HASSELBLAD HC 50-110mm F3.5-4.5
中判カメラ向け・大口径・AFズームレンズ
HASSELBLAD HC 50-110mm F3.5-4.5のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はX2D、X1DII
レビュー
1.使用感
HC 50-110mm F3.5-4.5は、HC / HCDレンズとしては最後に購入したレンズで、中古だがシャッター回数1254回の並品であった。
レンズはオレンジドットのない旧型レンズで、レンズシャッターの最高速度は1/800、X H Lens Adapter*、XH CONVERTER 0.8*でオートフォーカス(以下、AF)が使用できないファームウェア(10.0.0)であることを確認して購入した。ハッセルブラッドXシリーズでマニュアルフォーカス(以下、MF)使用するにはシャッターの駆動を含めまったく問題ない。
しかし、誤算だったのはライカ純正のS-Hアダプターを経由して、ライカ Sシリーズに装着するとレンズを認識しないことである。レンズを認識すればAFで使えるはずであったのに、なにが悪いのかもわからないが残念である。所有しているレンズでこの症状が出ているのはHC 210mmで、こちらのレンズもライカ Sシリーズで認識しない。
最大絞り値は広角端の50mmはF3.5で単焦点レンズのHC 50mmと同じで、望遠端の110mmはF4.5と比較的明るいレンズだ。
所有の個体はシャッターは1/800の旧型だが、低めの抑えたシャッター音が心地よい。
X1DIIとXH CONVERTER 0.8*の組み合わせでのみ、ときどきレンズ認識エラーが発生するが、エラーを無視して撮影できるためそのまま使用している。X2Dではそのようなエラーもなく使用できている。XH CONVERTER 0.8*を使用しても周辺がけられることはなく、中判フィルムサイズの十分なイメージサークルを持っている。
レンズ径は100mmあり、街中で持っていると場違いなほど威圧感のあるレンズで、初めて見る人は戸惑いを感じるようだ。
フォーカスリング、ズームリングともに必要十分な幅があるため、マニュアルフォーカスでもスムーズに焦点距離の変更ができ、EVFで見た際のピントの山はつかみやすくピント合わせも問題は無い。
HCD35-90を使っている経験から、ズームレンズは焦点距離の変更だけに集中できるAFは便利なのは確かだ。
写りはズームレンズとは思えない歪みのなさが素晴らしく、レンズとは径の大きさがものを言うということを体現している。焦点距離を2倍とズーム倍率を抑えたこともあり、描写は単焦点に引けを取らないというのも正しいだろう。重いのさえ我慢できれば、50/80/100mmと三本分をまかなえるのは非常に便利だ。
公式案内によると、レンズ保管時は長時間横置きのまま放置すると、レンズの芯がずれてしまうとのことで、レンズ先端を上にして保管することが勧められている。中古品の場合、どのような使い方をされたかわからないため、ズームリング、フォーカスリングの動作を確認し動作が渋いモノは避けた方が良いだろう。
2.レンズ概要
HC 50-110mm F3.5-4.5はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の焦点距離50mmから110mmをカバーする2倍ズームレンズ。2つの回転リングの内、レンズ前方がフォーカスリング、後方がズームリングだ。
ズーム時、焦点距離調整時にレンズ長は変化する。
同じズームレンズであるHCD 35-90mmはインナーフォーカス、インナーズームを採用している。本レンズはずんぐりとした外観から想像できるように、ガラスの塊という感じでずっしりと重く、単体重量が1.65kgでHC 300mmに次ぐ重さだ。
Xシリーズ(X1D、X1D-2、X2D、X907)カメラで使用する場合、X H Lens AdapterかXH CONVERTER 0.8を経由して使用した場合以下の焦点距離となる。
- X H Lens Adapter*を使用した場合、焦点距離40mm 〜 88mmになる。
- XH CONVERTER 0.8*を使用した場合、焦点距離32mm 〜 70mmになる。
3.アクセサリー互換性
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- Converter 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できない。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できない。
- イメージサークルは中判フィルム(41.5 x 56mm)をカバーする。
4.AF対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、AF対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりAFが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
5.FUJINONレンズについて
HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、HASSELBLAD HCカメラで使用できるが、最高シャッタースピードが1/800のレンズしかなく、最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカス(以下、AF)を利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもAFは使用できない。
フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
仕様
項目 | 値 | 備考 |
焦点距離(mm) | 50〜 110 | |
最大絞り | 3.5(4.5) | |
最小絞り | 32 | |
レンズ構成 | 9群14枚 | |
最短撮影距離(m) | 0.7 | |
レンズ長(mm) | 152 | ズーミング、フォーカシングでレンズ長は変わる |
レンズ最大径(mm) | 103 | |
フィルター径(mm) | 95 | |
重量(g) | 1650 |
参考リンク
更新履歴
- 2024.10.8
- 2024.03.31:記載修正
- 2022.06.29:最初の投稿