SIGMA sd Quattro / Quattro H
シグマ・sd Quattro / Quattro Hのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM + sd Quattro H
- 14-24mm F2.8 DG HSM | Art 018 + sd Quattro H
レビュー
sd Quattro / sd Quattro HはSD1 /SD1 Merrillから約4年後にリリースされた、ミラーレスデジタルカメラ。
撮影結果を出力した際のキレのある解像感あふれる画像はやはり侮りがたいものがあり、撮影結果は今でも十二分に通用する。
第4世代Foveonセンサーを搭載している。sd QuattroはAPS-Cサイズの3層センサーをRGBの三原色のうち、トップにあるB(ブルー)のみ1,960万画素として、二段目のG(グリーン)、三段目のR(レッド)、は490万画素という、SD1のセンサーより製造難度が上がった謎のセンサーを搭載したカメラ。1960万画素x3は画像処理が重いと開発者のインタビューには書いてあったが、変則的なセンサーの場合、今までの画像処理と異なる部分が多くソフトウェアの開発負担はあまり変わらないような気がした。sd Quattro-Hは、sd QuattroのセンサーサイズをAPS-Hサイズにスケールアップし、トップが2550万画素、その下は640万画素となっている。
sd Quattoroシリーズは、カメラの印象にも書いているが、ミラーレスカメラになったがマウントはSIGMA-SAを引き継いでいる。
1眼レフを捨てEVFを採用したが、センサーと液晶類の消費する電力のため標準状態のバッテリー1個ではすぐにバッテリー切れをおこす。その解決策としてバッテリーを増加させるためにバッテリーグリップを装着すると、正方形のとても大きなカメラになる。このボディにシグマ自慢のArtレンズを付けると巨大さはマシマシで持ち運びにビリンガムの335クラスの鞄がいる。
今使っているHasselblad X2Dとくらべてもかなりの体積になるカメラである。
Rawしか使わない撮影者にとって、QuattroシリーズからDNG撮影できるようになったことはSDシリーズにとって画期的なことであり、DNGファイルのおかげで普段使用しているHasselbladの現像ソフト・Phocusで撮影結果を仕上げるワークフローが使えるのは非常にありがたい。
しかし、一番勝手が違うと感じるのは、ホワイトバランスの変化、通常色がリニアに変化するが、SIGMAのDNG画像をPhocasでホワイトバランスを操作すると、あるところで急に変わったり、変化の後に戻ったりと、ホワイトバランスの数値が変化動きをすることには戸惑う。それでも、SPPで操作するよりは数倍効率が良い。画質とDNG対応は、sd Quattroを語る上で欠かせないピースだと思う。
しかし、ここからはほぼ愚痴になる。
ミラーレスカメラになったがマウントはSIGMA-SAを引き継いだため、個人的には中途半端なカメラになってしまったと思っている。
2012年に同じ試みをしたPENTAX K-01はKマウント、ミラーレスの形でリリースされ、セールスでは大失敗した実績があるにもかかわらず、この形式に挑んだことは不思議でならない。
自社開発のミラーレスマウントは無理と判断したのは賢明かもしれないが、新センサーできちゃったからとりあえずカメラを発売したいという欲求が抑えきれない、相変わらずのマーケティング皆無でこらえ性がないところにSIGMAスピリッツを感じる(褒め言葉ではない)。
結果論になるが、2018年にはめでたくL-Mount アライアンスに加盟して、ミラーレスマウントを得ることができたので、このタイミングで満を持してQuattroセンサーのカメラをリリースすればユーザーは幸せだったような気がする。Foveonセンサーで純正ライカレンズがAFで使える、少し前なら完全なホラ話だ。
紆余曲折ありつつSIGMAはL-Mount向けカメラとしては、普通のベイヤーセンサーを採用し、メカシャッターレス、コンパクトボディという特徴はあれど、全体的には極凡庸なカメラを出してお茶を濁している。2022年現在、フルサイズFoveonはリリースできる形にはなっていないようだ。
かなり話がそれた、話題をカメラ自身に再フォーカスすると、Quattro / SD Quattro Hは未完成品と呼ばれても仕方がないと思う。
増えた画素によって処理時間は長くなり、バッテリーの持ちは良くなく、連続撮影するとセンサーに熱害の警告が出る。また、これは撮影者側の問題だが油断すると手ぶれのオンパレード、とSD1よりさらに忍耐のいるカメラになっている。
苦行になれたSIGMAユーザーでもなかなか厳しいカメラである。
自身は短時間の使用だったので経験していないが、センサーに付着するメカダスト問題が取り沙汰されのも残念な話だ。
EVFはスペック上は236万ドットと十分と思わせておいて、実使用すると像の流れは激しく目が疲れ、長時間のブラックアウト、同時代のα、LEICA-SLのファインダーと比較すると写欲をそそるファインダーとは言えない。
現在Quattro Hはカメラボディが安くない価格で売られているが、入手するときはかなりの覚悟が必要だと思う。ときどき安いQuattroカメラを見ると再入手しようかと思うが、なかなか踏み切れない。古いSDシリーズは残しているがこのカメラをもって脱シグマした状態である。
このページを創るために過去写真を現像していると、画質は悪くないんだなと後ろ髪を引かれる。
仕様
項目 | SD1 | SD1 Merrill | sd Quattro | sd Quattro H |
カメラ有効画素数 | 4,800万画素(総画素) 4,600万画素(有効画素) (4,800×3,200×3層) | ← | 3320万画素(総画素) 2950万画素(有効画素) | 4470万画素(総画素) 3860万画素(有効画素) |
センサー | 第3世代 FOVEON X3® (CMOS) | ← | 第4世代 FOVEON X3® (CMOS) | ← |
センサーサイズ | 23.5×15.7mm APS-C x1.5 | ← | 23.4mm×15.5mm APS-C x1.7 | 26.7mm×17.9mm APS-H x1.3 |
マウント | シグマSAバヨネットマウント | ← | ← | ← |
背面液晶 | 3.0インチ・46万ドット | ← | 3インチ・162万ドット | ← |
ファインダー | ペンタプリズム式一眼レフファインダー | ← | 電子式ビューファインダー(約236万ドットカラー液晶) | ← |
バッテリー | リチウムイオンバッテリー(BP-21 / BP-22) | ← | リチウムイオンバッテリー(BP-61) | ← |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 145.5 × 113.5 × 80.0 | ← | 147 x 95.1 x 90.8 | ← |
重量(g) | 約700g (電池除く) | ← | 約625g (電池除く) | ← |
リリース年 | 2011年6月10日 | 2012年3月9日 | 2016年7月7日 | 2016年12月20日 |
価格(税別) | Open 参考価格(70万円) | Open 参考価格(20万円) | Open 参考価格(¥81,000-) | Open 参考価格(¥126,800-) |
オプション
- 縦位置グリップ・PG-41
- シグマSAマウントレンズ全種
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.2.12:改稿
- 2023.02.12:初稿
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