世界初レンズユニット交換式デジカメ GXR

世界初レンズユニット交換式デジカメ GXR

リコー製デジタルカメラ GXRのレビューと写真作例

目次

ギャラリー

レビュー

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1.概要

RICOH GXRはリコーが2009年に発売した、レンズユニット交換式のデジタルカメラ。
GXR自身はバッテリーと液晶ディスプレイを搭載した電子機器となる。
デジタルカメラの核となる、画像処理チップ、レンズ、シャッターなどをまとめたユニットは以下の6種類が発売された。

  • S10 24-72mm F2.5-4.4 VC(1/1.7,1000万画素)
  • A12 50mm F2.5 MACRO(APS-C,1200万画素)
  • P10 28-300mm F3.5-5.6 VC(1/2.3,1000万画素)
  • A12 28mm F2.5(APS-C,1200万画素)
  • MOUNT-A12(APS-C,1200万画素)
  • A16 24-85mm F3.5-5.5(APS-C,1600万画素)

GXRレンズユニット仕様一覧

焦点距離A12 50A12 28A16 24-85MOUNT A12S10 24-72P10 28-300
センサーAPS-C1/1.71/2.3
画素数1230162012301000
焦点距離502824-8524-7228-300
開放F値2.53.5-5.52.5-4.43.5-5.6
手ぶれ補正なしあり
最短撮影距離(mm)7020025010
オプション1外部ファインダー GV-1自動開閉式レンズキャップ LC-3自動開閉式レンズキャップ LC-2
オプション2外部ファインダー GV-2レンズフード LH-2テレコンバージョンレンズ TC-1 
オプション3レンズフード LH-1ワイドコンバージョンレンズ DW-6
オプション4フード&アダプター HA-3

カメラを駆動させる電池は、リチャージャブルバッテリーDB-90(3.6V)を採用しており、こちらはフジフィルムのNP-95と形状、電圧が同じであるため互換性がある。また、各社から互換バッテリーは販売されており、2024年現在も入手は容易である。

GXRのコンセプトは、フィルムを取り替える感覚でレンズとセンサーを取り替えることができると、ユーザーは嬉しいのでは無いか?というところからはじまっていると推測される。

このコンセプトが成功するためには、デジタルカメラの要素部分のうち、GXRが固定とした液晶表示、操作系のボディ部分がカメラを構成する部品の価値が全体の7割から8割を占めた場合に成立したと考えられる。
しかし、GXRが固定とした要素部分の価値は全体の1割から2割程度の割合で、残りの主要な価値は取り替え部分に搭載されたシャッター、センサー、画像処理装置であったため、新ユニットを買うたびにデジタルカメラを1台買うような価格設定になってしまった。

量産効果によって、主要な価値を占めているセンサーやシャッターの価格が下がることを期待したのかもしれないけれど、そうはならず結果的にこのコンセプトは失敗に終わる。

2.使用感

RICOH GXRはリコーの変わり種デジタルカメラの一つだ。

GXRは2度購入していて、最初に購入したのは2011年、二度目は2017年である。一度目はライカMマウント用ユニットMOUNT-A12、リコーと言えばGRの系譜に連なる28mm相当は外せないと言うことでレンズユニットA12-28mmを購入した。

2017年は、ちょうど価格が底の時期で、S10 24-72mm F2.5-4.4 VCMOUNT-A12を購入した。

GXR自身が古いカメラなので、A12-28mmMOUNT-A12など、データ処理量が大きいAPS-Cサイズセンサーを積んだユニットはすべての動作がもっさりしており、町中でスナップを軽快に撮るフィルムのGR1と同じような感覚で撮影することはできなかった。

MOUNT-A12は2011年に発売されライカMマウント、L39マウントレンズが使えて、exif記録のためにレンズ焦点距離を入力できるなど良い点もあった。撮影したの画像を見ていると、さすがにレンズの特徴をよく引き出したセンサーだと感心する。もっさりとした動作でなければもう一度使いたくなる画質だ。

2011年は、35mmフルサイズセンサーを搭載したLEICA M9が主力カメラであったため、APS-Cサイズセンサー +ライカMマウントにそれほどありがたみもなく、液晶ビューファインダー VF-2の視認性の悪さと、動作の遅さからすこし使ったのちにすべて手放した。

3.まとめ

結論として、RICOH GXRをまとめると、フィルムカメラとは異なるアプローチでデジタルカメラを作ってみたけれど、目論見がはずれて失敗に終わったプロダクトだ。

デジタルという特性を生かそうとした挑戦は大手メーカーでは実現が難しい企画であり、これを実現したRICOHの姿勢には賞賛を贈りたい。

モックアップのみだがプリンターユニットも企画されており、価格設定のバランスによっては様々な機器にGXRが付いてまわる未来があったのかもしれない。スマホユニットなどあれば良かったかもしれない。

仕様・比較

MOUNT-A12の競合は、ライカMマウントレンズを使用できる、EPSON R-D1とAPS-Cサイズセンサーを積んだミラーレスカメラだろう。マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいため同じ土俵に乗ることは難しいと考えられる。

EPSON R-D1は2004年の発売、2010年にソニーがミラーレスカメラNEX-3NEX-5というAPS-Cサイズセンサーを積んだミラーレスカメラを発売され、ソニーEマウント向けのライカMマウントレンズアダプターが各社からリリースされている。

APS-CサイズセンサーライカMマウントを使うというユーザーの多くは、ソニーかエプソンユーザーであったと推測される。自身もR-D1は使っていたし、NEX-5とMマウントアダプターでMマウントレンズを使うことはやっていた。

フジフィルムのX-Pro1は2012年の2月の発売で、それよりはGXR MOUNT-A12は先行していたことになる。結果論だが他社の競合プロダクト発売時期から考えると、MOUNT-A12が2009年にGXRと同時リリースされている、もしくは1年遅れの2010年であれば、市場へのインパクトがあり,もう少し販売量も伸びたように思われる。残念ながら2011年発売のMOUNT-A12は発売時期が遅すぎた。

もしくは、2011年に35mmフルサイズセンサーを積んで、10万円程度の価格が実現できれば、そうとうなインパクトをもって市場に受け入れられたかもしれない。しかし、比較的低価格な35mmフルサイズセンサーのキヤノン EOS 6Dが2012年末の発売で、35mmフルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラ、ソニー α7が2015年発売なので、2011年当時の技術でGXRに搭載できるサイズで低価格な35mmフルサイズユニットの開発はそうとう困難であったと考えられる。

モデル名GXRGX100GX200
有効画素数(万画素)可変1000
1/1.75
1240
1/1.7
焦点距離(mm)
35mm判換算
可変24-7224-72
ファインダー外付け
最高シャッター速度可変1/2000
バッテリーDB-90DB-60
背面液晶3.0型カラー液晶
92万画素
2.5型カラー液晶
23万画素
2.7型カラー液晶
46万画素
記録メディアSD/SDHC
サイズ(mm)
(高さ x 幅 x 奥行き)
70 x 114 x 3858 x 112 x 25
重量 (本体のみ)160+レンズユニット220208
カラーブラック
リリース年2009年2007年2008年

オプション

  • 液晶ビューファインダー VF-2
  • ケーブルスイッチ CA-1 
  • ACアダプター AC-5
  • リチャージャブルバッテリー DB-90
  • バッテリーチャージャー BJ-9

参考情報

更新履歴

  • 2025.5.13
  • 2024.8.30
  • 2024.03.24:初稿

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