Definitive Img Comparison slider Press "Enter" to skip to content

「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」東京都美術館

2026年5月に東京、上野の東京都美術館で「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」を鑑賞した感想

目次

展概要

  • 展題:東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展
  • 期間:2026年4月28日(火)~7月5日(日)
  • 時間:9:30-17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
  • 休館日:月曜日(祝日開館・振替休日あり)
  • 場所:東京都美術館
  • 入館料:2,300円(一般)

メモ:東京都美術館の券売所では、JCBカードが使えない。券売所のチケット売り場での購入は、QRコードの印字された感熱紙を渡され、保存用の紙チケットの配布はない。

本展の展示作品は以下の美術館、企業、団体、個人からの貸し出しとなっている。

ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン(ニューヨーク)、ボストン美術館、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、マイロン・クニン・コレクション(ミネアポリス)、フィリップス・アカデミー付属アディソン・ギャラリー、フリント美術館、成田ゴルフ倶楽部、ユニマットグループ、デラウェア美術館(ウィルミントン)、フィラデルフィア美術館、株式会社画廊裕貴、カマー美術館(ジャクソンビル)、ファーンズワース美術館(ロックランド)、福島県立美術館、ヒューリックホテルマネジメント株式会社、クリープランド美術館、メナード美術館、フィルブルック美術館(タルサ)、医療法人社団 景翠会、愛知県美術館(アンドリュー・ワイエス夫妻寄贈)、株式会社三井住友銀行、個人蔵

本展は鑑賞した東京都美術館に続いて、2026年7月18日から豊田市美術館(愛知県)、2026年10月3日からあべのハルカス美術館(大阪府)を巡回する。

公式図録は3300円(税込み)、サイズは縦30cm、横23cm、厚み2cm、書籍にISBNはついていないので、一般流通するかは不明で販売先は会場などに限定される可能性がある。

感想「多彩なワイエスの魅力」

章毎の印象に残った作品などをネタバレで書いているので、展示をまっさらな気持ちで見たい方はご注意ください。

本展は年代順という展示ではなくテーマ毎に章立てをした展示となっており、章立ては以下のとおりだ。

  1. ワイエスという画家
  2. 光と影
  3. ニューイングランドの家ーオルソン・ハウス
  4. まなざしのひろがり
  5. 境界あるいは窓

第1章「ワイエスという画家」は、ナショナル・アカデミー・オブ・デザインの所蔵品である《自画像》から始まる。この《自画像》では、意志の強そうな眼差しで襟の立ったコートを着た作家が、初秋を思わせる草原に立っている。この作品選択は、これからの展示への期待を盛り上げる展覧会の入口として、とても良いものだと感じた。

作家のさまざまな側面を紹介する本章では、シュルレアリスティックな作品や象徴主義、神秘主義的な作品を通じて、ワイエスの多彩な才能を鑑賞できる。

なかでも章の最後に展示されている個人蔵の《サンド・ダラー》は、作中に描かれた六葉模様が古生代のウニの化石に似ていることから絵のタイトルになっているそうだ。描かれている男性の愁いをたたえた表情とその模様の組み合わせは、ヒルマ・アフ・クリントの作品に通じるものがあると感じた。

六葉模様

2章は風景画が多く、ここで気がついたのは、ワイエスの作品には個性的な模様の額縁が使われていることだ。特に、2章の福島県立美術館所蔵の《松ぼっくり男爵》の額は、菱形の模様が刻まれており、鱗のように見えるのが印象的だ。額縁は展示の補助的な位置づけのためか、図録などでは、額縁に歴史的価値がなければ作品のみが掲載されることがほとんどだ。そのため、美術館で実物を見る楽しみの一つだと思う。

《干し草づくり》には使用した画材の刻印「BOARD 059」が残っており、案外細かいことは気にしないのか、自画像の印象と少し異なる一面を見た気がした。また、ファーンズワース美術館所蔵の《うたた寝》には猫が描かれており、猫派には外せない作品だ。

第3章では、1階フロアをすべて使ってオルソンハウスの模型と絵画51点が展示されている。展示されているのは、丸沼芸術の森の所蔵作品がほとんどだが、展示の要所には海外の美術館から借り受けた作品が3点展示されている。

海外からの借り出し作品の最初の一点は、エレベーターを上がって会場入口右手から鑑賞していくと、突き当たりの壁にデラウェア美術館所蔵の《青い扉》がある。ワイエス作品はコントラスト重視で色彩が地味な作品が多い中、青の扉に光が差し込む表現は印象的な存在感がある。
いくつかの作品で、アクセントとして使われている赤や青は印象的だ。

さらに会場を進むと、展示の中ほどに、本展のチラシや看板に使われている、マイロン・クニン・コレクション所蔵の《クリスティーナ・オルソン》が展示されている。この作品では、人物と背景の陰影が、オルソン作品の魅力と特徴を良く表している。

最後に、クリーブランド美術館所蔵の《オルソン家の終焉》が習作と並んで展示されている。同構図の2作品だが、丸沼芸術の森所蔵の習作は家のフォルムを決めるためか、ほぼ家のみが描写されている。一方、クリーブランド美術館所蔵の《オルソン家の終焉》は、背後の空まで描かれており、作品の最終形を鑑賞できる。

この次の4章と5章は、作品撮影が可能なエリアとなっている。

4章と5章は窓の意匠で空間が繋がっており、連続した空間として構想されているように思われる。窓越しの景色から人が消えたとき、訪れる静寂の時間が心地よかった。

ワイエス展・4章、5章、窓越しの景色

最後の第5章では、《氷塊I》、《薄氷》、《浮氷》の3点が秀逸に並んでいる。特に中央の三井住友銀行所蔵の《薄氷》は、右下に描かれた枯葉の質感が非常にリアルだ。少し離れた場所から眺めると、その1枚は光の表現と相まって、まるで実際に葉が薄氷に浮かんでいるかのように感じられる。この作品は図録にも収録されているが、絵画の質感は実物で体験したい。

最後は、ヒトデが描かれた窓の向こうに鑑賞者に別れを告げるように後ろ姿のクリスティーナが立つ《ヒトデ》で展示は締めくくられる。

展示を見ていると、作品リストの順番と実際の展示順が前後していることに気づく。撮影不可の展示ではメモを取らないとすぐ忘れてしまう私にとって、若干戸惑うところもあったが、リストと展示のズレは、広報と実作業の進行状況の違いによるもので、やむを得ないだろう。

まとめ

ワイエスのシュールレアリスティックな作品や神秘主義に通じる作品など、知らなかった作家の魅力に触れられる展示で、写実作家だけではないワイエスの多彩な才能を鑑賞できて満足した。

アメリカと日本から作品を集めた主催者の努力も素晴らしいと思った。

残念だった点が2つある。1点目は、会場入口の地下1階に巨大な展示看板が設置されているのに、その部分は撮影不可だったことだ。空間も広いので、来場者の記念になるよう開放してほしかった。2点目は、2,300円の入館料を取るにもかかわらず、来館記念用の紙チケットがなかったことだ。配布チラシを刷る予算があるなら、紙チケットの配布にも回してほしい。

参考情報

寄付のお願い・Request for donations

広告

Rakuten Affiliate link
Rakuten Affiliate link
Yahoo Shopping Affiliate link
Amazon Affiliate link
Amazon Affiliate link

更新履歴

  • 2026.5.22

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Shige's hobby