LEICA SUMMILUX M 35mm ASPH.
非球面レンズ採用の2代目
ライカ・ズミルックス M 35mm F1.4 ASPH.(チタンカラー)のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例はLEICA M10
- 写真作例はLEICA M6 +FUJIFILM VALVIA50 +NIKON COOLSCAN-V
レビュー
1.使用感
紹介するレンズは、非球面タイプの2代目、チタンカラーバージョン。
写りは絞り開放からよく解像し、鮮やかな発色、歪曲、湾曲もよく補正された隙の無い描写は50mm F1.4ASPH.に通ずる雰囲気がある。過去の写真データを見ていると、雨の日に持ち出すことが多かったようで、雨の艶っぽさを上手に表現してくれるレンズだと感じる。
レンジファインダーレンズの中では、最後の一本に限りなく近かったレンズ、ズミルックス35mmは球面タイプも所有しており、どちらを残すか悩んで球面タイプを残した。
非球面タイプは球面タイプとくらべると、絞り開放から使えて最短撮影距離が0.7mと優れている。しかし、非球面タイプはレンズ本体が大きくデザインが平坦なこと、ヘリコイドのフィーリングが今ひとつだったのが個人的には不満点だった。
M9/M/M-P/M10とフルサイズデジタルライカ、M6とフィルムでの撮影、かなり使い込んだ思い入れがあるレンズだ。所有していたレンズは、フードがバヨネット式の旧型で、フードがねじ込み式になった新型はフローティング構造で近接時の写りが良くなったとの情報を見たことがあるが、新型を使っていないので真偽は不明である。新型はブラックとシルバーがリリースされている。
2.概要
ズミルックス・35mm F1.4 ASPH.は1993〜2010年までつくられた、焦点距離35mmのライカ M マウントレンズ。
マウント形状が新しいためレンズ認識用6bitコードを付加する公式改造は可能である。
ブラック、シルバー、チタンの3色がリリースされており、合計2万本近く製造されている。そのうち、シルバーは3000から4000、チタンは1000〜2000程度とリストからは読み取れる。
レンズ構成は、前玉が凹レンズで、前群の4枚と、非球面レンズを除く後群の4枚で対象型をとっている。このレンズ以降の新型はフローティング機構が採用され、近接撮影時の画質が改善されていると言われている。
3.比較
ズミルクス M 35mmは、球面タイプ(1960年)、手磨き非球面タイプ(1988年)、非球面タイプ(1993年)、フローティングエレメント採用(2010年)・非球面タイプ、フード組み込み・フローティングエレメント採用・非球面タイプ(2022年)と進化している。
球面タイプは別ページで紹介しているのでここでは、非球面タイプについてのみ記述する。
1998年に非球面タイプとして初めてリリースされた、ズミルクス M 35mm Asphericalは、レンズ銘板に、Asphericalと記述されているのでわかりやすい。中古市場でもかなり高額なので、商品があればすぐにわかるだろう。2010年代初頭にASPHERICAL表記のズミルクス Mがギリギリ買える値段で見かけた事があったが2本ほど見送ったら、2020年代になりとても買える値段ではなくなっている。所有していたとしても売るタイミングというのは難しいので、手に入れなかった物は縁がなかった物と思うようにしている。
今回紹介している、非球面レンズの2代目は、3色カラーバリエーションがあり、長く製造されたレンズである。
2010年に、ピント合わせをおこなうレンズ群にフローティングエレメントを採用して、フードはフック式からねじ込み式にリニューアルされたレンズがリリースされた。フローティングエレメントは近接撮影時の描写性能が向上していると言われるが、少しシチュエーションが変われば描写が変わるため、スタジオ撮影などでライティングを同一にして比較しなければその違いを認識する事は難しいと考える。
2022年にのリニューアルは大がかりで、ライカも時代の要請に応えるようになり、ミラーレスカメラでの使用を考慮し最短撮影距離が0.4mに短縮され、レンズフードは組み込み式で引き出し後にねじって固定するズミルクス M 50mm ASPH.と同じ機構に改められた。また、絞り羽根が11枚に増えている。レンズ構成は2010年モデルから変更はなく、レンズコートの進化、鏡筒変更に伴う機構のブラッシュアップがされていると考えられる。2020年代から日本の通貨安などもあいまってレンズの価格高騰がおこっており、日本国内における2024年のレンズ価格は約100万円となっている。
仕様
項目 | SUMMILUX ASPHERICAL | SUMMILUX ASPH.2nd | SUMMILUX ASPH.3rd | SUMMILUX ASPH.4th |
焦点距離(mm) | 35 | ← | ← | ← |
最大絞り | 1.4 | ← | ← | ← |
最小絞り | 16 | ← | ← | ← |
絞り羽根 | 9 | ← | ← | 11 |
レンズ構成 | 5群9枚 | ← | ← | ← |
最短撮影距離(m) | 0.7 | ← | ← | 0.4 |
レンズ長(mm) | – | 46.2 | 46 | 46 |
レンズ最大径(mm) | – | 53 | 56 | 58 |
フィルター径(mm) | E46 | ← | ← | ← |
Floating element | なし | なし | あり | あり |
重量(g) | ブラック:300 | ブラック:250 シルバー・チタン:415 | ブラック:320 | ブラック:338 シルバー:338 |
リリース年 | 1988 | 1993 | 2010 | 2022 |
製造本数 | 1988-1993 4,000 | 1998-2005 18,404 | – | – |
参考文献・参考リンク
- Leica Wiki 「35mm f/1.4 ASPH Summilux-M」
- SUMMILUX M 35mm ASPH. 使用レポート・日本語版
- SUMMILUX M 35mm ASPH. 2022バージョン 公式ウェブサイト
- SUMMILUX M 35mm ASPH, 2010版仕様PDF
- SUMMILUX M 35mm ASPH. 1993版仕様PDF
更新
- 2024.11.6
- 2023.03.02
- 2022.08.23
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