藤田嗣治 7つの情熱・SOMPO美術館

「眼差しと23匹の猫」
新宿東口にあるSOMPO美術館で開催された「藤田嗣治 7つの情熱 展」の鑑賞レポート。
目次
藤田嗣治 7つの情熱
概要
- 展名:藤田嗣治 7つの情熱
- 会期:2025年4月12日(土)~6月22(日)
- 場所:SOMPO美術館
- その他:アソビューにて一般は常時100円引きの1700円(事前価格と同額)でチケット販売中。
- 巡回
- 2025.2.1~3.30 パラミタミュージアム
- 2025.4.12~6.22 SOMPO 美術館
- 2025.6.29~9.15 神戸市立小磯記念美術館
- 2025.10.3~11.9 鹿児島市立美術館
- 2026.1.24~3.29 ふくやま美術館
展示は7章で構成され、展示作品数は配布リストによると134点、うちno. 33, 50, 86, 89, 93, 127, S-11, S-17, S-21, S-22, S-24, S-27, S-30, S-31, S-33, S-35は東京展での展示は無し。他巡回展においても場所によって展示の無い作品がある。
展示は国内、フランス、ベルギー、イスラエルの作品で構成されている。
- 1章 自己表現への情熱 La Passion de lui-même
- 2章 風景への情熱 La Passion de ciel
- 3章 前衛への情熱 La Passion de l’avant-garde
- 4章 東方と西方への情熱 La Passion de l’est et de l’ouest
- 5章 女性への情熱 La Passion de la femme
- 6章 子どもへの情熱 La Passion des enfants
- 7章 天国と天使への情熱 La Passion des anges et du paradis
展示フロアーは5階から始まり4階の2フロアーにフジタの作品を展示。
3階は「第二部 情熱の来し方行く末 ― 藤田嗣治を囲む日本人美術家たち」と題して、フジタと交流のあった画家、川島理一郎、板東敏雄、小柳正、東郷青児、岡鹿之助、高野三三男、高崎剛、海老原喜之助、田淵安一の作品を展示。
館内撮影は不可で、出口付近のゴッホの《ひまわり》と所蔵作品の東郷青児《窓》のみ撮影可。
図録などのグッズは2階の店で販売している。
券売所は1階で土、日でチケット購入列が並んでいるときは、アソビューのスマホチケットだと、チケット列には並ばなくて良い。スマホのアソビューはサイトの検索が使いづらくてちょっと萎える。
来館記録用の紙の半券はスマホチケットで入場する際にチケット確認のところで紙の半券が欲しいと伝えると貰うことができる。最近は紙の半券をおかないところも多いので、紙半券が残っている館は少し嬉しい。
感想
個人蔵の出品が多いと言うことで鑑賞に赴く。今回は「眼差しと猫」を中心にみた。
1章 自己表現への情熱 La Passion de lui-même
様々な年代の自画像が展示されている。
フジタの眼フェチ&自分大好きが《ユキの眼の中の自画像》に同居していて面白い。
油彩の《白猫》《虎猫》は猫をフィーチャーした作品、後は自画像に猫が入り込んでいる。4作品に猫4匹。
2章 風景への情熱 La Passion de ciel
フジタの風景画を様々な年代からチョイスして展示、初期作品の《凧揚げ、パリ》の真っ黒な人が真っ黒な凧を揚げている風景がシュールレアリスティックで面白い。
《おやすみなさい、雪中の猫と一緒の少女》の1作に猫1匹。こちらもフジタの描く眼光鋭い少女+猫という鉄板の組み合わせ。
3章 前衛への情熱 La Passion de l’avant-garde
点数は少ないけれど、フランスの個人蔵の作品から、フジタがキュビズムに興味を持って、取り組んだ様子が見られる。この章は猫無し。
4章 東方と西方への情熱 La Passion de l’est et de l’ouest
31歳頃の画風を模索している時代の作品が並んでいる。本章も個人蔵の作品だけで構成されている。
眼の造形が独特の時代で、公式ページには「仏像のようなアーモンド形の眼」とありそうかもと思いつつ、他でも似た形の眼を見た気がするけれど記憶がつながらない。この章は猫無し。
5章 女性への情熱 La Passion de la femme
ここでは、フジタ特有の乳白色の作品をみることができる。三井住友銀行が所蔵する《Y夫人の肖像》は、肖像画に猫4匹と肖像画としてはあまりみないスタイル。この作品は何度か見たことがあるけれど、何度見ても澄ました夫人と猫のコントラストが秀逸。この《Y夫人の肖像》の4匹を含め、3作品に猫7匹。
6章 子どもへの情熱 La Passion des enfants
こちらは、ポーラ美術館が精力的に集めている、子供シリーズが中心、猫と子供の作品が5点並んでいるところ、少女と猫の描き分けにフジタのすごさが感じられる。こちらは1作品1猫となっており11作品に11匹。
《3つボタンの服の少女》の眼差しが本展ではもっとも気になる目線でした。
7章 天国と天使への情熱 La Passion des anges et du paradis
こちらは、軽井沢・安東美術館の教会を模した部屋と同系統の晩年に描かれたキリスト教関連の作品を多く展示。
松岡美術館の《生誕》が白金から出張してきている。いつもは天井の低い展示室に展示されているため、異なる空間でみる作品は新鮮だ。この作品は三重県のパラミタミュージアムでは出品されなかった。他の会場も神戸、鹿児島、広島なので、東京のみの出品と思われる。松岡美術館としても長距離移動は避けたいでしょうしね。
《天国と地獄》《黙示録の四人の騎士》のなかに、猫とフジタ自身がいそうなので探してみた。フジタはみつからなかったけど猫っぽい獣はいた。猫っぽいなのでカウントせずに0匹。
まとめ
章立てはテーマ毎になっており、章内の作品年代はばらけており、バラエティに富んだ作品をみることができる。
ポスターや版画などを含めると、フジタは膨大な作品を残しているため、どこかでみたような物も多かった。
作品が多すぎて初見かどうか忘れているところがミソかもしれない。
関連作家を3階にまとめたのも鑑賞しやすいのでよい。展示に必然性があって混じってるなら良いけれど、ただ隙間を埋めるように他作家を混ぜられると見辛いことがある。
ギャラリー


関連リンク
更新履歴
- 2025.5.15
撮影機材
- SONY α NEX-7 +ELAMRIT R 24mm +BAVEYE
- LEICA T +Ms-Optics APORIA 24mm
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