谷保玲奈展「け這う kehau」・龍子記念館

谷保玲奈展「け這う kehau」・龍子記念館

【感想題】「交差する視線」

目次

谷保玲奈展「け這う kehau」

概要

  • 展名:谷保玲奈展「け這う kehau」
  • 開催期間 :2025年3月29日(土)~6月22日(日)
  • 開催場所 :大田区立 龍子記念館(東京都・大田区)

本展は、常設展示の名作展「川端龍子の描き出した世界 生誕140年を迎えて」と同時開催となっている。

展示作品は美術館部分に15点とドローイング数点、邸宅部分に6点とインスタレーションを1点の作品を展示している。

館内について

  • 館内は撮影可能。
  • 作品リストはリンク先PDF。
  • 売店で販売している紹介冊子500円は本展には展示されない作品をアトリエに展示している写真も掲載されている。
  • 本展は常設展示の入館料で鑑賞できる。
  • アトリエ見学は会期中の金曜、土曜、日曜、祝日に開催し1回最大15名、1日2回受け付けており、事前にウェブで予約する。

【感想】「交差する視線」

アトリエ

龍子美術館の「アトリエ見学」は事前登録をおこない開始時間の少し間に美術館ロビーに集合して受付を済ませた後、案内の人と一緒にアトリエに向かう。アトリエは通常の邸宅見学時は外から眺めるだけだけれど、アトリエ見学では中に入って建物と展示作品があるときは作品を鑑賞できる。

今回のアトリエ見学では、アトリエ中央に展示された6枚組の作品《け這う kehau》が主たる展示になる。この作品はアトリエで生まれ、そこに描かれたのはアトリエの周りに広がる庭に実在する動物と植物だ。

正面から作品をみると、外光に照らされた眼と自分の視線が交差する。
その眼は龍子庭に潜んで獲物を狙っている獣と思われ、その力強い視線はとても印象的だ。

作品の裏に廻ると直接塗られていない絵肌はおぼろげで、作品に遮られ弱まった外光とあいまって、こちらが静かに眼の持ち主を観察している気持ちになる。

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美術館

アトリエ見学後に鑑賞した館内は、谷保の創作を記録した映像から始まり、小さな2作品とドローイングが展示されたコーナーがある。下写真の猫はドローイングの一枚だ。

先に進むと、谷保の《播種II》と龍子《使徒所行讃》が向かい合わせに展示されている。《播種II》をみていると後ろにある《使徒所行讃》の鬼からみられているような気分がした。

さらに進むと、龍子の大判の作品が続き、突き当たりの空間では谷保と龍子の作品が調和した空間が広がっていた。

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まとめ

今回の展示はやはりアトリエに展示された《け這う kehau》につきる。写真とは異なる時間を凝縮した世界は絵画作品の醍醐味だ。

そして、作品の中で印象的な眼は正面と裏面で印象が大きく異なり、さらにアトリエの外からはガラスに映る景色と作品が一体化する。表、裏、ガラス越しと一粒で3度美味しい作品。

常設展示の鑑賞料で見ることができ、とても満足感のある展示だった。

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更新履歴

  • 2025.6.22

撮影機材

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