SGIMA DP1 Merrill

スナップシューターへの道険し

シグマ・コンパクトデジタルカメラ・DP1 メリルのレビューと写真作例

ギャラリー

レビュー

  1. 使用感
  2. カメラ概要
  3. X3Fファイル

1.使用感

DP1メリル1の購入を決断したのは、かなり不純な動機で、2013年の2月から6月まで、シグマがDPシリーズを購入するとキャッシュバックするキャンペーン2をやっており、それを目当てに買いそろえた。手に持った感触はプラスチックでチープなボイディだが、コンパクトなボディにAPS-Cサイズの高性能センサーを搭載し、35mm判換算28mmという焦点距離だけみれば広角スナップ撮影によい選択肢となるはずだが、残念ながらピント位置の固定方法に面倒がありスナップにはあまり向いていない。

とくに、昔のマニュアルフォーカスレンズのように距離指標位置を合わせて撮影のような芸当はできないことがストレスの第一歩で、他社カメラのようにある距離でフォーカスを固定するような機能も無いことも辛いところだ。

それでも、このカメラでフォーカス位置を固定したいというユーザーには、AF/MF切り替えでフォーカス位置を固定する方法が以下のウェブサイトで紹介されているので参考にして欲しい。

http://maros-notebook.txt-nifty.com/notebook/2012/08/dp2-merrill-2-2.html

また、残念ながらDP1メリルはシグマ・コンパクトデジカメの伝統を引き継ぎ、電気系統が貧弱で電池持ちが悪いこと、処理系の貧弱さによるレスポンスの悪さという欠点があることも、スナップ向きではないと考える理由の一つだ。

手ぶれにもシビアなカメラなので、スナップに使うなんて、とんでもないというご意見もごもっともだが、手にした道具をどのように使うかを考えるのは撮影者の自由だろう。

このカメラがでた当時、メインのカメラとしてLEICA M9を使用していたため、28mmを含む広角領域の撮影はもっぱらM9を使っており、同様の焦点距離を持つこのカメラは、それほど気合いを入れて使い込むことも無かったためカメラの印象は非常に薄い。

2024年現在中古のDP1メリルが、それなりに高価な価格で取引されているが、X3Fの扱いづらさ、バッテリーの持ち、2024年現在、シグマの修理対応終了の現状を考えると高価だと手を出す気がしない。Foveonセンサー搭載カメラの代替として、DNG対応、2024年現在修理対応機種であるDP1クアトロを買うのがよい選択と思えるが、DP1クアトロのトンファーボディは見た目のインパクトはあるが携帯性の悪さはいかんともしがたく、携帯性を犠牲にすることは覚悟する必要がある。

DP1メリルのボディを流用してQuattroセンサーを積んだカメラがリリースされなかったのは本当に残念である。DP1シリーズからDP1メリルはセンサーサイズが変わったため、ボディが大型化するのはやむをえない決断だと理解できるが、DP1メリルからDP1Quattroへの形状変化は理解しがたい。

これは、会社のポリシーの違いなのだろうが、シグマはつねに新しいものを作ろうという気概は素晴らしいと思うのだが、リコーのようにキープコンセプトで中身をブラッシュアップする手法をとらないのは今ひとつ理解しがたいところである。

2.カメラ概要

DP1メリルはDP1シリーズの後継で、2012年に発売され、レンズは新規に開発された実焦点距離19mmで、センサーサイズが x1.5倍のAPS-Cセンサーで35mm判換算焦点距離は28.5mmとなる。

以下には、DP1メリルDP2メリルDP3メリルで一部同じ記述が含まれている。

このカメラは発売後10年以上が経過しているのでオールドコンデジと呼ばれるカメラだ。

デジタルカメラの肝である、センサーはSD1と同じAPS-Cサイズの第3世代Foveonセンサーを搭載し、解像度は1500万画素 x3層となっている。X3F形式のRaw画像の場合、約50MBのファイルが生成される。一億画素のX2DのRawデータのファイルサイズが200MBなので、1500*3=4500万画素のデータを持っていると考えられる。約5000万画素のデータ量を2012年に実現していたので、撮影後のファイル書き込みが遅い、PCの処理が重いというのは当時では仕方が無かったことだろうと2024年になって思うところである。

バッテリーはシグマ型番がBP-413で、リコー GR系コンパクトカメラで採用されたDB-654と互換性がある。そのほか、フジフィルム、ライカ、パナソニックでも同形状の採用があり、互換バッテリーの入手には困らないのは良い点だ。

DP1メリルの最短撮影距離は20cmで、実焦点距離19mmの10倍となっており、一般的なレンズの設計作法に則った最短撮影距離だ。このレンズは優秀で歪みが少ない広角レンズで建築物などの撮影も安心してできた。

DPメリル・シリーズは焦点距離の違いで、35mm判換算28mm相当のDP1メリル、45mm相当のDP2メリル、75mm相当のDP3メリルの3機種が発売された。いずれのカメラボディも凹凸の少ないスクエアな形状で、素の状態ではすこし持ちづらいが、サードパーティの後付けグリップを装着することにより改善できる。3つのカメラはレンズ部以外の寸法は同じなので、グリップなどのオプションは使い回すことができる。DP1メリルとDP2メリルはレンズサイズもほぼ同じで、レンズの銘板とボディ右上の型番くらいしか違いが無い。

DPメリルシリーズは画像記録にX3Fしか対応していないため画像処理はSIGMA PHOTO PRO(以下、SPP)のみとなる。

3.X3Fファイル

X3Fファイルは、R,G,Bの3色の情報を1ピクセル毎に保存しているため、通常のベイヤーセンサーの3倍のデータ量となる。

このX3Fを処理するSIGMA PHOTO PRO(以下、SPP)はSD9のころから使用しているが、不安定、動作が遅いと文句を言っていたが、2024年のM2 Pro搭載のMac miniで使用したところ、SPPの不用意なクラッシュはほとんど見られず、画像の処理速度も実用に十分な速度に達していることを実感した。PCのCPUパワー増大による処理速度向上の恩恵を感じる出来事であった。

フリーウェアのX3FをDNGに変換するユーティリティソフトも使用してみたが、使用した時期のバージョンではDNGに変換した後の画像をかなり処理しないとSPPと同じクオリティにすることが難しく、使いこなしが難しい印象だった。その後改良されているかは不明である。

DNG変換後の画像がSPPデフォルトと同等の画像を得ることができれば、他のソフトで微調整をするのが他のソフトウェアを使い慣れたユーザーには理想的な作業フローだが、そううまい話では無かった。変換ソフトは個人が作成したフリーウェアなので、利用者が文句を言う筋合いが無いことも確かである。

画像処理ソフトのAffinity Photoで現像ができることがわかったので、こちらのページでテストしてみた。こちらもSPPと同じ結果を得るためには、入念に調整方法を研究しなくてはいけないことはわかっているが、SPPがストレス無く調整した画像を出力できるようになったため、あまり深追いはしていない。SPPで出力したJPGをAffinity Photoで最終調整するのが今のところベターな作業フローだと考えている。

2024年現在、新規Foveonセンサーの開発は滞っているようである。今後、新しいX3Fデータに巡り会うことがあるのか、興味深く待っている。

仕様・比較

項目DP1 メリルDP2 メリルDP3 メリル
カメラ有効画素数総画素:約48MP
有効画素:約46MP (4,800×3,200×3)
レンズ焦点距離19mm(28mm)30mm(45mm)50mm(75mm)
レンズ構成8群9枚6群8枚8群10枚
最大絞り2.82.82.8
最小絞り161616
絞り羽根997
撮像素子FOVEON X3®(CMOS)・23.5×15.7mm
背面液晶3.0型・92万ドット
ファインダー光学式 ビューファインダー VF-11 *1光学式 ビューファインダー VF-21 *1
最短撮影距離(m)0.20.280.226
バッテリーリチウムイオンバッテリー
BP-41
記録メディアSDメモリーカード
SDHCメモリーカード *1
SDXCメモリーカード *1
マルチメディアカード
外形寸法(mm)
幅 x 高さ x 奥行
122 × 67× 64122 × 67 × 59122 × 67 × 80
重量(g)
ボディのみ
360355400
リリース年2012.9.142012.7.122013.2.22

オプション

  • LENS HOOD : LH1-01
  • VIEW FINDER : VF-11
  • ELECTRONIC FLASH : EF-140 DG
  • そのほか、サードパーティーよりハンドグリップがリリースされた。

参考文献・リンク

更新履歴

  • 2024.07.18
  • 2024.03.11:改稿
  • 2023.04.11:初稿

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  1. DP1メリル・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  2. シグマ、SD/DPシリーズのキャッシュバックキャンペーン ↩︎
  3. BP-41・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎
  4. DB-65・アマゾンアフィリエイトリンク ↩︎

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