SGIMA DP3 Merrill
シグマ・DP3 メリルのレビューと写真作例
ギャラリー
レビュー
DP3・メリルは、シグマが2013年に発売したコンパクトデジタルカメラで、焦点距離50mmのレンズを搭載し、APS-Cサイズセンサーを積んでいるため、35mm判換算の焦点距離は75mm相当となる。最短撮影距離は22.6cmで、1:3マクロ撮影が可能な中望遠マクロカメラとなる。
デジタルカメラの肝である、センサーはSD1と同じAPS-Cサイズの第3世代Foveonセンサーを搭載し、解像度は1500万画素 x3層となっている。バッテリーはシグマ型番がBP-41で、リコーのコンパクトカメラで採用されたDB-65と互換性がある。
DP3メリルは、レンズはなかなか立派な鏡筒に入っており、DP1,DP2 Merillよりもカメラ重量が重くずっしりている。
ISO感度を上げることができないのはDP・メリルシリーズ共通の悩みで、とくにDP3メリルはブレにシビアで、背面液晶を見ながらフレーミングとピント合わせをするコンデジスタイルの撮影方法ではボディとレンズを両手でしっかりとホールドして撮っても、少し油断するとブレ写真ができあがる難儀さがあった。フレーミングするだけの光学ファインダーも提供されなかったのも辛いところであった。他の手段としてはコシナ・フォクトレンダーが販売していた75mmファインダーを代替とした使うくらいだろう。EVFがオプションで提供されなかったのがとても悔やまれる。
DPメリル・シリーズは焦点距離の違いで、35mm判換算28mm相当のDP1 Merrill、45mm相当のDP2 Merrill、75mm相当のDP3 Merrillの3機種が発売された。いずれのカメラボディも凹凸の少ないスクエアな形状で、素の状態ではすこし持ちづらいが、サードパーティの後付けグリップを装着することにより改善できる。3つのカメラはレンズ部以外の寸法は同じなので、グリップなどのオプションは使い回すことができる。
DP QUATTRO3用にリリースされた、1.2倍テレコンバーター「FT-1201 」は58mm径のねじ込み式なので、フィルターリング変換58mm→52mmを使うとDP3 Merrillでも使うことができる。
テレコンを使用すると、DP3 Merillの焦点距離75mmが90mmに変化する。最短撮影距離は変更ないためより拡大した写真を撮ることができる。2023年現在も在庫があり購入できる。
APS-Cサイズの高性能センサーに固定レンズというコンデジはスナップなどによい選択肢となるが、残念ながらDPメリル・シリーズもシグマ・コンパクトデジカメの伝統を引き継ぎ、電気系統が貧弱で電池持ちが悪いこと、処理系の貧弱さによるレスポンスの悪さという欠点がある。発売後少ししてからメーカーによるキャッシュバックをしていたので、手元に3台そろっていた時期もあるが、いずれも使用頻度が低くほどなくして売ってしまった。
現在中古では、それなりの値段で取引されているが、X3Fの扱いづらさ、バッテリーの持ち、2023年現在修理対応終了を考えると、クアトロ・シリーズの方がよいと思えるが、携帯性はメリル・シリーズが断然よくミニマルですっきりしたデザインはとても好感が持てる。
クアトロ・シリーズのトンファーボディもインパクトはあるが携帯性の悪さはいかんともしがたく、DPメリル・ボディのままQuattroセンサーを積んだカメラがリリースされなかったのは残念である。
DP3・メリルは、リリース直後に購入してあまり使わず手放したが2019年にふたたび購入して使用した。なかなか面白いカメラなのだが、前述のようにISO感度を上げることができないため、昼間専用カメラであることを再確認して手放してしまった。
DP・メリルのセンサーは画像記録にX3Fしか対応していないため画像処理はSPPのみとなる。フリーウェアのX3FをDNGに変換するユーティリティソフトも使用してみたが、使用した時期のバージョンではDNGに変換した後の画像をかなり処理しないとSPPと同じクオリティにすることが難しく、使えない印象であった。
DNG変換後の画像がSPPデフォルトと同等の画像を得ることができれば、他のソフトで微調整をするのが理想的だが、そううまい話は無かった。変換ソフトは個人が作成したフリーウェアなので、利用者が文句を言う筋合いは無い。
画像処理ソフトのAffinity Photoで現像ができることがわかったので、こちらのページでテストしてみた。こちらもSPPと同じ結果を得るためには、調整方法を研究しなくてはいけない。
仕様
項目 | DP1 メリル | DP2 メリル | DP3 メリル |
カメラ有効画素数 | 総画素:約48MP 有効画素:約46MP (4,800×3,200×3) | ← | ← |
レンズ焦点距離 | 19mm(28mm) | 30mm(45mm) | 50mm(75mm) |
レンズ構成 | 8群9枚 | 6群8枚 | 8群10枚 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 16 | 16 | 16 |
絞り羽根 | 9 | 9 | 7 |
撮像素子 | FOVEON X3®(CMOS)・23.5×15.7mm | ← | ← |
背面液晶 | 3.0型・92万ドット | ← | ← |
ファインダー | 光学式VF-11 | 光学式VF-21 | – |
最短撮影距離(m) | 0.2 | 0.28 | 0.226 |
バッテリー | リチウムイオンバッテリー BP-41 | ← | ← |
記録メディア | SDメモリーカード SDHCメモリーカード SDXCメモリーカード マルチメディアカード | ← | ← |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 122 × 67× 64 | 122 × 67 × 59 | 122 × 67 × 80 |
重量(g) ボディのみ | 360 | 355 | 400 |
リリース年 | 2012.9.14 | 2012.7.12 | 2013.2.22 |
オプション
- LENS HOOD : LH3-01
- FILTER : DG UV 52mm
- ELECTRONIC FLASH : EF-140 DG
- サードパーティーより、ハンドグリップがリリースされていた。
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.03.11:改稿
- 2023.04.13:初稿
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