ローライ35・Rollei Sonnar 40mm (L39)

Rollei Sonnar 40mm F2.8のレビューをデジタルカメラとフィルムカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影はEPSON R-D1、HEXAR RF +FUJIFILM PROVIA100FとSONY NEX-3
レビュー


1.概要
ローライ・ゾナー40mmは2002年にリリースされた、ライカL39スクリューマウントのレンジファインダーカメラ用レンズ。
鏡筒の指掛かりや絞りリングの形状など日本のコシナがレンズ鏡筒などの主要な部品を供給しているように見られる。レンズ構成はオリジナルのゾナー40mmと踏襲おり、レンズが日本製かドイツ製かは不明だが、鏡筒にMade in Germanyとあるので最終的な組み立てはドイツでおこなわれている。オプション品のファインダーやフードはRollei銘は入っているが完全にコシナのOEMだ。


レンズには標準レM/L変換リングが付属しており、ライカMマウントレンズとして使用することもできる。
鏡筒色はブラックとシルバーの2色がリリースされ、これはもう一本のローライ LSMレンズ、プラナー80mm F2.8も同じだ
コシナのOEMと見られる鏡筒はそれほど特徴があるわけではないが、赤いHFTの文字とフィート距離表記のグリーン文字がデザインのアクセントになっている。
2.使用感
ローライ・ゾナー40mmはレンズサイズ、鏡筒クオリティはコシナの初期カラー・スコパー 50mmとほぼ同等だ。
カラー・スコパー50mm同様に素材は真鍮でずっしりと重い。
フィルム時代はレンズの描写にファンが多かったローライ・ブランドのレンズで、35mmフィルムカメラで使用するときは必要十分なクオリティの撮影結果を得ることができる。
デジタルカメラはAPS-Cサイズ以下のセンサーの撮影結果をみても周辺部に乱れが見られることがあるため、35mmフルサイズセンサーではより粗が見える可能性がある。
レンジファインダーレンズが手に入りやすい時代に、ブラックとシルバーの両方を使用したが、両者ともにヘリコイドのグリースがぬけていたためか、フォーカスリングの回転は軽くスカスカしていて、あまりよい印象は持てなかった。
一部の英語レビューにおいて、レンズフード固定と記されているのを見たが、標準の円筒フードはねじ込み式で取り外すことができる。それを取り外しオプションの陸上トラック型フードを装着することができる。
このフードは取付部分が凝っており、レンズにフードをねじ込んだ後、フード位置を調整可能だ。
入手したシルバーレンズはヨドバシカメラ新宿店にずっと売れずにおいてあった物を処分特価でRollei 35 RFとともに購入した。当時はフィルムカメラの末期ということもあり、処分価格はかなり安かった。2024年現在はずいぶんと値上がりしており、財布に余裕がない限り購入することはないだろう。
本レンズがリリースされたとき、コシナがRolleiブランドも手に入れるのかと思ったが、ゾナー 40mm、プラナー 80mm、Rollei 35 RFカメラの3製品を供給しただけで後が続かなかった。リリース計画としては、Planar 50mm / F1.8が予定されていたようで、6群7枚と具体的なスペックを記した資料もあり、話は進んでいたようだが実際に市場に出ることは無かった。
2024年にMiNT CameraがRolleiブランドのフィルムカメラ「Rollei 35AF」を発売したが、レンズの焦点距離は35mmになってしまった。2024年にフィルムカメラが復活するのは嬉しいが、焦点距離の変更は気分的にすっきりしない。
3.まとめ
結論としてローライ・ゾナー40mmをまとめると、35mmフィルムカメラのゾナーをライカL39スクリューマウントで距離計に連動する仕様には変更したレンズ。レンジファインダーカメラの距離計連動での使用を考えた場合、購入の選択肢となる。
レンズの設計は過去を踏襲しているため、その描写はデジタルカメラの場合、周辺部に少々難がありフィルムカメラ向けのレンズだ。
仕様
フィルムカメラのローライ 35は、レンズの焦点距離40mmで4種類のレンズが使われ、その中でもっとも高級なレンズがゾナー 40mmだ。月日は流れ、レンジファインダーカメラ・ローライ35RFをリリースする際に、標準レンズとしてゾナー 40mmが採用されたのは、他の3つのレンズは廉価のイメージがあるため、マーケティングの観点からしても当然だろう。
ライカ も40mmのレンズはリリースしており、フィルムカメラ・ライカCL用のズミクロン 40mm F2と、フィルムカメラ ミニルックス用のズマリット 40mm F2.4がある。設計が新しいためかローライのレンズよりも明るい。
40mmという焦点距離についてだが、35ミリフィルム(36x24mm)の対角長は43mmとなり、この値こそ「自然な遠近感が得られる。」という意見を以下のサイトで見ることができる。そのほかにも対角長を40mmレンズと関連付ける記述はよく見かける。
https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/lens/k/standard/hdpentax-fa-43
レンズ交換ができないレンズ一体型フィルムカメラにおいて、焦点距離40mmが普及したのは、撮影結果が撮影時の記憶に近いということが好まれたからかもしれない。しかし、フィルムの時代は撮影と印刷された結果をみるのにタイムラグがあったので、人の記憶が一致度を認識できているかは怪しいところはあると思う。
また、以前はレンズ交換式カメラ向けの40mmレンズのラインナップはそれほど多くはなかったが、2010年代から各社が焦点距離40mmとなるレンズをリリースしている。このレンズの売れ行きと撮影者がどのような意図でこのレンズを選んでいるかは興味深いところである。


項目 | Rollei SONNAR LSM | TORIOTAR |
焦点距離(mm) | 40 | 40 |
最大絞り | 2.8 | 3.5 |
最小絞り | 22 | 16 |
絞り羽根 | 10 | 6 |
レンズ構成 | 4群5枚 | 3群3枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 30.5(フードなし) | 39(フード込み) フード長12.5 |
レンズ最大径(mm) | 51 | 51 |
フィルター径(mm) | 39 | – |
重量(g) | 172 | 103 |
リリース年 | 2002〜2006 | – |
参考情報
- Rollei 35RF review book
- B&H Photo lens spec
WikipediaによるRollei 35RFの説明 - LENS.DB Rollei 35RF
- Rollei Wiki
更新履歴
- 2025.6.23
- 2024.02.21:改稿
- 2023.0326:初稿
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