SIGMA SD9 / SD10
シグマ製デジタルカメラ・SD9 / SD10を使用した記録
<ギャラリー>
<カメラの印象>
SD9は2002年、SD10は2003年にリリースされたシグマ製デジタルカメラ。
他社が手を出さなかった、Foveon社(後にシグマによって買収され子会社となる)の3層センサーを搭載した世界初の一眼レフデジタルカメラ。
3層センサーの描き出す独特の描写は、SIGMAマニアを生み出し、SD9/SD10でさえ今でもその画質は十分に通用すると思う。とくに色分離が求められる境目のはっきりした景色や鳥の写真は、ブレていない画像は当時のローパスフィルターを搭載した600万画素の画像とは一線を画していた。
その後、高画素化とローパスフィルターレスのベイヤーセンサーが出てくると、それほどFoveonにこだわらなくても良いかと思うようになったが、歴代のFoveonセンサー機は一通り使った。
とにかく、このカメラは動作レスポンスにおいては忍耐の塊で、撮影後の現像もSIGMA PhotoProは忍耐を要するソフトであり、少々動作の遅いカメラを使ってもなんとも思わなくなったのはこのカメラのおかげだと思っている。
SD9は発売直後に上野のヨドバシカメラで購入した。当時このカメラを買う好き者はそういないようでカメラ売り場の人から名刺をいただいた。後述する電源周りの不具合でヨドバシカメラ上野にはちょくちょく連絡したが不具合の多さから販売店を通すのが面倒になり、直接シグマとやりとりするようになった。
シグマSAマウントのカメラなので交換レンズの入手に難があり大阪のカメラ屋から通販で買っていた記憶がある。
シグマSAマウントは、フランジバックは異なるが形状はPentax-Kマウントと互換性があり、PENTAX のK-M42アダプターを介してM42マウントレンズを使うことができた。フランジバックはSAマウント=44mm、Kマウント=45.5mmと1.5mmの差があるけれど、M42マウントの古いレンズはオーバーインフのものが多くピント合わせで実用上問題になることは少なかった。
また、Penta-Kマウントレンズも絞りレバーなどの干渉物が無ければ、SD9/SD10装着でき使うことができた。
SD9リリースから少しすると、SA-M42マウントアダプターをリリースする趣味の人がいたため、それを利用すると正しいフランジバックでM42レンズを利用することもできた。
SA-NikonFマウントアダプターをリリースする人もいた。
また、本カメラのSAマウントをCANON-EFマウントに改造するという計画もあり、少額出資してみたが計画は頓挫し出資金は返ってきた。今では考えられない牧歌的な時代である。
SD9は電源周りに難のあるカメラで何度もシグマの工場のある会津に送ったが、3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本で運用する以外では安定動作するとは言いがたかった。CR-V3が1本1000円程度したので、2000円を使い捨てるのはつらいため、様々な電池を試したが徒労であった。
SD10は、SD9で面倒だったCR123Aが不要になったSD9の進化バージョン。約1年後のリリースなのでSD9はここで見切りをつけられたようである。筆者もSD9を売り払ってSD10を購入した。
使うことはほとんど無いがSD10は手元で現役である。
デジタルカメラにロマンがあった時代の遺物。
本サイトを作るために、久々にMacでSIGMA PhotoPro 6.8.2を起動してSD9画像を現像しようとしたらエラーでできなかった。SD10はOKだったので、ギャラリー画像はSD10のみである。
それにしても何年たってもPhotoProはまともなアプリにはなっていないと感じる(フォルダ指定がルートになっているだけで落ちるなど)。SDシリーズの色に惚れながら、このソフトウェアのために脱落したSIGMAユーザーは結構いると思う。QuattroシリーズになってからDNGに対応しているのはうれしいが、DNGがX3Fと等価なのかわからないので気持ち悪さはある。


<カメラの仕様>
第一世代Foveonセンサーを搭載したデジタルカメラ。
300万画素 x3で実画素は300万画素だが、SIGMA PhotoProで合成してより高画素の出力もできた。
ファインダーはフィルムカメラSA-7のものを流用しているようで、35mmフルサイズのファインダーで周辺部をマスクしたスポーツファインダーと呼ばれるファインダーであった。この方式は不満の意見も聞いたが個人的には写らないところが見えるのはそれなりに重宝した。
充電式のCR-V3がシグマ純正品がありこちらを使うとCR-V3の使い捨てから逃れることができたが、純清純電池と充電器はSD10製品寿命末期にリリースされたためほとんど見かけることは無かった。また、数社からCR-V3互換の充電池がリリースされていたが、いずれもSD9/SD10が要求する電圧よりも高いため使用するとカメラがダメージを受ける可能性があった。数社の充電式CR-V3互換電池を入手してテスターで測定すると電圧は電池によるばらつきが大きく、規定電圧を超える物や足りない物があり、常時カメラで使うには不安があった。
記録メディアはコンパクトフラッシュ、当時は64MBで大容量だったと記憶している。4GBのマイクロドライブがでたときは、効果だが容量的魅力にあらがえず導入してみたが、コンパクトフラッシュ(3.3V動作時:平均66mW、5V動作時:平均110mW、出典:バッファローコンパクトフラッシュ紹介ページ)と比較して消費電力が大きい(電源は3.3V/5Vで、消費電力は3.3V時で221mW、5V時で360mW(ともにローパワーアイドル時)、出典:Web-ASCII 2003年記事)ため、電源の不安定なSD9/SD10で使うのは少々無理があった。消費電力によりカメラが不安定になったと記憶している(当時はコストパフォーマンスからニッケル水素電池を主に使っていたことも影響しているかもしれない。)。
現在は小泉成器株式会社が代理店をしているEnergizerを使用している。こちらは4本1000円で電圧も安定しており自然放電が少ないので、ごくたまに使うSD10ではとても重宝している。
項目 | SD9 | SD10 |
カメラ有効画素数 | 約1,029万画素 (2,268×1,512×3層) | 同左 |
マウント | シグマSAバヨネットマウント | 同左 |
撮像素子 | FOVEON X3®(CMOS) 20.7×13.8mm | 同左 |
背面液晶 | 1.8型 低温ポリシリコンTFTカラー液晶モニタ 約13万画素 | 同左 |
ファインダー | ペンタプリズム式一眼レフファインダー | 同左 |
バッテリー | 3Vリチウム電池(CR123Aタイプ2個) 3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本 単3型ニッケル水素電池4本 単3型アルカリ電池4本 | 3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本 単3型ニッケル水素電池4本 単3型アルカリ電池4本 |
記録メディア | コンパクトフラッシュ マイクロドライブ | コンパクトフラッシュ マイクロドライブ |
外形寸法 | 幅 x 高さ x 奥行 152mm × 120mm × 79mm | 同左 |
重量(g) | 約805g (電池除く) | 約785g (電池除く) |
リリース年 | 2002年 | 2003年 |
<オプション>
- 縦位置グリップ
<参考文献・リンク>