CONTAX G SONNAR T* 90mm(Ms-optics)
Kyocera CONTAX Gマウントの90mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLeica M-P
- 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2D
- 写真作例の撮影はSONY α7Sii
レビュー
ゾナー90mmは、コンタックスGシリーズ向け焦点距離90mmの望遠レンズ。
レンズ構成的には、エルノスター形式の最後群の2枚を貼り合わせにした発展型である。ゾナー型で有名な50mm F1.5もエルノスター型の発展形なので、ツァイスが本レンズをゾナーと呼んでいることもそれほど違和感はない。
所有しているレンズは、Ms-opticsにてLEICA Mマウントの距離計に連動するように改造してある。
最初はチタンゴールドのレンズを改造したが直進ヘリコイドで使い勝手が悪かった。
ゾナー90mmのブラック鏡筒版を手に入れたとき、2度目の改造を依頼したら、ちょうど新しいダブルヘリコイドを採用した鏡筒ができたタイミングで、最初の改造レンズよりも使い勝手が良くなっていた。
Ms-optics代表の宮崎氏も、新型はお勧めだとおっしゃっていた。
また、本レンズは宮崎氏もこよなく愛するレンズで、改造を依頼した際に本レンズをよく使ったことを楽しそうに語られていた。
改造レンズは、フードは純正のねじ込み式フードGG-3をそのまま使うことができる。
絞りにクリックストップがないのは、MS-Opticsレンズの仕様である。
フォーカス時に指をかけるリングと絞り環が同じ径で場所も近いこと、絞りリングが緩めなので、フォーカス中に絞りが動くことがあり撮影中にシャッター速度が変わっていて戸惑うことがある。
レンズの描写は、絞り開放からピント面はしっかりと描写され、前ボケも後ボケもとろけるような描写を楽しめる。露出をアンダーにするとハイライトとシャドーがスパッと落ちる描写も好みだ。アンダー気味の撮影はSONY α7Siiのセンサーと相性がよいようで、猫の作例のようシャドーが黒つぶれ多様に描写されるのはなかなかドラマチックである。
本レンズをコンタックスG1、G2で使用していたときは、焦点距離90mmを精度のよろしくないGカメラのオートフォーカス(以下、AF)で撮影するため、撮影結果のピント位置にはしばしば問題があった。
コンタックスG1での使用はなかなか難儀でフィルム1本撮ってその後の使用を諦めた。
コンタックス G2はAF方式が改良されたため、ピント位置のヒット率は多少改善されたが、36枚撮りで半分が使えるかな?という程度の歩留まりであった。撮影者の技量と注意力向上で改善できる可能性もあるが、自動巻きでシャキシャキ撮れ、フィルム価格が安かった当時ではあまり考えずに使っていたことも影響しているだろう。
ピント精度の問題対策として、合焦範囲を広げるために絞りを絞るとシャッタースピードが落ちてブレ写真になる危険性が高まると言うトレードオフの欠点が浮かび上がるため、バランスのよいところで使うのが難しいレンズだった。結局、コンタックスGのファインダーは焦点距離にあわせてサイズは変更されるが、ファインダーの仕組みから合焦後にピントを確認するすべがないと言う欠点がもろにでるレンズだった。
90mmの単焦点レンズはどのレンズを使用しても破綻は少なく満足できるため、過去にはApo Summicron M 90mm、Summicron M 90mm、Elmarit M 90mm、Macro Elmar M 90mmなど使ってきたが、Mマウントで手元に残っているのは本レンズだけだ。Rマウントは、APO SUMMICRON R 90mmを残してあり、このレンズの描写も本レンズとは傾向の違う素敵な描写をする。
手元には90mmの焦点距離はこの2本しか残っていないがこれだけあれば十分だと感じる。
ものすごく高価なSUMMILUX 90mm F1.5、最近元気な中華製90mm F1.25は気になる存在である。
HASSELBLAD X2Dで使用したところ、3:2クロップにおいて、横11045ピクセル(約98%)残った。ほとんどの部分で使える印象だ。
仕様
項目 | HOLOGON | BIOGON | BIOGON | PLANAR | PLANAR | SONNAR | VARIO SONNAR |
焦点距離(mm) | 16.5 | 21 | 28 | 35 | 45 | 90 | 35-70 |
最大絞り | 8(固定) | 2.8 | ← | 2 | ← | 2.8 | 3.5-5.6 |
最小絞り | 16(フィルター装着) | 22 | ← | 16 | ← | 22 | ← |
レンズ構成 | 3群5枚 | 7群9枚 | 5群7枚 | 5群7枚 | 4群6枚 | 4群5枚 | 8群13枚 |
最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.5 | 0.5 0.8*2 | 0.5 | ← | 1.0 | ← |
レンズ長(mm) | 11 | 35.5 | 30.5 | 31.5 | 38.5 | 63.0 | 54.0 |
レンズ最大径(mm) | 57 | 59 | 56 | 56 | 56 | 56 | 60 |
フィルター径(mm) | – 専用NDフィルターあり | 55 | 46 | 46 | 46 | 46 | 46 |
重量(g) | 120 | 200 | 150 | 160 | 190 | 240 | 290 |
重量(g) Mマウント | 124 | 151 | 194 (222)*1 | 115 | 161 | 219 (259)*1 | – |
リリース年 | 1994年 | 1996年 | 1994年 | 1996年 | 1994年 | 1994年 | 1999年 |
*2:AVENON改造レンズの最短撮影距離
参考文献・参考リンク
- WikipediaによるZeiss Sonnarの説明ページ
- Zeiss Photography Historical Products(リンク先ページ中段にCONTAX Gレンズのデータシートあり)
- CONTAX G SONNAR 90mm アマゾン販売サイト(アフィリエイトリンク)
更新履歴
- 2024.2.16:レイアウト更新
- 2024.1.13:ギャラリー追加
- 2023.3.26:初出
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