LEICA SUMMILUX M 50mm F1.4 1st.

白い貴婦人

初代ズミルクス M 50mm F1.4のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA M6 +KODAK E100VS +NIKON COOLSCAN-V

レビュー

1.概要

初代・ズミルクス M 50mmは1958〜1960年までつくられた、明るい標準レンズで、レンズの区分けは人によってことなるが、ここではLEICA Wikiの表記に倣い、シルバーは初代、ブラックを2代目、フード組み込みを3代目、非球面を4代目と分けている。

初代ズミルクスは、マウント形状が古いためデジタルM型ライカで使用するレンズ認識用6bitコードを付加する公式改造はできない。
フィルター径は43mmで、一般的なネジ径のフィルターが装着できるが、ライカやUNがリリースしている、前面にネジを切っていないE43薄型フィルターがよく似合う。

絞り羽根の枚数は16枚と多い。

レンズフードは、XOOIM(12521)、12586が使用できる。
XOOIM(12521)はラッパ型のフードでフード表面の縮緬加工されており、名称の12521はXOOIMの別表記である。
12586はスリットの入ったフードで、2代目ズミルクスとともに流通していることが多いが、初代ズミルクスにも装着できる。

2.使用感

初代・ズミルクス M 50mmとの出会いは、LEICA M6とKODAK DSC SLR Pro/nを持っていた旅先の京都のカメラ屋で、中玉にすこしカビ跡があったが、ヘリコイドはスムーズでピントも問題がないように感じられたので、外観に惚れ込んだため購入した。

夜の京都でデジタル一眼レフと併用したところ、ピント合わせの圧倒的な容易さにレンジファインダーカメラのアドバンテージを感じた。

写りに関してはデジタルでも柔らかな描写を楽しめるが、レンズが作られた年代からするとフィルムで楽しむのが適している。とくに発色のよいリバーサルフィルムで撮影したスライドをライトボックスかスライドプロジェクターで鑑賞すると、とてもよい色をみせてくれる。

レンズがくたびれているためかもしれないが、現代レンズのような切れる解像感はないが、開放のふわりとした描写がとても好ましい。最短撮影距離は一眼レフカメラの50mmに及ばない1mという距離だが、この制約を意識して撮影に臨むのも楽しい。

購入した当時はいまよりもずいぶんお安く、カビ取り残りありのレンズだったため10万円前半で購入できた。これも金欠の折、手元に残す50mmをどれにするか悩んだすえに売ってしまったが、手元に置いておきたかった一本だ。

3.比較

シルバー鏡筒の初代ズミルクス(ズミルックス)は、細かな意匠の違いはあるが、フォーカスリングのローレット部分、レンズ付け根のディンプル模様に工芸品を思わせる美しさがある。後継レンズであるブラック鏡筒のズミルクスは無骨な工業製品の印象があるのとは対照的だ。

2代目まではフードが別づけて、3代目からレンズフードが組み込みになり、最短撮影距離が0.7mへ短縮される。4代目は非球面レンズを採用し、レンズ構成も大きく変わる。

同じ焦点距離ので1段絞りが暗いズミクロンと比較した場合、いずれのズミルクスもズミクロンより一回り大きく少し重たい。しかし、コンパクトなレンジファインダーカメラ用レンズでは、それほど気になる差ではないので、明るいズミルクスを選択したほうが汎用性が高いと考える。
レンズを揃える際に、50mmにズミルクスを選択して、35mmもズミルクスを選択した場合、ズミクロン50mm+35mmと比べると倍くらい費用が異なることを覚悟する必要がある。

仕様・比較

項目初代 ズミルクス3rd ズミルクスズミルクス ASPH.ズミクロン IV
焦点距離(mm)50
最大絞り1.4
最小絞り1622
絞り羽根121298
レンズ構成5群7枚5群8枚4群6枚
最短撮影距離(m)1.00.70.7
レンズ長(mm)
マウント面からの距離
525552.543.5
レンズ最大径(mm)535053.553
フィルター径(mm)E43E46E46E39
レンズフードXOOIM(12521)
12586
組み込み
非球面レンズなしなしありなし
重量(g)360380(Silver,Titan)
275(Black)
460(Chrome)
335(Black)
335(Silver,Titan)
240(Black)
製造本数19,600 *18,132 *
リリース年1958199220061979

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.11.02
  • 2024.03.24
  • 2023.06.12
  • 2022.09.04

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