだされた異なる表現を比べて楽しめる。

ダフィット・テニールス (子)「聖アントニウスの誘惑」国立西洋美術館
ダフィット・テニールス (子)「聖アントニウスの誘惑」国立西洋美術館

この展示のそばにギュスターブ・フロベールの文学作品「聖アントワーヌの誘惑」 にルドンの挿絵が入った本を展示している。

ギュスターブ・フロベール「聖アントワーヌの誘惑」挿絵 オルディン・ルドン 国立西洋美術館
ギュスターブ・フロベール「聖アントワーヌの誘惑」挿絵 オルディン・ルドン 国立西洋美術館

残りの2つ、クールベとパリ・コミューン(新館2階)ブラックの静物画―手で触れることのできる空間を求めて(新館1階)はわりと駆け足で行ってしまったのでそのうち追記するか別ページをつくるかもしれない。

まとめ

2025.11の展示では、《城の見える風景》バルトロメオ・モンターニャ (に帰属)、《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》ヴィルヘルム・ハマースホイ、《アッター湖の鳥》グスタフ・クリムト(初展示作品)、《カロリーヌ》アルベルト・ジャコメッティ(初展示作品)など多くの素晴らしい作品を鑑賞できる。

企画展示室に入る人の量と、常設展の混み具合がマッチしているとは思えず常設展はスルーされているように思われる。常設展は多くの素晴らしい作品が展示されているので、企画展示室を見た後は常設展示に足を運んで欲しいと思う。

常設展示のみ鑑賞する場合、入館料500円(ぐるっとパス利用で400円)となっており、充実した展示をこの価格で鑑賞できるのはほんとうにありがたい。

関連リンク

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更新履歴

  • 2025.11.17

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