SIGMA SD10
SD9をブラッシュアップ
シグマ・SD10のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー
1.概要
SD10は2003年にリリースされたシグマ製一眼レフデジタルカメラ。
シグマ製一眼レフは、ファイル無時代のSA-7/SA-9/SA-7n、デジタルカメラになってSD9 / SD10、SD14 / SD15 、SD1で終焉を迎える。SD Quattro / SD Quattro H はミラーレスカメラで2023年現在Foveonセンサー搭載の最終機である。SIGMA fp / fpLはミラーレスカメラで一般的なベイヤーセンサーを搭載している。
SD10はSD9とほぼ同じ第一世代Foveonセンサーを搭載している。
Foveonセンサーはシグマ以外のカメラメーカーが手を出さなかった、Foveon社(後にシグマによって買収され子会社となる)の3層センサーを搭載した世界初の一眼レフデジタルカメラである。
300万画素 x3で実画素は300万画素だが、SIGMA PhotoProで合成してより高画素の出力もできた。
ファインダーはフィルムカメラSA-7のものを流用しているようで、35mmフルサイズのファインダーで周辺部をマスクしたスポーツファインダーと呼ばれるファインダーを搭載している。
記録メディアはコンパクトフラッシュ。
充電式のCR-V3がシグマ純正品がありこちらを使うとCR-V3の使い捨てから逃れることができたが、純清純電池と充電器はSD10製品寿命末期にリリースされたためほとんど見かけることは無かった。また、数社からCR-V3互換の充電池がリリースされていたが、いずれもSD9/SD10が要求する電圧よりも高いため使用するとカメラがダメージを受ける可能性があった。数社の充電式CR-V3互換電池を入手してテスターで測定すると電圧は電池によるばらつきが大きく、規定電圧を超える物や足りない物があり、常時カメラで使うには不安があった。
2.使用感
3層センサーの描き出す独特の描写は、SIGMAマニアを生み出し、SD9/SD10でさえ今でもその画質は十分に通用すると思う。とくに色分離が求められる境目のはっきりした景色や鳥の写真は、ブレていない画像は当時のローパスフィルターを搭載した600万画素の画像とは一線を画していた。
SD10もSD9と同様に、撮影には忍耐が必要で一瞬のタイミングを逃すことはしょっちゅうであった。X3Fでしか撮影できないため、撮影後の現像に使用するSIGMA Photo Proも当時のPCには処理が重く、操作は忍耐を要するソフトであった。
こののち、少しくらい動作の遅いカメラを使ってもなんとも思わなくなったのはこのカメラのおかげだ。
ファインダーは、フィルムカメラから流用した35mmフルフレーム用の周辺部をマスクしたスポーツファインダーで、見たままを写す一眼レフ信者の受けは悪かったが、動体を撮る際には写らないところが先に見えるのはそれなりに重宝した。
このカメラが発売された頃は、画像記録に使用するコンパクトフラッシュは64MBで大容量だった。
4GBのマイクロドライブが発売されたときは、製品は高価だが容量的魅力にあらがえず導入してみた。
しかし、コンパクトフラッシュ(3.3V動作時:平均66mW、5V動作時:平均110mW、出典:バッファローコンパクトフラッシュ紹介ページ)と比較して消費電力が大きい(電源は3.3V/5Vで、消費電力は3.3V時で221mW、5V時で360mW(ともにローパワーアイドル時)、出典:Web-ASCII 2003年記事)ため、電源の不安定なSD9 / SD10で使うには少々無理であった。
マイクロドライブの消費電力により、書き込み時にカメラがフリーズするなど動作が不安定になることがあった。これは当時コストの観点からカメラの動作にニッケル水素電池を使っていたことも影響している。CR-V3であれば安定して使えていたかもしれない。
現在、バッテリーは小泉成器株式会社が代理店をしているEnergizerを使用している。こちらは4本1000円(2023年現在2500円程度に価格変更)電圧も安定しており自然放電が少ないので、ごくたまに使うSD10ではとても重宝している。2023年現在同程度の性能を有しているPanasonic製リチウム電池を使用している。こちらもいつまで供給されるか不安はある。
3.付加情報
SD10はシグマSAレンズを購入していた、大阪のカメラ屋経由で発売日に入手した。値切り文化の大阪のお店だったので、ギリギリまで値切った記憶がある。今思うと利益はあったんだろうけど、少し申し訳ないことをしたとも思う。
シグマSAマウントは、フランジバックは異なるが形状はPentax-Kマウントと互換性があり、PENTAX のK-M42アダプターを介してM42マウントレンズを使うことができた。フランジバックはSAマウント=44mm、Kマウント=45.5mmと1.5mmの差があるけれど、M42マウントの古いレンズはオーバーインフのものが多くピント合わせで実用上問題になることは少なかった。
また、Penta-Kマウントレンズも絞りレバーなどの干渉物が無ければ、SD9/SD10装着でき使うことができた。
SD9リリースから少しすると、SA-M42マウントアダプターをリリースする趣味の人がいたため、それを利用すると正しいフランジバックでM42レンズを利用することもできた。
SA-NikonFマウントアダプターをリリースする人もいた。
また、本カメラのSAマウントをCANON-EFマウントに改造するという計画もあり、少額出資してみたが計画は頓挫し出資金は返ってきた。今では考えられない牧歌的な時代である。
仕様・モデル比較・歴代モデル
項目 | SD9 | SD10 | SD14 | SD15 |
カメラ有効画素数 | 1,029万画素(有効画素) (2,268×1,512×3層) | ← | 1,406万画素(有効画素) (2,652×1,768×3層) | ← |
センサー | 第1世代 FOVEON X3® (CMOS) | 第2世代 FOVEON X3® (CMOS) | ||
センサーサイズ | 20.7×13.8mm APS-C x1.7 | ← | ← | ← |
マウント | シグマSAバヨネットマウント | ← | ← | ← |
背面液晶 | 1.8インチ 低温ポリシリコンTFTカラー液晶モニタ 約13万画素 | ← | 2.5インチ 約15万画素 | 3.0インチ 約46万ドット |
ファインダー | ペンタプリズム式一眼レフファインダー | ← | ← | ← |
バッファメモリ | 不明 | 不明 | 正確な数値は不明 | SD14の2倍 |
画像処理エンジン | 名称なし | ← | ← | TRUE II |
バッテリー | メイン 3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本 単3型ニッケル水素電池4本 単3型アルカリ電池4本 サブ 3Vリチウム電池(CR123Aタイプ2個) | 3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本 単3型ニッケル水素電池4本 単3型アルカリ電池4本 | リチウムイオンバッテリー(BP-21 / BP-22) | ← |
記録メディア | コンパクトフラッシュ マイクロドライブ | ← | コンパクトフラッシュ(32GBまで) | SDカード(SDHCまで) |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 152mm × 120mm × 79mm | ← | 144 × 107.3 × 80.5mm | ← |
重量(g) | 約805g (電池除く) | 約785g (電池除く) | 約700g (電池除く) | 約680g (電池除く) |
リリース年 | 2002年 | 2003年 | 2007年11月 | 2010年6月25日 |
オプション
- 縦位置グリップ
- シグマSAマウントレンズ全種
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.2.19:改稿
- 2023.02.12:初稿
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