新型広角 ELMARIT R 19mm-II

LEICA ELMARIT-R 19mm F2.8 2型をデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA R8 +DMR(Digital module R)
- 写真作例の撮影はCANON EOS-1Ds MK III
レビュー


1.概要
エルマリート 19mm-IIはライカRマウント・焦点距離19mmの広角レンズ。
2代目のエルマリート 19mmは現代的な鏡筒をもち、立派な角形フードが付属している。
主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。
- 開放F値 2.8
- レンズ構成 10群12枚
- 絞り羽根 6枚
- 最短撮影距離 0.3m
- フード 専用フック止め角形フード
- フィルター装着 不可
ライカRマウントの広角レンズは、多くのレンズで設計を他社に依頼している。15mmの2本は旧型がツァイス、新型がシュナイダー、魚眼の16mmはミノルタをベース、21mmの2本はシュナイダーとなっている。
この焦点距離19mmは初代、2代目ともにライカの設計だ。
スーパー・エルマー R 15mm、スーパー・エルマリート R 15mm、フィッシュアイ・エルマリート R 16mmなどと同様に、レンズ先端に4種(NDx1、Or、YG、KB12)のフィルターを回転式で変更する機構が備わっている。
DMR(Digital Module R)で使用すると、19 x 1.37 = 26mm相当の焦点距離となる。
2.使用感
よく補正された広角レンズで通常使用には全く不満はない、フードをしていても逆光状態では怪しい色が出るときがあるため光線状態には気をつかう必要がある。また、絞り開放では周辺減光がみられる。
最短撮影距離は30cmで十分に寄ることができる。
光学ファインダーで本レンズを使用していると、衰えた目とEOSのファインダーの相乗効果か、広角レンズ特有のピントあわせづらさをを感じる。以前使用していたLeica SLではEVFは拡大機能で確実にピントが確認できた。確実なピント合わせという点ではEVFは光学ファインダーを超えている。
新型は、旧型(タイプ-I)の19mm F2.8と比べると、コントラスト、逆光耐性もよくなっている。しかし、他のレンズと比べると全体的に渋めの発色をする印象なので、デジタルカメラの撮影結果であれば現像時に少し明るめに調整するとより見栄えが良くなる。
前述の通り、フィルターが装着できないため、使用時のレンズ保護はフードに付けるバヨネット式キャップが命となる。このキャップは、それほどがっちり嵌まるわけではないため、落として無くす可能性があるので注意が必要だ。紛失防止を考えるならば、不格好だがキャップに紐をつけて、ストラップと連結しておくと安心だ。
レンズ先端にネジ溝はなく、フード内にシリーズフィルターを入れることもできないため、フィルターは装着できない。
3.まとめ
結論としてエルマリート 19mm-IIをまとめると、珍しいライカ設計の広角レンズ。
新型は旧型の19mmよりは間違いなくよい描写をする。
そして、最近の一眼レフ広角レンズと比べると鏡筒はコンパクトにまとまっている。
フィルムカメラの時代につくられたレンズなので、デジタルカメラで使用すると現代の最新レンズと比べると各収差補正に甘い部分も見られる。
購入に関しては、中古市場で強気な価格で売られていることも見かけるため、予算に合う価格で巡り会えたら購入するというスタンスをお勧めする。
マウントアダプター
LEICA SL typ601、LEICA Tシリーズ、LEICA CLは、ライカ純正のマウントアダプター、Leica R-Adapter L(16076)を使用するとROM端子付きレンズであれば、レンズ情報をカメラに受け渡すことができる。その情報は撮影結果のEXIFに記録されるのでRカム以前のレンズを使う場合に比べると撮影結果の整理がしやすい。
CANON EOS-1Ds MKIIIで撮影すると1枚撮るごとにエラー20(Err20)が発生する。このエラーが発生するのは、手持ちの転ずで確認したかぎり、広角側レンズが厳しくELMARIT-R 19mm-II、SUPER ANGULON-R 21mmF4、VARIO ELMAR-R 21-35mm、ELMARIT-R 28mm(I)、ELMARIT-R 24mm、SUMMILUX-R 35mm F1.4である。装着して確認していないが、SUPER ELMARIT、SUPER ELMAR の両15mmもおそらく使用できない。
中判デジタルセンサーカメラ
HASSELBLAD X2Dで使用すると、イメージサークルに35mmフルサイズセンサー以上の余裕はまったくなく、35mmフルサイズセンサーの範囲そのままの約76%の面積が実用可能で、それを超える範囲は周辺減光と像の乱れが生じておりクロップする必要がある。下写真はフードを装着した状態で撮影しており周辺が真っ黒だが、フードを外したとしても、点線より外側の像は崩れているため同じ結果と考える。


仕様・レンズ比較
2016年発売のCARL ZEISSの最新広角レンズ MILVUS 18mm F2.8とレンズ構成を比較した。
MILVUS 18mmはDISTAGON 18mmの流れを汲んでおり、YASHICA/CONTAX時代のDISTAGON 18mm F4(1967年)、CARL ZEISSのDISTAGON 18mm F3.5(2008年)をへてMILVUSにいたる。
カール・ツァイスは焦点距離15mmと21mmの間を埋めるレンズとして18mmを採用している。それに対してLEICAは15mmと21mmの間を一眼レフカメラのRマウントは19mmを採用した。広角レンズで1mmの違いなので風景を撮影する場合も大きな違いは見られないだろう。
ライカMマウントでは18mmを採用しているので、19mmに特別こだわりがあるわけではないようだ。
新たらしい2型のELMARIT R 19mmは1990年発売なので、年代的に比較するならば もっとも古くて長く現役を務めたDISTAGON 18mm F4がふさわしい気もするが、絞り開放値の仕様が同じF2.8の最新レンズ MILVUS 18mmとくらべてみた。
MILVUS 18mmは12群14枚のレンズ構成で、特殊ガラスレンズ4枚、非球面レンズ2枚と2016年設計らしく贅沢な作りになっている。1990年とすでにオールドレンズにはいるELMARIT R 19mmは10群12枚のレンズは球面レンズのみで構成されている。
レンズは数値性能で語るものではないが、両社が配布しているPDFの性能指標を見ると、最新のMILVUS 18mmは各種性能においてELMARIT 19mmを上回る数値をしていることが読み取れる。これは設計製造年代の違いから当然の結果と言える。


項目 | ELMARIT II型 | MILVUS |
焦点距離(mm) | 19 | 18 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 22 | 22 |
絞り羽根 | 6 | 9 |
レンズ構成 | 10群12枚 | 12群14枚 |
最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.25 |
レンズ長(mm) | 60 | 70.0(NIKON-F) |
レンズ最大径(mm) | 71 | 90 |
フィルター径(mm) | – | 77 |
重量(g) | 560 | 675(NIKON-F) |
フード | 12546 | 2144-505 バヨネット・花形 |
マウント | ライカR | CANON-EF(ZE),NIKON-F(ZF-2) |
製造年 | 1990-2005 | 2016〜 |
製造本数 | 5,900 | ? |

参考リンク
- R型ライカのすべて(2003年版)著者:中村信一 ・Ads by Amazon
- ELMARIT-R 19mm F2.8(II) Leica wiki
- MILVUS 18mm・公式ページ
- MILVUS 18mm・公式PDF
- DISTAGON 18mm F3.5・公式PDF
- DISTAGON 18mm F4・公式PDF
- DISTAGON 18mm F4 ZM・公式PDF
更新履歴
- 2025.4.9
- 2024.8.20
- 2024.02.17:改稿
- 2022.02.21:初稿
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