LUMIX GM5
マイクロフォーサーズカメラの極み
パナソニック製デジタルカメラ・DMC-GM5のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
レビュー
1.使用感
LUMIX GM51は、2014年にリリースされた、マイクロフォーサーズのコンパクトという思想を突き詰めたカメラと勝手に思っている。極小ボディにEVF搭載、写真撮影にファインダーが必要というカメラ世代に刺さるプロダクト。背面ギリギリまで広げた液晶ディスプレイ、外観からはMINOLTA CLEの再来のように感じられる。
純正の12-32mmズームは悪いレンズではないが、補正しないRawで撮影した画像はコンパクトズームレンズの粗が随所に見える。それ以外のマイクロフォーサーズシステムのレンズは、大きくて重いレンズが多く、GMシリーズにマッチするレンズが少ない。外観的にはズミルックス 15mm F1.7がもっともマッチしているように思える。
マニュアルフォーカスでもよいので、焦点距離8mm〜12mm程度の極小レンズがあればより、GMシリーズを楽しめると思うが、手持ちのレンズではMs-optics(宮崎光学)の17mmが最広角で35mm判換算焦点距離では34mm相当になる。やはり35mm判換算焦点距離で24mm程度となるレンズが欲しい。
GM5は、これを書いている2024年現在10年落ちのカメラとなるが、1600万画素のセンサーをもち、普段使いには不満を感じることはないが、オールドレンズとの相性はそれほどよくなく、怪しげな色が見られることが多々ある。
カメラの操作は、小さなボディにボタンとダイヤルを最大限に配置しており、窮屈だが操作性は悪くない。EVFも少し荒いが拡大表示するとピントの確認は可能である。
残念だったのは、このカメラ販売が振るわなかったことだ、リリースされた2014年はスマホのような大型モニターを見ながら撮るスタイルが主流になっており、EVF付きコンパクトなレンズ交換式デジタルカメラの人気はとてもニッチなものということを露呈させた。
結局、このコンセプトのカメラはGM5だけで終了し、ファインダーの無いGM1系列のカメラがGF92、 GF10/GF903とリリースされたが、それも3代にして商品ラインから消えた。
オリンパス(現・OMデジタルソリューションズ株式会社)のPEN-Fがかろうじてこの系譜と感じるが、GM5と比べるとボディサイズ(幅x高さx奥行 124.8×72.1×37.3 mm)は一回り大きくなる。
ニッチで需要はないかも知れないが、ボディサイズを維持したまま、PEN-F相当の画素数2000万画素、EVFを200万ドットに改良した後継機がリリースされることを望む。継続してこそプロダクトは熟成するはずなので現状はたいへん残念だ。
2.カメラ概要
詳細な仕様は以下表に載せているが、1600万画素のLiveMOS、0.2型116万ドットEVF、3インチ背面液晶を幅100mm、高さ60mm、奥行36mmのコンパクトボディに詰め込んでいる。
3.パナソニックのカメラ事業
2024年現在、パナソニックのカメラ事業は、Lマウントとマイクロフォーサーズの2本立てだが、Lマウントは小型のSシリーズと廉価なレンズは少し売れたが、メーカーの稼ぎ頭である高価格帯のカメラとレンズは完全に失敗している。マイクロフォーサーズについては、カメララインナップが絞られ、ビデオ用途に振ってきている感があり、レンズの新規リリースもほとんど無いため、マイクロフォーザーズのやめ時をはかっているように感じられる。
客観的に見て、パナソニックにおいてLUMIX事業はお荷物になっているようで、LUMIXカメラ事業の終焉、事業分離は社内で検討されているように推測される。事業分離という手段には先達がおり、オリンパスからスピンアウトしたOMデジタルソリューションズ(以下、OMD)は、赤字続きで小資本の悲しさをふんだんに漂わせている。2024年現在、ボディは過去の焼き直し、レンズはOEM調達とほぼ独立カメラメーカーの体をなしていない。やはり大資本というバックボーンが無いとカメラ事業を続けることは難しいのだろう。LUMIXもスピンアウトすると同様の状態になると推測される。
LUMIXとOMDの合併があるのか?というのは難しいところだが、パナソニックがある程度まとまったお金を手切れ金として出すのであれば、OMの株を持っている投資会社としても悪くない話だと思われる。しかし、競合他社が強力なカメラ事業において、弱者連合が生き延びるためには、合併前から売れる製品を開発しておき、合併時にドカンと発売するくらいの根回しが無いと難しいと思われる。
そもそも売れる製品を作るというのが難しいのは間違いない。
LUMIXでひさびさに話題になったのは、2024年のLマウントアライアンスカメラ、LUMIX DC-S94発表時に、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーションの副社長執行役員、イメージングソリューション事業部の津村敏行 事業部長(肩書き長いな)の言葉として、「マイクロフォーサーズの利点を理解していただけるのは、むしろカメラに詳しい方々」に続けて、「カメラリテラシーの低い人々にとってマイクロフォーサーズは理解しにくい。」5(引用元:BCN+R「「冷たい靴」を備えたLUMIX S9が物語る、カメラメーカーの苦悩と決断」)と表現し一部から顰蹙をかったわけだが、表現としては炎上狙い(実際、少々話題になり掲載した媒体としては成功)ともとれる表現で好ましくないかもしれないが、現状を的確に表した表現と言える。
ここで、仮にGMシリーズの後継として、LUMIX DC-S9がマイクロフォーサーズセンサー、高性能EVF搭載、ボディ内手ぶれ補正を搭載したモデルであった場合、販売価格がLUMIX DC-S9と同様の20万円程度になるのであれば、販売量を望めるだろうか?、商品として魅力があれば20万のプライスでも売ることは可能だろうが、GM5が10年前に10万円で失敗に終わっているため、同じ轍を踏まないとは言い切れないだろう。
いずれにせよ、パナソニックの社内的に過去にGMシリーズで失敗している経験があるため、商品企画としてGMシリーズのリバイバル企画を通すのは難しいだろう。
LUMIX DC-S9の企画が一定程度の成果を示すかは、2024年秋から年末くらいにはわかると思われるので、ニュースをチェックしておこうと思う。
仕様・比較
項目 | GM5 | GM / GM1 / GM1S | PEN-F6 |
カメラ有効画素数 | 1600万画素 | ← | 2030万画素 |
レンズマウント | マイクロフォーサーズマウント | ← | ← |
撮像素子 | 4/3型Live MOSセンサー 総画素数1684万画素 | ← | 4/3型Live MOSセンサー 総画素数約2177万画素 |
手ぶれ補正 | なし | ← | 5段 |
EVF | カラー液晶 ライブビューファインダー 0.2型・約116万ドット相当 | なし | アイレベル式OLEDビューファインダ 約236万ドット |
背面液晶 | 3.0型静電タッチパネル液晶(約92万ドット) | 3.0型静電タッチパネル液晶(約104万ドット) | 3.0型2軸可動式液晶 |
内蔵フラッシュ | なし | あり | なし |
バッテリー | DMW-BLH77 | ← | BLN-1 |
外形寸法 幅 x 高さ x 奥行 (mm) | 98.5 × 59.5 × 36.1 | ← | 124.8 x 72.1 x 37.3 |
重量(g) | 約211 (本体、バッテリー、メモリーカード含む) | ← | 約427g(CIPA準拠 付属充電池およびメモリーカード含む) |
ボディカラー | 緑、赤、黒 | オレンジ、白、黒、銀 | 黒、銀 |
リリース年 | 2014.11 | 2013.10 | 2016.1 |
定価(税抜き・ボディのみ) | ¥90,000- | ¥70,000- | ¥150,000- |
オプション
- ハンドグリップ DMW-HGR1(シルバー/ブラック)
- サムレスト COTTA CT-SRGM001(シルバー/ブラック)
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参考文献・参考リンク
更新
- 2024.07.14:改稿
- 2024.05.20:改稿
- 2023.03.03:改稿
- 2022.04.11:初稿
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- 「「冷たい靴」を備えたLUMIX S9が物語る、カメラメーカーの苦悩と決断」) ↩︎
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