CONTAX G SONNAR T* 90mm(Ms-optics)
Kyocera CONTAX Gマウントの90mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はSONY α7Sii
- 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2D
レビュー
ゾナー 90mm F2.8は、1994年に京セラがコンタックス G1とともにリリースしたオートフォーカスレンズ。ここでは、Ms-optics(宮崎光学)にてライカ Mマウント(レンジファインダーカメラ距離計連動)に改造されたレンズについて紹介する。
本レンズは黒色のゾナー90mmを手に入れた際に、MS-Optics(宮崎光学)に依頼して、レンズをLeica Mマウントの距離計連動に改造した。ゾナー 90mm専用の改造部品を使用している。
オリジナルレンズとMs-optics改造レンズの主な違いは以下の3点である。
- フォーカス移動箇所
- オリジナルレンズは外側の鏡筒は固定されており前玉を格納した鏡筒が前後に移動してフォーカスをおこなう、フォーカス時に前枠は回転しない
- 改造レンズはフォーカスリングを回すと、レンズ前部が全体的に回転移動し繰り出されるため、絞りリングを含めレンズ先端が回転する
- 絞りのクリックストップ
- オリジナルレンズは1絞り毎にクリックストップがある
- 改造レンズはF2.8~22まで無段階絞り
- レンジファインダー距離計連動
- オリジナルレンズはGマウントなのでオートフォーカス(以下、AF)
- 改造レンズはライカM型カメラの距離計に連動
最短撮影距は、オリジナルレンズ、改造レンズともに1mである。
以前、チタンゴールドのゾナー90mmの改造を依頼したことがあるが、このゾナー90mmのブラック鏡筒版を手に入れたとき、2度目の改造を依頼したら、ちょうど新しいダブルヘリコイドを採用した改造部品ができたタイミングで、最初の改造レンズよりも使い勝手が良くなっており、Ms-optics代表の宮崎氏も、新型の部品はお勧めだとおっしゃっていた。
また、本レンズは宮崎氏もこよなく愛するレンズで、改造を依頼した際に本レンズをよく使ったことを楽しそうに語られていた。
レンズの描写は、オリジナルゾナーと変わるところはなく、絞り開放からピント面はしっかりと描写され、前ボケも後ボケもとろけるような描写を楽しめる。露出をアンダーにするとハイライトとシャドーがスパッと落ちる描写も好みだ。アンダー気味の撮影はSONY α7Siiのセンサーと相性がよいようで、猫の作例のようシャドーが黒つぶれ多様に描写されるのはなかなかドラマチックである。
オリジナルのオートフォーカスレンズをコンタックスG1、G2で撮影に使用すると、ピント合わせに難があったため、使用頻度が低いレンズであったが、このMマウント改造レンズは、M型ライカのレンジファインダー距離計で満足できるピント精度を持っている。デジタルカメラの場合はEVFでさらにピントを追い込むことができるため、絞り開放でこのレンズを楽しむことができる。
HASSELBLAD X2Dで使用したところ、3:2クロップにおいて、横11045ピクセル(約98%)残った。ほとんどの部分で使える印象だ。
レンズ構成的には、エルノスター形式の最後群の2枚を貼り合わせにした発展型である。ゾナー型で有名な50mm F1.5もエルノスター型の発展形なので、ツァイスが本レンズをゾナーと呼んでいることもそれほど違和感はない。
基本的に90mmの単焦点レンズは、ほとんどのレンズで描写が大きく破綻することは少ないため、過去にApo Summicron M 90mm、Summicron M 90mm、Elmarit M 90mm、Macro Elmar M 90mm、KM-HEXANON 90mmなど使ってきたが、ライカMマウントレンズで手元に残っているのは本レンズだけだ。Rマウントは、APO SUMMICRON R 90mmを残してあり、このレンズの描写は本レンズと傾向が違う素敵な描写をする。
手元には90mmの焦点距離はこの2本しか残っていないがこれだけあれば十分だと感じる。
ものすごく高価なSUMMILUX 90mm F1.5、最近元気な中華製90mm F1.25は気になる存在である。
仕様・比較
項目 | HOLOGON | BIOGON | BIOGON | PLANAR | PLANAR | SONNAR | VARIO SONNAR |
焦点距離(mm) | 16.5 | 21 | 28 | 35 | 45 | 90 | 35-70 |
最大絞り | 8(固定) | 2.8 | ← | 2 | ← | 2.8 | 3.5-5.6 |
最小絞り | 16(フィルター装着) | 22 | ← | 16 | ← | 22 | ← |
レンズ構成 | 3群5枚 | 7群9枚 | 5群7枚 | 5群7枚 | 4群6枚 | 4群5枚 | 8群13枚 |
最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.5 | 0.5 0.8*2 | 0.5 | ← | 1.0 | ← |
レンズ長(mm) | 11 | 35.5 | 30.5 | 31.5 | 38.5 | 63.0 | 54.0 |
レンズ最大径(mm) | 57 | 59 | 56 | 56 | 56 | 56 | 60 |
フィルター径(mm) | – 専用NDフィルターあり | 55 | 46 | 46 | 46 | 46 | 46 |
重量(g) | 120 | 200 | 150 | 160 | 190 | 240 | 290 |
重量(g) Mマウント | 124 | 151 | 194 (222)*1 | 115 | 161 | 219 (259)*1 | – |
リリース年 | 1994年 | 1996年 | 1994年 | 1996年 | 1994年 | 1994年 | 1999年 |
*2:AVENON改造レンズの最短撮影距離
参考文献・参考リンク
- WikipediaによるZeiss Sonnarの説明ページ
- Zeiss Photography Historical Products(リンク先ページ中段にCONTAX Gレンズのデータシートあり)
- CONTAX G SONNAR 90mm アマゾン販売サイト(アフィリエイトリンク)
更新履歴
- 2024.7.31
- 2024.2.16:レイアウト更新
- 2024.1.13:ギャラリー追加
- 2023.3.26:初出
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