HASSELBLAD HC 3.5/50-II
HASSELBLAD HC 50mm F3.5(2型)をX2D、X1D、X1DII(907Xにも適用可能と考える)で使用した記録
目次
<ギャラリー>
Photo from X2D
Photo from X1D / X1DII
<レンズの印象>
HC/HCDレンズとしては4本目に入手した。
オレンジドット付きを確認して購入したのでX H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*でAF(オートフォーカス)が使用できることはわかっていた。
2022年11月現在、2022年9月発売のX2Dでは、AF使用についていくつか注意点がある、X H Lens Adapter*を介した場合はAF撮影+ボディ内手ぶれ補正の利用が可能だが、XH CONVERTER 0.8*はAF撮影は可能だがボディ内手ぶれ補正が利用できない。x1.7 Hテレコンを使用したときは、AF撮影とボディ内手ぶれ補正の両方が使えない。Hマクロアダプターの使用時は前述の制約がそのまま適用される。
X1DIIでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは18.0.0でシャッター回数は約3000回であった。AFを使うためにファームウェアを19.1.0にアップデートした。
AF速度は他のAF可能レンズの中では早いほうで、AF精度が自分としては問題ない精度であるためMFで使用することはほとんど無い。
Xシリーズの50mmという焦点距離は、35mmフルサイズセンサーの50mmとは意味合いが異なり、2種類のアダプターで40mm、32mmの焦点距離となるため広角レンズの範疇にはいる。
II型になりレンズ性能が上がり、周辺の画質向上と歪みが目立たない特性と合わせて、ストリートスナップなど風景撮影に持ち出すことが多く、小旅行や散歩の際に使用頻度が高いレンズである。もう少し軽くてコンパクトだとよいがHCレンズだから仕方がない。
とくに、HC 50-110ズームを使うようになり、本レンズとHC 50-110は焦点距離と開放F値がまるかぶりになり、フィールドでの利便性を考えるとHC 50-110ズームの仕様頻度が高いため、本レンズは差別化のためにII型へのリニューアル時にHCDレンズに変更、開放F値を2〜2.5に向上、鏡筒小型化して重量を減らし、最短撮影距離0.35mに縮めていれば、マストバイな最高のレンズになったと思う。
レンズ単体重量が1kgでコンバータ(175g か 430g)とカメラ(766g)を足すと2〜2.2kgとなり、HCレンズをつけたX1D-IIとしては比較的気軽に持ち運べるカメラになる(比較対象が2.6kgオーバーのHCD35-90mmを装着した状態よりは気軽)。
レンズ構成は7群11枚のレトロフォーカスで、手に持つとコンパクトな筐体から受ける印象とは逆でずっしりとした塊感を感じる(HC50mmはHC100mmよりも重い)。
逆光耐性は太陽が画角内に入る場合、角度によってはコントラスト低下が起きるため注意が必要であり、野外ではフードが欲しくなるが、フードは大きくてかさばるため、フード無しで使用することが多い。
X1D/X1DII(907X)でも、x1.7テレコンを使用することができ、X H Lens Adapter*を介してx1.7テレコンを使用した場合、焦点距離69.5mm、最大絞りF6.3の中望遠レンズとして使用できる。
3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。
最短撮影距離が0.6mというところが最も残念なポイントだ。
HC50mm-2型に最適化されているという 「Hasselblad Macro Converter for H Lenses」を使用すると、最短撮影距離が0.4mになるが、最長撮影距離が0.6mに制限されるため、製品としては高性能な延長チューブという位置づけである。本コンバーターを装着することにより、HC 50mmのピント範囲が0.4m〜∞になるならためらわずに購入したい。



<レンズの仕様>
HC 3.5/50-2はHASSELBLAD Hシリーズカメラ用の焦点距離50mmのレンズ。
HCシリーズなので中判カメラHxDで使用する場合、センサーサイズ 40 × 53.4mmまでカバーし、そのとき焦点距離は約34mmになる。
X1D/X1DII(907X)では、X H Lens Adapter*かXH CONVERTER 0.8*を経由して本レンズを使用できる。
X H Lens Adapter*を使用した場合、焦点距離約40mmになる。
XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、焦点距離32mmになる。
*リンク先はrakutenのMapcamera


項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 50 | |
最大絞り | 3.5 | |
最小絞り | 32 | |
レンズ構成 | 7群11枚 | レトロフォーカス型 |
最短撮影距離(m) | 0.6 | |
レンズ長(mm) | 116 | |
レンズ最大径(mm) | 85 | |
フィルター径(mm) | 77 | |
重量(g) | 975 |
Hasselblad Macro Converter for H Lenses(英語)
<アクセサリー互換性>
- Converter H 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できる。
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
<AF対応について>
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*)を経由してX1D,X1DII,907Xに装着しAF(オートフォーカス)を駆動させるためには、レンズファームウェアの領域が拡張された18.0.0以降のレンズが必要である。17.0.0以前のレンズに18.0.0以降のファーウウェアを適用しても領域が足りないため変更できない。
レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり100%AFに対応している。
オレンジドットのないレンズでも、AF対応可能なものはあり、レンズシリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズ(シリアルナンバーがSから始まるレンズは2000年代に製造されたレンズ)についてはファームウェア領域が拡張されているレンズが多くAFに対応できる可能性が高い。しかし、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のファームウェアを確認するのが最も確実である。
古いシリアルナンバーでも修理時にユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
<FUJINONレンズについて(HC 50mm)>
HC50mm 2型は、シャッターユニットが改良されたオレンジドットのレンズとともにリニューアルされたはずなので、FUJIフィルムブランド(SUPER EBC FUJINON)は存在しない(筆者は見たことがない)。
HC50mm 1型は、FUJIフィルムブランド(SUPER EBC FUJINON)とHASSELBLADブランドが流通しており、FUJIフィルムブランドはAF非対応で、HASSELBLADブランドは「AF対応について」で記述したとおりファームウェア次第である。
また、FUJINONブランドのHCレンズは、HASSELBLADの修理サポート対象外でFUJIフィルムによる修理サポートも終わっているため、故障時に対応することができない。HASSELBLADブランドのHCレンズは古くてもHASSELBLAD社にて修理対応してもらえる。
FUJIブランドのHCレンズは格安で売られているが、購入時は注意が必要である。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D,X1DII,907Xと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
<参考リンク>