PENTAX K20D
サムスンAPC-Cセンサー搭載デジタル一眼レフ
一眼レフカメラ・PENTAX K20Dのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影レンズは、LEICA ELMAR 65mmとULTRON 40mm SL
レビュー
1.概要
PENTAX K20Dは2008年にペンタックス株式会社名義で発売された最後の一眼レフカメラ。
K20Dはミドルレンジの一眼レフカメラで各社のAPS-Cサイズセンサーを積んだ普及価格帯のカメラと競合するデジタル一眼レフカメラだ。
カメラの心臓部である画像センサーに、サムスンテックウィン、サムスン電子、ペンタックスの3社で共同開発した1460万画素APS-CサイズCMOSセンサー(以下、サムスン製センサーと呼ぶ)を積んでおり、センサー駆動による手振れ補正機構・Shake Reduction(SR)を搭載し、ライブビューが使用可能だ。
バッテリーはD-LI50で、KONICA MINOLTA NP-400、SIGMA BP-21、BP-22と互換性がある。
連射速度は3コマ/秒だが、フォーカス、絞り固定で21コマ/秒で撮影できる。これはライブビューの画像を記録しているだけだ。
M42マウントレンズを使う場合は、PENTAX純正の場合はマウントアダプターK、定価4200円を使う。
2.使用感
K20Dの動作はパワーオンから、撮影に入るまでのタイムラグも少なく、電源の回転式スライドスイッチを右に回すと電源が入り、オートフォーカスレンズであれば、そのまま撮影に移ることができる。さらに右に回すとライブビューモードになるが、さすがに画像処理が洗練されていないようで、もっさりとしたライブビューとなっている。
マニュアルフォーカスレンズの場合、手ぶれ補正をオンにしていると焦点距離の入力を求められるため、使用しているレンズが変わらなくても、毎回OKボタンを押す必要があるのは少々煩わしい。
手ぶれ補正が不要な状況であれば、手ぶれ補正をオフにしておくほうがスムーズに撮影できる。
撮影画像は比較的コッテリとしており、ペンタックスの絵作りだけだなくセンサーそのものの癖を感じる。とくにDNGとJPG(標準)を同時記録すると両者の画像の明るさの違いに少々戸惑う。DNGは暗めに記録されており、JPGは明るさ1を持ち上げた状態で記録されている。もちろん、DNGの露出を増やせばJPGと同等の画像を作ることはできる。
中級機なのでカメラ右肩に情報ディスプレイを備え、メモリーカードの蓋は回転式のロックが装備されており、縦位置グリップが供給されている。
このカメラは二度購入しており、最初に購入したチタンカラーのK20DはM42レンズを活用するために購入したのだがタイミングが悪く、K20D購入の少し後に発売された35mm判フルサイズセンサーを搭載したSONY α900を購入したため、M42マウントレンズもフルサイズセンサーで使用するほうが理にかなっていたので、K20Dは少しの期間使用して売ってしまった。
二度めは、通常のブラックモデルをフリマサイトで格安だったので購入した。M42レンズもKAレンズなどマニュアルフォーカスのレンズは、マウントアダプターを使用すると、ミラーレスカメラでも使用できるため、純粋にK20Dの実力を再確認したかったので購入した。購入して使っていると、価格以上の価値はあり、小気味よいシャッターで撮影していて楽しいカメラだ。
M42レンズを使うためのマウントアダプターKは、2025年1月現在、公式サイトでは品切れ中。他社からの互換品は売られている。このアダプターは比較的ルーズなアダプターなので、レンズ装着時は多少がたついたりするが、これは純正でも同じだ。
3.付加情報
・サムスン製センサー
PENTAX側の画像処理が熟れていないためかもしれないが、撮影画像のノイズは同時代のカメラの中でもノイズが多く、低ISOで撮影しても光量によってノイズが浮いてくる。
600万画素の時代からすでにAPS-Cサイズ以上のセンサーはソニーとキヤノンの独壇場となっており、新たなメーカーのセンサーの描写に期待したが、当時のソニーとキヤノンとそれほど差のある画質とは感じられなかった。
開発を継続していれば、花開く可能性があったかは分からないが、同連合による大型センサーはこれ以降、新たに開発されていない。
・ペンタックスレンズ
M42レンズから発展した、PENTAXカメラ向けレンズは、マニュアルフォーカスのバヨネットマウントのKAマウント、オートフォーカスのKAF、KAF2、KAF3、KAF4の4種類がある。
K20Dは最新のKAF4の電磁絞りの動作を除くKAF3までのレンズに対応している。K20Dより少し古いK100Dは注意が必要でKAF3レンズを装着するとAFが動作しない。K100Dのマイナーチェンジ版であるK100D SuperからKAF3レンズに対応しており、中古カメラを買う場合は注意が必要だ。
・2020年代のPENTAX
PENTAXの歴史は、1919年の「旭光学工業合資会社」からはじまり、1938年に旭光学工業株式会社、2002年10月にペンタックス株式会社へ社名を変更、2008年3月31日にガラス大手のHOYA株式会社に吸収され、PENTAXイメージング・システム事業部となる。その後、カメラ事業のみ2011年7月29日にリコー株式会社に譲渡され、リコーイメージング株式会社となっている。
会社組織は安定しているようだが、ミラーレスカメラはマイクロセンサーのQシリーズのみですでに製品が終了している。中判センサーカメラも645Z以降リリースがなく、35mmフルサイズセンサーカメラのK-1、K-1 mark-II以降についてアナウンスがない。
現状はAPS-Cサイズセンサー専業のようになっている。
PENTAXブランドは、モノクロ専用機、ハーフサイズフィルムカメラなど、カメラ業界のニッチで生き残る道を模索しているが外からはじり貧に見える。もう一つのブランドRICOHとPENTAXの相乗効果も乏しいため、リコーイメージング株式会社のカメラ事業がどうなっていくのか不安がある。
過去の資産は充実しているので、未来につながる製品を期待したい。
仕様
項目 | K100D | K10D | K20D | K-7 |
画素数 | 610万画素 | 1020万画素 | 1460万画素 | ← |
センサータイプ | CCD | CCD | CMOS | CMOS |
センサーサイズ | APS-C | APS-C | APS-C | APS-C |
ライブビュー | × | × | ○ | ○ |
視野率 | 95% | 95% | 95% | 100% |
手ぶれ補正 | 撮像素子シフト方式 | 撮像素子シフト方式 | 撮像素子シフト方式 | 撮像素子シフト方式 |
最大コマ速 | 2.8コマ/秒 | 3コマ/秒 | 3コマ/秒 21コマ/秒 * | 5.2コマ/秒 |
マウント | KAF2 (パワーズーム不可) KAF KA | KAF3 KAF2 (パワーズーム?) KAF KA | KAF3 KAF2 (パワーズーム対応) KAF KA | KAF3 KAF2(パワーズーム対応) KAF KA |
背面液晶サイズ | 2.5 | 2.5 | 2.7 | 2.7 |
背面液晶解像度 | 21万ドット | 21万ドット | 23万ドット | 23万ドット |
バッテリー | CR-V3リチウム電池2本 単3形電池4本 (リチウム電池、ニッケル水素充電池、アルカリ電池) | D-LI50 | D-LI50 | D-LI90 |
メディア | SD SDHC | SD SDHC | SD SDHC SDXC | SD SDHC SDXC |
サイズ(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 129.5 × 92.5 ×70 | 141.5 × 101 × 70 | 141.5 × 101 × 70 | 130.5 × 96.5 × 72.5 |
重量(g) *:本体のみ **:バッテリー+メディア | 560 * 635 ** | 710 790 | 715 800 | 670 750 |
リリース年 | 2006.7 | 2006.11.30 | 2008.3 | 2008.7 |
会社 | PENTAX株式会社 | PENTAX株式会社 | PENTAX株式会社 | HOYA |
カラー | ブラック | ブラック グランプリパッケージ | ブラック チタン | ブラック シルバー |
オプション
- PENTAX K20D・アクセサリー
- マウントアダプターK・RICHO Imagingストア
- 苦労は2倍、しかしこだわれる──ペンタックス「K20D」と「K200D」の開発者に聞く(前編)・ASCII.jp
- 絵作りの裏技公開──ペンタックス「K20D」と「K200D」の開発者に聞く(後編)・ASCII.jp
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2025.1.7
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