SGIMA DP3 Merrill
コンデジに単焦点マクロという個性
シグマ・コンパクトデジタルカメラ・DP3 メリルのレビューと写真作例
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ギャラリー
レビュー
レビューは以下の内容について記している
1.カメラ概要
DP3・メリル *1は、シグマが2013年に発売したコンパクトデジタルカメラで、焦点距離50mmのレンズを搭載し、APS-Cサイズセンサーを積んでいるため、35mm判換算の焦点距離は75mm相当となる。最短撮影距離は22.6cmで、1:3マクロ撮影が可能な中望遠マクロカメラとなる。
以下は、DP1メリル、DP2メリル、DP3メリルで同じ記述が含まれている。
このカメラは発売後10年以上が経過しているのでオールドコンデジと呼ばれるカメラだ。
デジタルカメラの肝である、センサーはSD1と同じAPS-Cサイズの第3世代Foveonセンサーを搭載し、解像度は1500万画素 x3層となっている。X3F形式のRaw画像の場合、約50MBのファイルが生成される。一億画素のX2DのRawデータのファイルサイズが200MBなので、1500*3=4500万画素のデータを持っていると考えられる。約5000万画素のデータ量を2012年に実現していたので、撮影後のファイル書き込みが遅い、PCの処理が重いというのは当時では仕方が無かったことだろうと2024年になって思うところである。
バッテリーはシグマ型番がBP-41 *1で、リコー GR系コンパクトカメラで採用されたDB-65 *1と互換性がある。そのほか、フジフィルム、ライカ、パナソニックでも同形状の採用があり、互換バッテリーの入手には困らないのは良い点だ。
また、純正では接眼して3点でかまえるためのファインダーも提供されなかったのも辛いところである。
EVFについては、接続端子が装備されていないため純正での装着は望めない。
そのため、せめてピント位置は確認できないがフレーミングのための光学ファインダーだけでも提供して欲しいところであった。光学ファインダーはコシナ・フォクトレンダーが販売していた75mmファインダーを代替とした使うことが考えられる。
DPメリル・シリーズは焦点距離の違いで、35mm判換算28mm相当のDP1 Merrill、45mm相当のDP2 Merrill、75mm相当のDP3 Merrillの3機種が発売された。いずれのカメラボディも凹凸の少ないスクエアな形状で、素の状態ではすこし持ちづらいが、サードパーティの後付けグリップを装着することにより改善できる。3つのカメラはレンズ部以外の寸法は同じなので、グリップなどのオプションは使い回すことができる。
DP3 QUATTRO用にリリースされた、1.2倍テレコンバーター「FT-1201 」 *1は58mm径のねじ込み式なので、フィルターリング変換58mm→52mmを使うとDP3 Merrillでも使うことができる。
ただし、装着するとカメラがとても大きくなるのが難点の一つで、撮影時はレンズ部分をホールドしてボディとレンズ付け根に過剰な負担がかからないように配慮する必要がある。この使い方は公式が推奨する使用方法ではないため、DP3メリルで使用した場合、レンズ鏡筒への負荷による破損などの事象が起きても、それは自己責任となる。
テレコンを使用すると、DP3 Merillの35mm判換算焦点距離が75mmから90mmに変化する。75mmから90mmの変化は撮影範囲の違いを十分に感じられる変化で写真に変化を加えたいときはよい選択だと思う。また、最短撮影距離は変更ないためより拡大した写真を撮ることができる。2023年現在も在庫があり購入できる。
DP3メリルは画像記録にX3Fしか対応していないため画像処理はSIGMA PHOTO PRO(以下、SPP)のみとなる。
2.使用感
DP3・メリル *1は、リリース直後に購入してあまり使わず手放したが2019年にふたたび購入して使用した。コンパクトデジカメに中望遠レンズを搭載したなかなか面白いコンセプトのカメラなのだが、このカメラも煮詰めが甘く、後述する理由により長く使うことはなかった。
レンズはなかなか立派な鏡筒に入っており、レンズ部分が重くなったため、DP1メリル、DP2メリルよりカメラ総重量は増加し撮影のために構えるとずっしりとした重みを感じる。
イメージセンサーの特性上、ISO感度を上げることができないのはDP・メリルシリーズ共通の悩みで、とくに焦点距離が伸びているDP3メリルは手ブレにシビアで、背面液晶を見ながらフレーミングとピント合わせをするコンデジスタイルの撮影方法ではボディとレンズを両手でしっかりとホールドして撮っても、少し油断するとブレ写真ができあがる難儀さがあった。毎回三脚を持参するわけにもいかず、手ぶれ補正機構は搭載して欲しいと使いながら感じた。
DP3メリル・シリーズもシグマ・コンパクトデジカメの伝統を引き継ぎ、電気系統が貧弱で電池持ちが悪いこと、処理系の貧弱さによるレスポンスの悪さというDPメリルシリーズ共通の欠点は持ち越している。
DP3メリルも現行商品ではないため、使うためには中古品を購入することになるが、2024年現在は、それなりに高価な値段で取引されているが、X3Fの扱いづらさ、バッテリーの持ち、2023年現在修理対応終了を考えると、DP3クアトロの方がよいと思えるが、DP*クアトロシリーズの異形ボディに大きなレンズがついているため携帯性に難があるところが、DP3クアトロを素直に勧めづらいところだ。
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3.X3Fファイル
X3Fファイルは、R,G,Bの3色の情報を1ピクセル毎に保存しているため、通常のベイヤーセンサーの3倍のデータ量となる。
このX3Fを処理するSIGMA PHOTO PRO(以下、SPP)はSD9のころから使用しているが、不安定、動作が遅いと文句を言っていたが、2024年のM2 Pro搭載のMac miniで使用したところ、SPPの不用意なクラッシュはほとんど見られず、画像の処理速度も実用に十分な速度に達していることを実感した。PCのCPUパワー増大による処理速度向上の恩恵を感じる出来事であった。
フリーウェアのX3FをDNGに変換するユーティリティソフトも使用してみたが、使用した時期のバージョンではDNGに変換した後の画像をかなり処理しないとSPPと同じクオリティにすることが難しく、使いこなしが難しい印象だった。その後改良されているかは不明である。
DNG変換後の画像がSPPデフォルトと同等の画像を得ることができれば、他のソフトで微調整をするのが他のソフトウェアを使い慣れたユーザーには理想的な作業フローだが、そううまい話では無かった。変換ソフトは個人が作成したフリーウェアなので、利用者が文句を言う筋合いが無いことも確かである。
画像処理ソフトのAffinity Photoで現像ができることがわかったので、こちらのページでテストしてみた。こちらもSPPと同じ結果を得るためには、入念に調整方法を研究しなくてはいけないことはわかっているが、SPPがストレス無く調整した画像を出力できるようになったため、あまり深追いはしていない。SPPで出力したJPGをAffinity Photoで最終調整するのが今のところベターな作業フローだと考えている。
2024年現在、新規Foveonセンサーの開発は滞っているようである。今後、新しいX3Fデータに巡り会うことがあるのか、興味深く待っている。
仕様・比較
項目 | DP1 メリル | DP2 メリル | DP3 メリル |
カメラ有効画素数 | 総画素:約48MP 有効画素:約46MP (4,800×3,200×3) | ← | ← |
レンズ焦点距離 | 19mm(28mm) | 30mm(45mm) | 50mm(75mm) |
レンズ構成 | 8群9枚 | 6群8枚 | 8群10枚 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 16 | 16 | 16 |
絞り羽根 | 9 | 9 | 7 |
撮像素子 | FOVEON X3®(CMOS)・23.5×15.7mm | ← | ← |
背面液晶 | 3.0型・92万ドット | ← | ← |
ファインダー | 光学式 ビューファインダー VF-11 *1 | 光学式 ビューファインダー VF-21 *1 | – |
最短撮影距離(m) | 0.2 | 0.28 | 0.226 |
バッテリー | リチウムイオンバッテリー BP-41 | ← | ← |
記録メディア | SDメモリーカード SDHCメモリーカード *1 SDXCメモリーカード *1 マルチメディアカード | ← | ← |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 122 × 67× 64 | 122 × 67 × 59 | 122 × 67 × 80 |
重量(g) ボディのみ | 360 | 355 | 400 |
リリース年 | 2012.9.14 | 2012.7.12 | 2013.2.22 |
オプション
- LENS HOOD : LH3-01
- FILTER : DG UV 52mm
- ELECTRONIC FLASH : EF-140 DG
- サードパーティーより、ハンドグリップがリリースされていた。
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.07.18
- 2024.03.11:改稿
- 2023.04.13:初稿
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