Last updated on 2025-11-19
ライカ・ズミルックス M 35mm F1.4 ASPH.(チタンカラー)をレンジファインダーフィルムカメラとデジタルレンジファインダーカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例は以下のカメラを使用した。
- LEICA M6 +FUJIFILM VALVIA50 +NIKON COOLSCAN-V
- LEICA M10
- LEICA M-P Typ240
- LEICA M9
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レビュー


1.概要
ズミルックス・35mm F1.4 ASPH.は1993〜2010年までつくられた、焦点距離35mmのライカ M マウントの広角レンズ。
主な仕様は以下のとおりで、詳細は「仕様・考察など」に記載した。
- 開放F値 1.4
- レンズ構成 5群9枚
- 非球面レンズ1枚
- 絞り羽根 9枚
- 最短撮影距離 0.7m
- ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.7m
- フード 12589
マウント形状が新しいためレンズ認識用6bitコードを付加する公式改造は可能だ。
ブラック、シルバー、チタンの3色がリリースされており、合計2万本近く製造されている。そのうち、シルバーは3000から4000、チタンは1000〜2000程度とリストからは読み取れる。
レンズ構成は、前玉が凹レンズで、前群の4枚と、非球面レンズを除く後群の4枚で対象型をとっている。このレンズ以降の新型はフローティング機構が採用され、近接撮影時の画質が改善されていると言われている。

2.使用感
ズミルックス・35mm F1.4 ASPH.の非球面採用レンズ、2代目、フードがフック固定式(12589)・旧型のチタンカラーバージョンを紹介する。
写りは絞り開放からよく解像し、鮮やかな発色、歪曲、湾曲もよく補正された隙の無い描写は50mm F1.4 ASPH.と同じような雰囲気がある。
過去の写真データを見ていると、雨の日に持ち出すことが多かったようで、雨の艶っぽさを上手に表現してくれるレンズだと感じる。
M6とフィルムでの撮影、35mmフルフレームセンサーカメラ LEICA M9、LEICA M typ240、LEICA M-P typ240、LEICA M10、ミラーレスカメラLEICA T typ701など、かなり使い込んだ思い入れがあるレンズだ。
■フィルムレンジファインダーカメラ
フィルムカメラ+リバーサルフィルムで使用すると、VELVIA 50の派手な色に負けない描写をする。画面全体で均質な描写をし風景撮影にも向いている。
M6は一般的な0.72倍ファインダーは広角側28mm〜望遠135mmまで対応したファインダー枠を持ち、本レンズを使用する際、二重像合致によるピント調節は絞り開放でもそれほど外すことはなかった。それでもM型ライカはシャッタスピードの上限が1/1000なので太陽がある場面ではシャッタースピードの上限が足りないため、絞って使うことも多かった。
LEICA M6 TTLはファインダー枠0.85版を使用していたので、ファインダーに重像によるピント合わせは0.72倍よりも精度よくできており、薄暗い場面では絞り開放で使うことも多かった。
0.85倍ファインダーのカメラはファインダー枠の最広角は焦点距離35mmで35mm~135mmに対応している。
M型ライカでもっとも低倍率の0.58倍ファインダーは28mm〜90mmのファインダー枠を持っており、大口径レンズの使用にあまり向いていない。
KONICA HEXAR-RFは広角側を重視した0.68倍ファインダーを持ち1/4000という高速シャッターを使えるため大口径レンズを絞り開放で使用できる。しかし、ファインダー倍率が低いため大口径レンズを絞り開放で使う場合、慣れていないと二重像合致でピントをあわせることが難しい。
HEXAR-RFは1/4000という速いシャッター速度を使えるが、ファインダー倍率が低いというチグハグさは残念に感じることがあった。
■デジタルレンジファインダーカメラ
LEICA M10とM-P typ240は35mmフルフレーム・2400万画素センサーを搭載したデジタルレンジファインダーカメラ、LEICA M9は35mmフルフレーム・1800万画素センサーを搭載している。いずれのカメラも撮影範囲はフィルム判と同じ感覚で撮影できる。
デジタルカメラは2000万画素程度になるとフィルムよりも解像感があるため、周辺部の描写が気になるレンズもあるがこの非球面レンズを採用したSUMMILUX M 35mmは画像全面で安定した描写をし、周辺減光が気になる場面もほとんどない。
デジタルカメラに向いたレンズといえ、それはモデルチェンジをしても基本的なレンズ構成に変化がないことがそれを実証している。
このレンズでは使用していないが、イメージセンサーにAPS-Hサイズ・1000万画素センサーを搭載したLEICA M8は、撮影焦点距離が実焦点距離35mmにセンサーサイズから導かれる換算係数1.33倍した47mm相当となり撮影画像はレンズ周辺部がカット(クロップ)された状態で記録される。このため、35mmフルフレームセンサーを搭載したカメラの画像よりも全体が整っていると感じられるだろう。
これは35mmフルフレームセンサーカメラの撮影画像をトリミングした状態と同じなので、実際に切り抜きをしてみるとその効果がわかる。
また、LEICA M8シリーズでこのレンズを使うときファインダーフレームは47mm相当が表示されるため、撮影範囲の把握に特別な意識は必要ない。外付けファインダーを使う場合は、47mm相当に近い50mmの外付けファインダーを利用することになる。
■ミラーレスカメラ
LEICA T typ701はAPS-Cサイズ1600万画素センサーを搭載したミラーレスカメラで、センサーサイズの小ささから焦点距離は実焦点距離の1.5倍になり、35mm *1.5=52.5mm相当の標準レンズに近い撮影範囲となる。
ミラーレスカメラはピント位置合わせに背面液晶か電子ビューファインダーを使用することで任意の場所に正確に合わせることができる。
そして、ピント位置をより正確にするためには、構図をあわせた後、ピント位置に表示拡大フレームを移動して確認氏ズレていれば修正する。そして、ピント位置調整後に構図を変更せず撮影するとよい。これは、絞り値がF1.4と明るいレンズの場合、構図移動にともなうカメラの位置変化によって、ピントの位置が微妙にずれてしまうためである。
3.まとめ
結論としてズミルックス・35mm F1.4 ASPH.をまとめると、フィルム、デジタルともに落ち着いた描写をし、解像感と情緒的描写のバランスがとれたレンズだ。
レンジファインダーカメラ向けレンズの中で、個人的に最後の一本に限りなく近かったレンズだったが、最終的にはこのレンズは手放しコンパクトさと鏡筒デザインが好みの球面SUMMILUX M 35mmを手元に残した。
このレンズを手放した理由は、球面SUMMILUX 35mmとくらべるて仕様面において絞り開放からの描写もよく、最短撮影距離 0.7mと近接でき、非球面SUMMILUXを残すのが撮影道具としては合理的だが、レンズ鏡筒が大きく鏡筒デザインがのっぺりとして起伏が無いデザインであること、ヘリコイドのフィーリングが軽くて今ひとつだったのが決め手だった。もう一つの理由として大型のSUMMILUX 35mmはライカRマウント版を所有していることも影響した。
仕様・考察など
ズミルクス M 35mmは、球面タイプ(1960年)、手磨き非球面タイプ(1988年)、非球面タイプ(1993年)、フローティングエレメント採用(2010年)・非球面タイプ、フード組み込み・フローティングエレメント採用・非球面タイプ(2022年)と進化している。
球面タイプは別ページで紹介しているのでここでは、非球面タイプについてのみ記述する。
1998年に非球面タイプとして初めてリリースされた、ズミルクス M 35mm Asphericalは、レンズ銘板に、Asphericalと記述されているのでわかりやすい。中古市場でもかなり高額なので、商品があればすぐにわかるだろう。2010年代初頭にASPHERICAL表記のズミルクス Mがギリギリ買える値段で見かけた事があったが2本ほど見送ったら、2020年代になりとても買える値段ではなくなっている。所有していたとしても売るタイミングというのは難しいので、手に入れなかった物は縁がなかった物と思うようにしている。
今回紹介している、非球面レンズの2代目は、3色カラーバリエーションがあり、長く製造されたレンズである。
2010年に、ピント合わせをおこなうレンズ群にフローティングエレメントを採用して、フードはフック式からねじ込み式にリニューアルされたレンズがリリースされた。フローティングエレメントは近接撮影時の描写性能が向上していると言われるが通常の撮影では光線状態などの影響で判断が難しいため、スタジオ撮影などでライティングを同一にして比較しなければその違いを認識する事は難しいと考える。
2022年にのリニューアルは大がかりで、ライカも時代の要請に応えるようになり、ミラーレスカメラでの使用を考慮し最短撮影距離が0.4mに短縮され、レンズフードは組み込み式で引き出し後にねじって固定するズミルクス M 50mm ASPH.と同じ機構に改められた。また、絞り羽根が11枚に増えている。レンズ構成は2010年モデルから変更はなく、レンズコートの進化、鏡筒変更に伴う機構のブラッシュアップがされていると考えられる。2020年代から日本の通貨安などもあいまってレンズの価格高騰がおこっており、日本国内における2024年のレンズ価格は約100万円となっている。
| 項目 | SUMMILUX ASPHERICAL | SUMMILUX ASPH.2nd | SUMMILUX ASPH.3rd | SUMMILUX ASPH.4th |
| 焦点距離(mm) | 35 | 35 | 35 | 35 |
| 最大絞り | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 |
| 最小絞り | 16 | 16 | 16 | 16 |
| 絞り羽根 | 9 | 9 | 9 | 11 |
| レンズ構成 | 5群9枚 | 5群9枚 | 5群9枚 | 5群9枚 |
| 最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.4 |
| レンズ長(mm) | – | 46.2 | 46 | 46 |
| レンズ最大径(mm) | – | 53 | 56 | 58 |
| フィルター径(mm) | E46 | E46 | E46 | E46 |
| 重量(g) | ブラック:300 | ブラック:250 シルバー・チタン:415 | ブラック:320 | ブラック:338 シルバー:338 |
| フード | 12587 | 12589 | 専用ネジ込み | 組込 |
| マウント | ライカM | ライカM | ライカM | ライカM |
| リリース年 | 1988 | 1993 | 2010 | 2022 |
| 製造本数 | 1988-1993 4,000 | 1993-2005 18,404 | – | – |
| Floating element | なし | なし | あり | あり |
DISTAGON T* 35mm F1.4 ZMとの比較


SUMMILUX M 35mm ASPH.とDISTAGON T* 35mmを比較すると、ディスタゴンの大きいことがよくわかる。
一眼レフカメラ向け35mm F1.4と比べると小さいけれど、レンジファインダーカメラとしてはかなり大きなレンズだ。レンジファインダーカメラに装着するとSUMMILUX M 35mm ASPH.でも大きいレンズと感じるため、DISTAGONのサイズはもはやレンジファインダーカメラ向けレンズには見えない。
参考情報
- Leica Wiki 「35mm f/1.4 ASPH Summilux-M」
- SUMMILUX M 35mm ASPH. 使用レポート・日本語版
- SUMMILUX M 35mm ASPH. 2022バージョン 公式ウェブサイト
- SUMMILUX M 35mm ASPH, 2010版仕様PDF
- SUMMILUX M 35mm ASPH. 1993版仕様PDF
- ZEISS Distagon T* 1.4/35 ZM・ZEISS 公式ページ
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更新
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- 2023.03.02
- 2022.08.23


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