VARIO-ELMAR-R 105-280 F4.2

ライカ版サンヨン・ズームレンズ

バリオ・エルマー 105-280のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2Dを使用した。

レビュー

バリオ・エルマー 105-280 F4.2はRマウント末期にリリースされた望遠ズームレンズ。

このレンズの第一印象は重いである。レンズ仕様で比べているアポ・テリートと同程度の重量であるが、重量のかさむ大きなレンズがレンズ前方に集中していることと、レンズ中央にあるズームリングとフォーカスリングの幅がほぼ同じで、窮屈なレイアウトになっており、撮影時のホールドポイントが限定されることも影響しているように思われる。

リングレイアウトには少し難があるが、操作上はズームリングは適度な重さがあり、不用意に焦点距離が変わることなく、左端が広角端の105mmで右に回すとテレ方向に動き右端が望遠端の280mmとなる。
このレンズはインターナルフォーカスでは無く、フォーカスでレンズ長がかわるレンズである。
フォーカスリングはズームリングより軽く軽快に操作できるが回転角が330度程度あるため、無限から最短まではかなり回す印象だ。左端が無限遠で右に回すと撮影距離が短くなりレンズは伸びる。右端が最短撮影距離でレンズは最も長くなる。フォーカスリングはもう少し幅が欲しいと思う。

そして、やはりこの大きさのズームレンズの場合、焦点距離の変更に伴い自動的にフォーカスを変更する、オートフォーカス(以下、AF)機構が欲しくなる。特に野外で動く対象を撮影する際には焦点距離は固定して、フォーカス作業に集中するしか無くなる。

最短撮影距離はすべての焦点距離で最短1.7mであり、焦点距離280mmはかなり寄れる印象になる。
X2Dの44mm x33mmセンサーで撮影した結果、焦点距離105mm青空を写すと四隅にケラレが見られるが一般的な撮影で気になることはないだろう。そして、ズームしていくと徐々にケラレは解消され280mmの位置ではほぼ全面を使用できる。

このように、35mmフォーマットにたいしては、余裕を持ったイメージサークルであるため、ミラーレス35mmフルサイズカメラで使う場合、全面で良好な画質が期待できる。
撮影倍率を増加させるテレコンバーター、APO-EXTENDER x2を使った場合もレンズ運用に問題はない。APO-EXTENDER x1.4はレンズ後玉の位置からすると装着できそうだが、手元にAPO-EXTENDER x1.4がないため確認できないが、LENS-DB.comの情報によると問題なく使えるようだ。

レンズフードは組み込み式で、前に引っ張り出すのみでフードロックの機構はない。

焦点距離としてはアポ・テリート 280mm F4とかぶるレンズで、レンズスペックの違いを確認すると、レンズ最大径、フィルター径は同じで、バリオ・エルマーのレンズ長が20mm長く、重量は100g程度重く、絞り開放のF値は4.2と少しだけ暗い。

APO-TELYT 280mm同様に、APO-EXTENDER x2を付けた撮影結果を見ても大きな劣化は感じられない。下の月は、中央を切りだし縮小した撮影結果。

VARIO-ELMAR-R 105-280 +APO-EXTENDER x2

このバリオ・エルマー105-280は日本メーカーが流行らせた、F4通しの100-300mmレンズ(サンヨンズーム)と同じカテゴリーになる。F値を律儀に4.2と表記しているところに製造者の誠実さを感じる。マーケティング的には数値をごまかしてF4とした方が売れるのは間違いない。以前所有していたシグマの100-300mm F4は重量が1400g程度で、このレンズは500g程度重い。

1996年から1997年の2年間に約1500本作られ、それほど製造本数が多くないの割に日本の中古市場でよく見かけるレンズだ。これはズームレンズ人気の高い日本にそれなりの数が販売されたためと推測する。

10年間で5回くらい見かけていて、このたびめでたく捕獲した。価格は状態にもよるのだろうがピンキリで、最も安い物は2015年くらいに15万円程度で見かけた。2022年でも20万円から30万円の範囲で見かけるため、ebayなどの海外市場での販売価格とくらべると日本はずいぶん安く売られている印象がある。

仕様

項目VARIO ELMARAPO-TELYT備考
焦点距離(mm)105-280280
最大絞り4.24
最小絞り22221/2刻み
レンズ構成10群13枚6群7枚
絞り羽根8枚8枚
最短撮影距離(m)1.71.7m
レンズ長(mm)236208マウント面からの距離
レンズ最大径(mm)8888三脚座を除く
フィルター径(mm)7777
重量(g)19501875
製造本数15002000
リリース年1996〜19971993〜1997

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.07.15
  • 2022.11.07

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