HASSELBLAD HCD 28mm F4

汎用性の高い中判デジタル向け広角レンズ

ハッセルブラッド HCD 28mm F4のレビューと写真作例

目次

レビュー

1.使用感

ハッセルブラッド HCD 28 F41は、Hシリーズカメラ用レンズで、中古で購入したがカメラに装着してシャッター回数を確認すると約7000回であった。

X1DII、X2Dで使用したときのオートフォーカス(以下、AF)の合焦速度はHC、HCDレンズとしては標準的な速度で、AF動作のくせをつかむと高思い通りの位置で合焦させることができる。
最短撮影距離が全域で35cmで必要十分な近接撮影能力で、さらに近接したいときは延長チューブも使用可能だ。
レンズには立派なフードが付属しているが、普段の使用ではフードをしなくても逆光耐性が十分であることから装着することは少ない。

レンズ単体重量が850gであり、同カテゴリーの広角レンズ、HC 3.5/35mmと比較するとレンズ長で22mm小さく、重量は125g軽いため、持ち運び撮影時の取り回しはとても良い。

オレンジドット無しのHCD 28mmは比較的中古品を見かけるが、HCD 24mmレンズが手に入らなそうなときに、オレンジドットの28mmを見つけて購入した。28mmを購入後に24mmも入手したので、24mmで代替可能かとも思っていたが、HCD 28は開放F値がF4とHCD 24mmの開放F値が4.8なので半段ほど明るく、近接撮影用の延長チューブが利用できることと、焦点距離28mmは24mmよりはレンズ設計に無理が少ないためか、補正無しで素性の良い画像が得られるため、確実に広く撮りたいときは24mm、撮影場所に余裕があるときは28mmと使い分けている。

2023年にハッセルブラッド のXCD 28Pを購入したため本レンズの出番が減っているが、所有するレンズの中ではLEICA S Typ007で使用可能なもっとも広角なレンズであるため手放していない。

2.レンズ概要

HCD 28mm F4はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の短焦点レンズで、レンズ名のとおり焦点距離28mmの広角レンズ。

HCDレンズシリーズなのでセンサーサイズは48 x 36mmサイズのセンサーに最適化されており、それより大きいサイズのセンサー53.7 x 40.2mmではレンズのイメージサークルが足りず周辺部がけられる。オレンジドットのついたレンズは最高速度1/2000のレンズシャッターを備えており、無印のレンズは1/800のレンズシャッターを備えている。

X1D(4116 edtion)、X1DII、X2D、X907は、X H Lens Adapter2XH CONVERTER 0.83を経由して本レンズを使用でき、使用するアダプターによって35mm判換算の焦点距離は異なり、X H Lens Adapterを使用した場合、焦点距離22mmXH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離18mmになる。

XH CONVERTER 0.8で撮影した場合、レンズのイメージサークルが足りず周辺が少しけられる。専用の撮影現像ソフトウェア Phocusは自動で周辺部をクロップ(トリミング)する。
クロップ前のフルサイズイメージを確認することもでき、Phocusの画像メニューから【クロップ解除】を選択する。

本レンズはライカ SシリーズでHC/HCDレンズを使用するための、ライカ純正マウントアダプターS-Adapter H4に対応する最広角レンズで35mm判換算・焦点距離22mm相当のレンズとなる。HCD 24mmは未対応レンズで装着できるが絞り開放での撮影のみとなる。

フジフィルムのGFXシリーズは、 FUJIFILM純正のH MOUNT ADAPTER G5を使うと、レンズシャッターとマニュアルフォーカスでHシリーズ レンズを使用することができる。

3.アクセサリー互換性

  • 延長チューブ(H13、H26、H13+H26)は一部使用できるH52は使用できない。
  • HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
  • レンズのイメージサークルは中判フィルム(41.5 x 56mm)をカバーしない。
  • Converter 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できない。
  • S-Adapter Hに対応する。
  • H MOUNT ADAPTER Gに対応する。

4.AF対応について

HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。

Xシリーズカメラにおける、AF対応状況をまとめると以下の通りである。

  1. オレンジドット レンズ
    • レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりAFが動作する。
    • HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
  2. 非オレンジドット レンズ
    • AF可能なレンズ
      • レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
      • 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
    • AF不可能なレンズ
      • レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
      • シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
      • フジノンブランドのレンズ

上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。

ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。

5.FUJINONブランドンのレンズについて

  • HCD 28mmレンズは、フジノンブランドを市場で見たことが無いのでおそらく存在しない。

仕様・比較

項目HCD 24HCD 28
焦点距離(mm)24.328.9
最大絞り4.84
最小絞り3232
レンズ構成11群14枚9群12枚
最短撮影距離(m)0.380.35
レンズ長(mm)99102
レンズ最大径(mm)100100
フィルター径(mm)9595
重量(g)810850
HCD 4/28 レンズ仕様書(英語)

参考リンク

更新履歴

  • 2024.8.28
  • 2024.03.22:改稿
  • 2022.04.04:初稿

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