ライカRマウント望遠レンズ、テリート R 350mm F4.8をEOS 1Ds Mk-IIIとHASSELBLAD X1DII-50cで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例は以下のカメラを使用した。
- HASSELBLAD X1DII-50C
- CANON EOS 1Ds Mk-III
レビュー


1.概要
テリート R 350mmは1979年にリリースされたライカRマウント用の望遠レンズ。
海外のLeica-ForumのWikiの情報では1993年までに2,650本作られた。
主な仕様は以下のとおりで、詳細は「仕様・考察など」に記した。
- 絞り開放F値:4.8
- レンズ構成:5群7枚
- 最短撮影距離:3m
- 絞り羽根:8枚
- 重量:1.8kg
2.使用感
テリート R 350mmの鏡筒形状は、ライカRレンズ後期にみられる端正な造形だ。
描写は古い望遠レンズなりで、レンズ枚数が少ないため抜けの良い描写をするけれど、被写体の周囲に偽色がでることがある。最短撮影距離は3mでそれほど寄れるものではないが、望遠レンズなので一般的な仕様だろう。
操作性はフォーカスリングの幅は広く回しやすい。絞りリングはレンズ付けにあり意図せぬ回転などはしないしっかりした作りだ。
重量は2kg弱あるが細長いためかそれほど重量感は感じない。レンズ長が29cmあるためカメラに装着すると手持ちのカメラバックにはいらないことがある。フードは引き出しタイプのものが組み込まれており、フード長さも十分あり野外で心強い。
市場ではたまに見かけるレンズだが値段はかなりばらつきがある、所有している個体は小曇りありで数万円で購入した。おそらくレンズ状態がよいのだろうが、高いものだと15万円くらいのプライスがついているのを見たことがある。
ドイツ製(ELW)とカナダ製(ELC)があるようだが、ドイツ製(ELW)しか見たことがない。
x2 APO-EXTENDER、x2-EXTENDERを使い、700mm F11のレンズとして使用することができる。
後玉の位置からx1.4 APO-EXTENDERも使えそうだが、実物でテストしていないので不明である。
■ デジタル一眼レフカメラ
テリート R 350mmをCANON EOS 1Ds Mk-IIIで使用したところ、一部の広角ライカRマウントレンズで問題となる、Err20が発生することは無かった。
このレンズは絞り開放F値がF4.8と暗いため、一眼レフカメラではファインダーが暗くなり、被写体の視認性はよくない。
撮影結果をみると、ピント面の解像感は申し分ないが、ISO100設定ではボディ側に手ぶれ補正機構が無いため、焦点距離350mmを1/120でブレなく撮るのは難しかった。
やはり長焦点距離で撮影する場合は、ボディ内手ぶれ補正機構があるカメラが便利だと実感した。
■ 中判デジタルミラーレスカメラ
HASSELBLAD X1DII-50Cは5000万画素の中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、44mm x 33mmと35mmフィルム判よりも大きなセンサーサイズをしている。
テリート R 350mmは他のライカRマウント望遠レンズと同様にイメージサークルが広く、X1DII-50cのセンサーサイズをカバーしているため撮影結果を確認しても周辺減光や周辺部でのけられは見られない。
そして、X1DII-50Cはボディにメカシャッターを持たないので、レンズ側にシャッターの無いレンズでは電子シャッターを使用して撮影する。この利点はシャッターショックがほとんど無いことだ。
よって、カメラにボディ内手ぶれ補正機構はないけれど、実用的なISO感度がISO3200まで使えるのでシャッタースピードを上昇させることが可能なことと相まって手ブレしづらいカメラとなっている。
ただし、電子シャッターの弱点である撮影時に被写体が移動することによって生じるローリング歪みには注意が必要だ。
3.まとめ
結論としてテリート R 350mmをまとめると、焦点距離なりに全長が長いレンズで取り回しはよくない。被写体の周囲に偽色があらわれることもあり、色収差が気になることがある。
このレンズは設計が古く、レンズ構成もシンプルなため、収差補正については十分でない。描写性能を求めるならば、APO TELYT 280mm以上のAPOがついた望遠レンズを選択するのがよい。しかしマニュアルフォーカスレンズなので、ピント合わせと構図合わせの2つを同時に実行する必要がありレンズ操作に慣れが必要だ。
仕様・考察など
本レンズと同形状で少し焦点距離の短いテリート R 250mm F4がある。
ライカRマウントの望遠レンズ群はTELYT名で250mm〜600mmまで幅広く用意されている。280mmまでは個別のプロダクトでリリースされているが、280mmより望遠のレンズは、マウント部とレンズが中央で分割する方式になっており、その組み合わせによってさまざまな焦点距離と開放F値を作り出すことができるシステムレンズとなっている。
| 項目 | TELYT 350 (11915) | TELYT 250 (11925) |
| 焦点距離(mm) | 350 | 250 |
| 最大絞り | 4.8 | 4 |
| 最小絞り | 22 | 22 |
| 絞り羽根 | 8 | 8 |
| レンズ構成 | 5群7枚 | 6群7枚 |
| 最短撮影距離(m) | 3.0 | 1.7 |
| レンズ長(mm) | 286 | 195 |
| レンズ最大径(mm) | 83.5 | 75 |
| フィルター径(mm) | 77 | 67 |
| 重量(g) | 1,820 | 1,230 |
| 製造本数 | 2,650 | 3,663 |
| リリース年 | 1979-1993 | 1980-1993 |
参考情報
- R型ライカのすべて/著者:中村信一/朝日ソノラマ編 Ads by Amazon
- Canon Leica-R Compatibility Database
- LELYT-R 4.8/350 Leica wiki
- LELYT-R 4.8/350 詳細レポート
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更新
- 2025.2.2
- 2024.03.03:改稿
- 2022.02.27:初稿


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