Hシリーズ大口径ズーム HASSELBLAD HC50-110mm

Hシリーズ大口径ズーム HASSELBLAD HC50-110mm

HASSELBLAD HC 50-110mm F3.5-4.5をHASSELBLAD Xシリーズカメラで使用したレビューと写真作例

目次

写真作例の撮影は以下のとおり。

  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-adapter
  • HASSELBLAD X2D-100C +XH-Converter0.8
  • HASSELBLAD X1DII-50C +XH-Converter0.8

レビュー

  1. 概要
  2. 使用感
  3. まとめ
Before imageAfter image

1.概要

HASSELBLAD HC 50-110mm F3.5-4.5はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用のズームレンズ。

焦点距離50mmから110mmをカバーする2倍ズームレンズで、2つの回転リングの内、レンズ前方がフォーカスリング、後方がズームリング。ズーム時、焦点距離調整時にレンズ長は少し変化する。

本レンズはずんぐりとした外観から想像できるように、ガラスの塊という感じでずっしりと重く、単体重量が1.65kgだ。これはHC 300mmに次ぐ重量となる。

HASSELBLAD Xシリーズカメラ、X1D、X1DII、907X、X2Dでは、XH AdapterXH CONVERTER 0.8のどちらかを経由して使用する。種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能である。

使用するマウントアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり以下のとおりとなる。

○アクセサリー互換性のまとめ

2.使用感

HASSELBLAD HC 50-110mm F3.5-4.5は、最大絞り値は広角端の50mmはF3.5で単焦点レンズのHC 50mmと同じで、望遠端の110mmはF4.5と比較的明るいレンズだが、非常に重く持ち運びには難儀するレンズである。

写りはズームレンズとは思えない歪みのなさが素晴らしく、レンズとは径の大きさがものを言うということを体現している。焦点距離を2倍とズーム倍率を抑えたこともあり、描写は単焦点に引けを取らないというのも正しいだろう。重いのさえ我慢できれば、50/80/100mmと三本分をまかなえるのは非常に便利だ。

所有の個体はシャッターは1/800の旧型だが、低めの抑えたシャッター音が心地よい。

X1DIIとXH CONVERTER 0.8の組み合わせでのみ、ときどきレンズ認識エラーが発生するが、エラーを無視して撮影できるためそのまま使用している。X2Dではそのようなエラーもなく使用できている。XH CONVERTER 0.8を使用しても周辺がけられることはなく、中判フィルムサイズの十分なイメージサークルを持っている。

フォーカスリング、ズームリングともに必要十分な幅があるため、マニュアルフォーカスでもスムーズに焦点距離の変更ができ、EVFで見た際のピントの山はつかみやすくピント合わせも問題は無い。
HCD35-90を使っている経験から、オートフォーカスであればズームレンズは焦点距離の変更だけに集中できるため、オートフォーカス版が欲しくなるが、オレンジドットの本レンズは中古で見かけることも無く、今所有しているレンズも改造には30万円程度と言われているため、改造を依頼してはいない。

所有しているレンズはオレンジドットのない旧型レンズで、レンズシャッターの最高速度は1/800、X H Lens AdapterXH CONVERTER 0.8でオートフォーカスが使用できないファームウェア(10.0.0)であることを確認して購入した。ハッセルブラッドXシリーズでマニュアルフォーカス使用するにはシャッターの駆動を含めまったく問題ない。

しかし、誤算だったのはライカ純正のS-Hアダプターを経由して、ライカ Sシリーズに装着するとレンズを認識しないことである。レンズを認識すればオートフォーカスで使えるはずであったのに、なにが悪いのかもわからないが残念である。所有しているレンズでこの症状が出ているのはHC 210mmで、こちらのレンズもライカ Sシリーズで認識しない。

レンズ径は100mmあり、街中で持っていると場違いなほど威圧感のあるレンズで、初めて見る人は戸惑いを感じるようだ。と言うわけで、街中を持ちあることはやめた。野外を撮影する際に便利なズームレンズとして使用している。

公式案内によると、レンズ保管時は長時間横置きのまま放置すると、レンズの芯がずれてしまうとのことで、レンズ先端を上にして保管することが勧められている。中古品の場合、どのような使い方をされたかわからないため、ズームリング、フォーカスリングの動作を確認し動作が渋いモノは避けた方が良いだろう。

HC / HCDレンズとしては最後に購入したレンズで、中古だがシャッター回数1254回の並品であった。

3.まとめ

結論としてHASSELBLAD HC 50-110mm F3.5-4.5をまとめると、ズームレンズとしては明るく汎用性が高いけれど、大きくて重いため持ち出す場所は限られる。焦点距離50mmは単焦点と同等、100mmは単焦点よりも少し暗いが、レンズ2本を取り替えて撮影する面倒を考えると便利に使えるレンズだ。

このレンズをマニュアルフォーカスで使用していると、ズームレンズはオートフォーカスが便利だと実感させられる。

○オートフォーカス対応について

HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(XH AdapterXH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカスを動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。

Xシリーズカメラにおける、オートフォーカス対応状況をまとめると以下の通りである。

  1. オレンジドット レンズ
    • レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりオートフォーカスが動作する。
    • HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
  2. 非オレンジドット レンズ
    • AF可能なレンズ
      • レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
      • 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
    • AF不可能なレンズ
      • レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
      • シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
      • フジノンブランドのレンズ

上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。

ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。

○FUJINONレンズについて

HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、両レンズ共にHASSELBLAD HCカメラで使用できる。FUJINONブランドのレンズは最高シャッタースピードが1/800が最高速度なので最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。

また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカスを利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもオートフォーカスは使用できない。

フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。

HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。
このアダプターはフォーカスはマニュアルフォーカスのみで、シャッターはレンズシャッターとカメラ側のメカシャッターを使用できる。

仕様

項目備考
焦点距離(mm)50〜 110
最大絞り3.5(4.5)
最小絞り32
レンズ構成9群14枚
最短撮影距離(m)0.7
レンズ長(mm)152ズーミング、フォーカシングでレンズ長は変わる
レンズ最大径(mm)103
フィルター径(mm)95
重量(g)1650
HC 3.5-4.5/50-110 レンズ仕様書(英語)

更新履歴

  • 2025.6.14
  • 2024.10.8
  • 2024.03.31:記載修正
  • 2022.06.29:最初の投稿

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