LEICA MINILUX 搭載のSUMMARIT 40mm F2.4をMs-OpticsにてMマウントに改造したレンズをデジタルレンジファインダーカメラ、ミラーレスカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA M10
- LEICA M-P Typ240
- LEICA M8
- LEICA T typ701
- Panasonic LUMIX GM5
- 写真はクリックして拡大可能
レビュー


1.概要
SUMMARIT 40mm F2.4はコンパクトフィルムカメラ・ライカ ミニルックスのレンズをMs-opticsで取り出して、Ms-optics謹製のMマウントヘリコイド・MS-35に装着した改造レンズ。
Mマウントヘリコイド・MS-35は焦点距離35mm付近のレンズ用の共通ヘリコイドで、改造時に調整され40mmの焦点距離でM型レンジファインダーカメラの距離計と連動して二重像合致によるピント合わせをおこなうことができる。
レンズ鏡筒はオリジナルの鏡筒をそのまま利用しており、鏡筒後部に12枚の絞りバネとそれを変更する機構、ピント位置を調整するためのフォーカスリングが装備されている。このMs-optics謹製のヘリコイドはさまざまなレンズをMマウント化できる汎用性をもった合理的な設計だ。
ファインダー枠は35mm枠が表示される。焦点距離40mmはファインダー枠35mmの内側を意識すれば問題なく使用できる。
改造者の宮崎氏の提案により、レンズ先端にはフードをねじ込むための37mm径0.5mmピッチの溝部品を装着している。レンズの見た目からすると、この部品はないほうがよいが前玉の傷防止などを考えると付けておいた方が安心できる。
2.使用感
SUMMARIT 40mm F2.4の写りはコンパクトカメラのレンズとは思えない素晴らしい描写で、中心部の解像度の良さはさすがライカがズマリット名を与えているだけのことはある。
レンズは比較的新しい1995年のレンズのためコーティング技術の向上の恩恵から逆光耐性はよく、経年劣化したSUMMICRON C 40mmでフレアが発生するようなシチュエーションにおいても問題のない描写をみせる。
コンパクトカメラのミニルックスは買ったときは数万円だった。しかし、2023年現在は値上がりしてとても手が出ない価格になっている。フィルムも値上がりしているのでどのような層が買って使われているのか?不思議ではある。カメラの値上がりを考えると、そのまま持っていた方がよかった可能性もあるけれど、Mマウントに換装したことにより、様々なカメラで使えるようになったので良しとしよう。
所有しているレンズはヘリコイドがMs-Optics(宮崎光学)の最新版となっており、レンズの着脱がしやすい。同じ焦点距離のMSヘリコイドでCONTAX G 35mm Mマウント改造レンズは使われているヘリコイドのバージョンが古いためレンズに対して指かかりが悪く、着脱に難儀するがこのレンズは着脱部の形状が改良されておりレンズの着脱が容易になっている。
35mmフルフレームセンサーを搭載したLEICA M10とLEICA M-P typ240はともに2400万画素を搭載したデジタルレンジファインダーカメラで、本レンズは絞り開放においては2400万画素は十分に解像している。
また、イメージサークルは後述する中判デジタルセンサーをカバーするほど広く、35mmフィルム判に対しては十分に余裕がある。
APS-Hサイズセンサーを搭載したLEICA M8はセンサーサイズが35mmフィルム判より小さいため、実際の撮影焦点距離は40mm*1.33=53mm相当の焦点距離となる。
その撮影結果をみるとセンサーサイズが小さいため35mmフィルム判で撮影した画像に対して周辺部がカットされ、いわゆるレンズの美味しい部分だけを使う状態で35mmフィルム判より画像としてみると解像度が高くみえる。このセンサーサイズであればレンズの個性も感じることができる。
LEICA M8は35mmフィルム判40mmのファインダー枠が無いため、撮影時は35mmか50mmのファインダーで代用する。外付けファインダーの50mmを使う手もあるが、ピント合わせと構図合わせが別々になっているのは面倒に感じられるため使用していない。
APS-Cサイズセンサーを搭載したカメラの作例として、LEICA T typ701を使用した。このカメラはセンサーサイズが35mmフィルム判より小さいため、実際の撮影焦点距離は40mm*1.5=60mm相当の焦点距離となる。
こちらの撮影結果はAPS-Hサイズセンサーよりもさらに周辺部を強制的にカットするため、得られた画像の解像感は高いがレンズの個性は失われてくる。
センサーサイズはAPS-Cセンサーよりも小さく、実際の撮影焦点距離は28mm*2=80mm相当の焦点距離となる。
この焦点距離になると中望遠レンズの範疇に入り撮影している感覚も35mmフィルム判で使うときとはイメージが異なる。また、35mmフィルム判周辺部の75%を捨てることになるため、レンズの味はほとんど感じられなくなる。
HASSELBLAD X2D-100Cは1億画素の44mm x 33mmの中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、35mmフィルム判の換算焦点距離は40mm*0.8=32mmの広角レンズとなる。
このレンズコンパクトカメラに搭載されていたレンズにもかかわらず、イメージサークは広く四隅にわずかに周辺減光が見られるのみで、ほぼ中判デジタルセンサーをカバーしている。絞りを絞ると周辺減光が少し改善され画質も引き締まるため、32mmの広角レンズとして使用できる。


HASSELBLAD X2D-100Cはメカシャッターを搭載していないカメラなので、撮影時にローリング歪みをおこすことがある。同じ中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラ富士フイルムGFXシリーズはメカシャッターを搭載しているため、Mマウントレンズをより大きなセンサーで使う場合の有力な選択肢となるだろう。
3.まとめ
結論としてSUMMARIT 40mm F2.4 Mマウント改造をまとめると、Mマウント距離計連動に改造したことにより、レンジファインダーの二重像合致によるピント合わせに対応したており、フィルム、デジタル問わずにレンジファインダーで使用できる。また、Mマウントはほとんどのミラーレスカメラでマウントアダプターが供給されているためレンズ利用の汎用性が高い。
また、オリジナルのレンズはコンパクトカメラ用レンズだが、イメージサークルが広く中判デジタルミラーレスカメラでも十分に使用でき、35mmフィルム、35mmフルフレームセンサーデジタルカメラでも問題なく使用できる。
仕様・考察など
SUMMARITについて
ズマリット 40mm F2.4は、1972年に発売されたLEICA CL(フィルムカメラ)用のズミクロン C 40mm(4群6枚)とのレンズ構成とレンズ径はほぼ同じなので、ズミクロン F2を採用することも可能に思える。
ライカは絞り開放値をF2.4に抑えてズマリットの名前とした。もともとズマリットはF1.5と明るい50mm標準レンズにつけられた名前で、MINILUXの40mm F2.4にズマリットの関連性を見いだすのは難しく、名前を採用した理由は不明である。
その理由を推測すると、絞り開放値F2としてズミクロンの仕様を満たすならば、レンズを現在より大きくする必要がありミニルックスのオートフォーカス機構に支障がでるため?、ズミクロンの名前をコンパクトカメラに提供することへのためらいがあった?など考えられる。
40mm F2.4という仕様のレンズに、ズマリットという名称を付けた理由を考えるならば絞り値の相関くらいしか思い浮かばない。
絞り値相関を考えると、旧ズマリットの絞り開放F値:F1.5はズミルクス(F1.4)とズミクロン(F2)の間で通常命名ルールから外れたレンズとなる。
ミニルックスの絞り開放F値:F2.4も絞り開放F値がエルマリート(F2.8)とエルマー(F3.5~F4)の間にありレンズの命名ルールから外れている。このことから、すでに使われていなかったレンズ名のズマリットを再利用したと考えることもできる。
ミニルックスがリリースされた時点で、絞り開放値:F2のズマールや ズミターも空いていたわけで、これらのレンズ名はズミクロンからの繋がりが強いため避けられたと推測はできる。
このレンズに対して、新しい名前をつけるのか、従来の名前のどれかを踏襲するのか、悩んだ人物や会議があったことを想像するのは面白い。
ミニルックスのズマリットは名称復活ということもあり、ライカレンズの中でも若干の特別感があった。
しかし、2007年に35mm、50mm、75mm、90mmのズマリットシリーズがリリースされ、絞り開放F値F2のズミクロンとF2.8のエルマリートを埋めるレンズラインにズマリットというレンズ名が定着する。
以後、2011年のライカS向けレンズにおいても、ズミクロン(F2)とエルマリート(F2.8)の間に位置する開放F値のレンズにズマリットの名前が使われている。
| ライカSマウント(中判カメラ) | Mマウント | |
| 焦点距離:35 | F2.5(2013) | F2.4(2014)/F2.5(2007) |
| 焦点距離:50 | – | F2.4(2014)/F2.5(2007) |
| 焦点距離:70 | F2.5(2012) | – |
| 焦点距離:75 | – | F2.4(2014)/F2.5(2007) |
| 焦点距離:90 | – | F2.4(2014)/F2.5(2007) |
| 焦点距離:120 | F2.5(2013) | – |


| 項目 | SUMMARIT | SUMMICRON C |
| 焦点距離(mm) | 40 | 40 |
| 最大絞り | 2.4 | 2 |
| 最小絞り | 16 | 16 |
| レンズ構成 | 4群6枚 | 4群6枚 |
| 絞り羽根 | 12 | 10 |
| 最短撮影距離(m) | 0.8 | 0.8 |
| レンズ長(mm) | 21 | 23.5 |
| レンズ最大径(mm) | 49 | 50 |
| フィルター径(mm) | 37 | 39 |
| フード | 円筒型ねじ込みフード | ラッパ型ねじ込みフード 12518 |
| リリース年 | 1995 | 1972 |
| 製造本数 | 120,000 | 54,350- |
| 重量(g) | 54 | 120 |
参考情報
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更新履歴
- 2025.10.28
- 2024.10.4
- 2024.02.16:改稿
- 2023.12.28:初稿


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