中判プラナー転用 Rollei Planar 80mm HFT (L39)

中判プラナー転用 Rollei Planar 80mm HFT (L39)

ローライ・プラナー 80mm F2.8をKodak DCS-Pro/SLR nで使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影は、Kodak DCS-Pro/SLR n

レビュー

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1.概要

Rollei Planar 80mm HFT (L39)は、2003年にフィルムカメラのローライ 35 RFの発売にあわせて、標準域の焦点距離 ゾナー 40mm F2.8と同時に発売された中望遠レンズ。
ゾナー40mm同様にシルバーとブラックの2種の鏡筒で販売された。

本レンズは、フォーカスリングを持ったヘリコイドとレンズ部分が分離できるため、ライカスクリュー・L39マウントとニコン F マウントで使える。

販売形態はライカスクリュー・L39マウントが標準販売されて、ニコン F マウント用のヘリコイドは別売でヘリコイドユニットは黒色しか提供されなかった。使用感のところに写真を載せているけれど、シルバーレンズにブラックのヘリコイドはレンズの印象が少しちぐはぐになる。

Rollei 35RFはコシナ BESSA R2の外装とファインダー枠を40/80に変えたもので、同時に提供された40mm / 80mmのレンズ部品もほとんどをCOSINAが提供しているように見られる。しかし、PLANAR 80mmの外装に「Made in Germany」と記載されているので、レンズのコート処理や最終組立はドイツで実施されている。
別売のNikon-F用ヘリコイドは「Made in Japan」と記載されているのでコシナで製造していると考えられる。40mmの外付けファインダーは提供されたが、80mmの外付けファインダーは見たことが無いので、提供されていないと考えられる。

2.使用感

Rollei Planar 80mm HFT (L39)をMマウントカメラに装着すると、レンズ最大外径がライカMマウントとほぼ同じ55mmで、レンズ長が80mmあり、凹凸の少ない鏡筒デザインとあいまって細長く華奢な見た目は写欲をそそらない。ニコンFマウントを装着した場合、シルバー鏡筒のレンズと組み合わせると外観の統一性がないため、シルバーのニコンFマウントも発売して欲しかった。

全体的な写りの印象としては、絞り開放のF2.8からよく解像し、ややもすれば固めの描写と感じられるが、前後のボケはなめらかでスムーズな現代的レンズだ。

レンジファインダーカメラの2重像合致によるピントあわせは少々厳しく、絞り開放のピントあわせの難しさ、焦点距離による手ぶれのしやすさから、使用頻度の上がらないレンズだった。

その後、Nikon-Fマウント用ヘリコイドを手に入れて、コダック社の35mmフルサイズセンサー搭載デジタルカメラ、KODAK DCS Pro/nで使い始めたが、ここで足かせになったのは、最短撮影距離が1.2mという仕様だ。
80mmの焦点距離とはいえ、1.2mの最短撮影距離は物足りなかった。0.8mまで寄れれば印象派ことなるだろうが中判カメラ由来のレンズなのでレンズ発売当時は妥当な仕様だったのだろう。

ピント合わせと最短撮影距離という2つのネガティブは、2020年代のミラーレスカメラであれば、高性能EVFと補助ヘリコイドの使用で容易に払拭できるため、時代に先んじすぎたレンズと言える。現在中古で入手しようとするとかなり高価であることを覚悟する必要がある。

本レンズがリリースされた2003年はレンジファインダーカメラはフィルムが主流で、L/Mマウントの中望遠レンズはSUMMICRON 90mm、SUMMILUX 75mmでも中古は新品の半値くらいで売られていた時代で、Rolleiのブランド力ではそれほど売れるレンズではなかく、2010年代に新宿のヨドバシカメラで在庫処分の新品を購入した。購入時は底値で購入し、売却時はその倍くらいの値段で売れたので手放したことに比較的後悔の少ないレンズだ。所有していれば、中判デジタルカメラでどの程度の実力があるのか試したかった。

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3.まとめ

結論としてRollei Planar 80mm HFT (L39)をまとめると、中判カメラRolleiで採用されている80mmレンズをライカL39スクリューマウントに移植したレンズ。一眼レフ向けのヘリコイドユニットも提供された。

レンジファインダーカメラの場合、焦点距離80mmは2重像合致でピント位置を合わせは、ピント精度に不安があるためお勧めできない。ピント精度を重視する撮影者はEVFを搭載したミラーレスカメラで使用することが撮影結果の歩留まりの点からましい。

そして、一眼レフカメラで使用する場合は、ピントの山が正確に把握できる上質なファインダーでの使用が望まれる。最短撮影距離が1.2mに制限されるのは、レンズの汎用性を低下させるため残念な点だ。

仕様・比較

80mmは中判カメラで使われる焦点距離で、ハッセルブラッド、マミヤ、コンタックス645などいくつかのメーカーからレンズが発売されている。645中判フィルムで使用するときの35mmフィルム判換算の焦点距離は、訳50mmとなるため標準レンズとして使われている。

35mmフィルムサイズのレンズでは、ライカ一眼レフRマウントのズミルクス 80mmが有名で、中望遠のポートレートレンズとして使われている。

ローライ SLXのプラナー 80mmをEOSマウントに改造した物を見かけたことがあるが、そのときは購入できなかった。

メーカーRolleiLEICAHASSELBLADCONTAX
マウントライカ L39ライカ Rハッセルブラッド Vコンタックス645
項目プラナーズミルクスプラナープラナー
焦点距離(mm)80808080
最大絞り2.81.42.82
最小絞り22162216
絞り羽根1095?
レンズ構成4群5枚5群7枚4群6枚5群6枚
最短撮影距離(m)1.20.80.90.7
レンズ長(mm)77.4
90mm(+専用フード)
69
(Rマウント)
52
(ハッセルV)
67
(C645)
レンズ最大径(mm)55757675
フィルター径(mm)4367B5072
重量(g)470700458524
リリース年2003198019561999

参考情報

更新履歴

  • 2025.6.24
  • 2024.11.19
  • 2024.02.21:改稿
  • 2022.04.19:初稿

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