福田尚代 個展「​日な曇り」・YOKOTA TOKYO

福田尚代 個展「​日な曇り」・YOKOTA TOKYO

【海をのぞき込むように】(感想題)

浜松町駅から徒歩15分のYOKOTA TOKYOで「日な曇り」を鑑賞した感想。

目次

概要

写真撮影は、会場風景OK、作品のアップ撮影NG(大きなカメラだけかも)。

今回の展示をしている浜松町のYOKOTA TOKYOは元ライブハウスをギャラリーに改装したという天井が高い変わり種の展示空間。本展はギャラリー1階に4種7点、2階に3種7点の14点が展示されている。

感想【海をのぞき込むように】

天気のよい日に訪問したので、ギャラリーに入ると天井から差し込む光が年季の入ったコンクリート床に反射して、眼前に海が広がる。会場の入口そばに展示された《漂着物/ひとすくい》の消しゴム舟をみていると床の段差が波のように感じられる。

《言葉の精霊『宝島』》、《書物の魂》は本の一部、《煙の素》は限界まで使った鉛筆から作られた作品、天井からの光に浮かぶ作品は蜃気楼のような不確かさがあり、過ぎ去った時間の象徴と思えた。

2階への階段を上ると上陸したような気持ちになる。そこは書庫+展示空間となっている。

はじめに《書物の骨》5作品がケースに展示されており、これはまさに本の背骨を標本にしている。
この見立ての感性は福田作品を鑑賞したくなる特徴のひとつだ。

その奥に白壁と同化するように《無題》が展示されている。この作品は福田尚代さんのX投稿から以下引用させていただくと、本展示が現在と過去が交差した展示になっていることがわかる。

  • [最初期の作品(1989年)をご覧いただける稀有な機会となりました。じつは言葉の作品の第1作目。点描から言葉へと移行していく時期の初めての成就。](引用終わり)

最後に、福田尚代さんの代表的な作品である本の頁を折りたたんだ《翼あるもの『すべての、白いものたちの』》で終了となる。書名『すべての、白いものたちの』はノーベル文学賞を受賞したハン・ガン(韓江)さんの作品。

このほかに、館内には福田尚代さん仕掛けた秘密の作品が3つあり、会場のすみずみを眺めると鑑賞することができる。

まとめ

海を感じさせる空間と作品たち、立体的な空間にぼんやりと浮かぶ作品を鑑賞する楽しみ、静かにそして能動的に鑑賞する展示。

2階の書庫は現代アートに関する蔵書がたくさん並んでおり、今回は時間をあまりとれなかったので本を読むことができるのかギャラリーの人に確認はしなかったが、背表紙を見るかぎり興味深い書が並んでおり、可能ならばゆっくりしたい空間。

この空間は元ライブハウスで現在とは異なる熱狂があった場所、いまはギャラリーとなっている。
空間の対照的な過去と現在に時間の流れを強く意識する。

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更新履歴

  • 2025.6.7

撮影機材

  • HASSELBLAD X2D-100C +HASSELBLAD HC 50mm-II +XH-Converter0.8

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