Anselm Kiefer「Two paintings」

Anselm Kiefer「Two paintings」

「京都と東京をむすぶ蛇」

表参道のFergus McCaffreyで開催されている、Anselm Kiefer 「Two paintings」を鑑賞した感想。

目次

Anselm Kiefer「Two paintings」

概要

展示は大判の絵画を2点展示している。

  • 《Für E.T.A. Hoffmann》(2015〜2024)
  • 《er hexte Schlange aus dem Wasser》(2016)
Before imageAfter image

感想

こちらも右か左の鑑賞2択、奈義町現代美術館から鑑賞2択が多いなと思った。

そして、展示空間をみると外光が入るため、時間や天候によって作品への印象が変化する。晴れた日の昼過ぎに訪問した際は照明は消してあった。

今回は右は先客が鑑賞していたので左から鑑賞した。

左は深い青が印象的な作品の名前は《er hexte Schlange aus dem Wasser》(2016)ドイツ語書かれており訳すと《彼は水から蛇を召喚した》。
深い青に見られるひび割れは水底が割れているように感じられ、中央の灰色をした滑らかな表皮の蛇は泥底に眠りながら召喚の時を待っているようだ。

作品の対面壁に「Lemminkäinen ind die Schlangen」と記されている。
訳すと「レミンカイネンと蛇」

Lemminkäinenを調べると、Wikipediaの記述にある、神話の登場人物のことと思われ、レミンカイネンの試練の1つに、スルマと呼ばれる獣がおり、スルマは「蛇の尻尾を持つ大きな犬で、睨みつけると人を石に変えることができるとよく描写される。」とWikipediaにあるため、作品の蛇とも関連していると考えられる。

右の部屋は黄金色の作品で名前は《Für E.T.A. Hoffmann》こちらもドイツ語で訳すと《E.T.A. ホフマンのために》。
朽ちた黄金色の稲穂と水面に浮かぶような蛇、蛇は《er hexte Schlange aus dem Wasser》と異なり鱗のようなざらざらとした表面をしており、いまにも動き出しそうな躍動感がある。

作品の対面壁に「Serpentine + anselm(改行) Für E.T.A. Hoffmann」と英語とドイツ語で記されている。
訳すと「蛇のような +アンセルム(改行) E.T.A. ホフマンのために」

画題になっている、E.T.A ホフマンは調べると、ドイツの作家で著作活動以外にも多彩な活動をしている芸術家で、幻想文学の奇才と言われているらしい。

ホフマンの作品「黄金の壺」に登場する主人公の名はアンゼルムス(Anselmus)なので、背後に描かれたメッセージ、作品名との符合から、画家Anselm、蛇、ホフマンの関連に興味を抱かざるをえない。これからレミンカイネンの神話、ホフマンの著作を読むなどして周辺知識を深めたい。

作品について、ファーガス・マカフリー(Fergus McCaffrey)・公式ページから引用すると

  • 「During the preparation of Anselm Kiefer: Solaris at Nijo Castle in Kyoto, Anselm Kiefer was particularly struck by the juxtaposition of two paintings Für E. T. A. Hoffman, 2015-2024, and er hexte eine Schlange aus dem Wasser, 2016.」(引用終わり)
  • 「京都二条城での「アンゼルム・キーファー:ソラリス」の準備中、アンゼルム・キーファーは2つの絵画「E.T.A.ホフマンのために」(2015-2024年)と「彼は水から蛇を呼び出した」(2016年)を並べて配置することに大きな感銘を受けた。」(訳文)

まとめ

ギャラリーの壁で分かれた作品展示は、1つの作品に集中して作品と対話、鑑賞することができ、鑑賞後にイメージのなかで作品を対比、対峙、重ね合わせをして楽しめるのがよい。

作品を隣り合わせたイメージは上にあるとおりで、作品の対称性がよくわかる。
仕切壁無しに作品を対峙させたときのイメージも撮影した画像を加工して作ってみた。これは作品距離が近くなると息が詰まりそうで圧迫感に鑑賞者が負けそうな気がした。

この2作品を二条城でみたかった気もするけれど、この場所に展示され鑑賞できたことを感謝する。

ギャラリー

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更新履歴

  • 2025.6.1

撮影機材

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