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「諏訪敦|きみはうつくしい」 WHAT MUSEUM

Last updated on 2026-03-03

2025年9月〜2026年3月に鑑賞した、「諏訪敦|きみはうつくしい」WHAT MUSEUMの感想

目次

展概要

  • 展題:諏訪敦|きみはうつくしい
  • 日付:2025年9月11日—2026年3月1日
  • 場所:WHAT MUSEUM

展示の章立てと展示内容概略

  • SPACE 1(1階)『どうせなにも見えない』2020年までの作品
  • SPACE 2 前室(1階)『なかだつ人』成山明光氏(成山画廊)
  • SPACE 2(1階)『喪失を描く』人物(撮影不可)
  • HALL(2階)『汀にて』自画像
  • SPACE 3(2階)『横たえる』・家族
  • SPACE 4(2階)『語り出さないのか』・静物と生物のあわい
  • SPACE 5(2階)・創作ドキュメンタリー映像

本展は撮影可能だが、1階のSPACE 2は撮影不可となっている。

  • 2025.9.28:トークショー『「ゾンビ化する社会』で絵画を考える』中野信子、諏訪敦、宮本武典
  • 2025.10.13:トークショー『「汀にて』*1 が問いかけるもの~流れていくモノとしての絵画~』山田五郎、諏訪敦、宮本武典
    • *1:みぎわにて
  • 2025.11.29:『不死と絵画とわたしたち』藤野可織×赤坂憲雄×諏訪敦
  • 2025.11:図録発売記念イベント
  • 2026.1.18: トークショー『悲哀に美を感じるとき』石津智大×諏訪敦
  • 2026.2.28:短編小説「さよなら」朗読会・朗読者・渡辺真起子
  • 2026.3.1:クロージングトークショー 諏訪敦、宮本武典

感想「画家の眼差しをおって」

感想を書こうとして4か月経過しており、会期終了まであと20日程度。
展覧会の開始前に会期中使える展覧会パスポートを買ったのはとても良い判断で、初回の2025年9月12日から7回くらい足を運んでいる。展示終了まで機会をつくって会場を訪れたい。

感想をはじめる。
1階フロアーは3つの章で構成されており、入口右側の部屋は『どうせなにも見えない』と章題され、これは2011年に求龍堂から発刊された画集のタイトルと同じだ。
展示作品はその年代のものが主で、この部屋は時間の止まった静謐さを感じる。

左の部屋に向かう途中は『なかだつ人』と章題され、成山画廊オーナーの成山明光氏の肖像画が3点展示されている。この成山明光氏を描いた肖像画群は、他の作品で感じる少し距離を持った厳しさがみられず、作品からおだやかな空気が感じられ、それは成山明光氏の人柄、画家との関係性が反映しているように思われた。

そして、1階奥の部屋は『喪失を描く』と章題され故人の作品が展示されている。
この部屋でもっとも印象に残った作品は《遠方よりの客》2016-2017・油彩。
この作品の前にはじめて立ち、描かれた口から漏れる息のような靄を見たとき、すごい作品をみたという驚き、そして作品に描かれた彼がそこに存在するように感じた。
諏訪の描く絵画だから表現可能な、「徹底的に美しく描く」というポリシーが到達した頂のひとつと言いたい。

2階フロアーヘ向かう階段を上がると最初に目に入るのは、高さ4m程度の大きな絵画《汀にて》
この作品は画家の見る閃輝暗点の光が鮮烈に描かれている。その奥に《汀にて》のモチーフとなったブリコラージュの立体作品とドローイングによるインスタレーションで画家の創作現場を再現している。
空間を見ながら《汀にて》に描かれた世界を、ARよろしく脳内に再現しようとしたが、残念ながら鮮やかな光の世界をつくることはできなかった。

2階右の部屋は『横たえる』と章題され、作品の中で印象に残ったのは、ご家族の病室における姿が描かれている作品群。家族や近しい人を病室で見る、見送る経験がないため、このような状況における感情の揺れについてはよくわからない。
今後そのような状況に陥ることがあるのか、ないのか、それはわからないが、そのときこれらの作品を思い出すに違いない。

2階左の部屋は『語り出さないのか』と章題され、人物画から距離を置いた時期に描かれた静物画が展示されている。
ここに展示された絵画は、1階フロアーに展示された静止した作品とは異なり、作品から時間の流れと描かれた対象の息づかいが感じられる。しかし、それは死に向かっていることと同義で時間の残酷さを見せつけられる。
何度かこの部屋を訪れているが、絵画、オブジェを見るたびにあらたな発見があり、散りばめられた小ネタを探す面白さがある。

一番奥の部屋で上映されている24分のドキュメンタリー映像は、画家が《汀にて》を制作している現場とインタビューの映像で構成されており、映像を眺めていると聞こえる画家がキャンバスに線を刻むときのキーッという音がとても印象的。

最後の映像を見て心地よい疲労を感じながら出口へ向かう。出口に向かいながらすでにみた作品を横目に歩くが、その印象はつい数分前と異なる。これが諏訪作品の沼の深さなのだろう。

追記:会期最終日2026年3月1日

2026年9月11日からはじまった「諏訪敦|きみはうつくしい」は2026年3月1日にフィナーレを迎えた。
最終日にクロージングトークショー 「諏訪敦 x 宮本武典」が開催されるということで、最後の会場に足を運んだ。最終日ということもあり会場は盛況だが混雑と言うほどではなく、あらためて作品解説を聞きながらのんびりと鑑賞した。

クロージングトークショー 「諏訪敦 x 宮本武典」は約100名の聴衆をあつめて、1時間半にわたり諏訪氏と宮本氏のトークが繰り広げられた。やはり、本展の核である「SPACE 2『喪失を描く』」、「HALL『汀にて』」のボリュームが大きく、他の章についてはかなり駆け足での説明となった。
他の章についても時間さえあればきっとまだまだ語ることは残っているように感じられた。

トークの最後に本展に展示されなかった作品の話をうかがうことができ、それらはキュレーションの観点、所有者の都合で展示されなかった作品たち。
スライドに映された作品は鑑賞したことのない作品ばかりで、作品の美しさはもとより、それにまつわるエピソードがとても魅力的で、なんどか話だけうかがっている、「田名網敬一 x 諏訪敦」のコラボ作品の映像を出そうとしたけれど、直前に諏訪氏の判断でNGになったとのことで、今回も幻の「田名網敬一 x 諏訪敦」いつか鑑賞できる日はくるのだろうか?

本展ではトークショーなどを含む作家の出演したイベントが5回程度開催され、作家・諏訪敦の過去と今を掘り下げる話が多く残された。キュレーターの宮本氏はドキュメンタリー作家でもあるので、そのうちどこかでまとまった形になるかもしれない。

8回程度見たが、それでもなお発見がある、繰り返し見ることによって作品への見方が変わるということを再認識させてくれた展示、なかなか複数回いくことは難しい場合が多いが、好きな作品の展示は複数回見にいきたい。

次に諏訪さんの作品を鑑賞できそうなのは、「NHK日曜美術館50年展」。
トークで聞いた話によると、諏訪敦さんの作品は1点出品されるけれど、展示は東京会場のみとなるとのこと。

  • 東京会場 2026年3月28日(土)~6月21日(日) 藝大美術館
  • 静岡会場 2026年7月~9月<予定> 静岡県立美術館
  • 大阪会場 2026年10月10日(土)~12月20日(日) 大阪中之島美術館

天王洲のWHAT MUSEUMに行く前に、銀座の森岡書店にて、「豆腐の上に頭蓋骨が載って在る」の原画を鑑賞した。こちらは別ページ「諏訪敦『きみはうつくしい』(青幻舎)刊行記念展・森岡書店」を作成した。

まとめ

展示を見ながら、画家の眼差しを追体験し、いずれおとづれる死という問いを得る。
幼いころとても怖かった死。幸い生き続けるたことで、それは人に等しくやってくるものであり、考えても詮無きことと、恐れの感情はどこかに置いて生きてきた。その感情を思い出し再考した。

余談

諏訪氏の作品をはじめて美術館で鑑賞したのは、2015年に千葉にあるホキ美術館。
特別展「3つの個性 ー表現の可能性を探るー」の開催時に、所蔵品を展示するGallery 8で《満ち欠けをかぞえる》を鑑賞。

その後、2021年12月に同じくホキ美術館で「永遠の瞬間」静物画展で《exit》、2022年の府中市美術館での個展「眼窩底の火事」と鑑賞して今回の展示となる。

会期半ばの2026年1月からはじまった、豆腐骸骨のくじはすでに5回通ったが、「はずれ」続きで、もう一度訪問しようと思ったら豆腐ドクロの在庫が尽きていた。友人は一発で引き当てたとのことなので縁が無かったのだろう。

参考情報

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撮影

  • HASSELBLAD X2D-100C +XCD 28mmP
  • PANASONIC LUMIX DMC-LX7
  • SONY DSC-RX1

更新履歴

  • 2026.3.2
  • 2026.2.8

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