ペンタックス L39sc smc PENTAX 43mm

ライカL39スクリューマウント・smc PENTAX-L 43mm F1.9 Special のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はパナソニック・LUMIX GF1
- 写真作例の撮影はヘキサー RF +KODAK EPR 64リバーサルフィルム
レビュー

1.概要
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Special は2000年にペンタックスからリリースされたライカL39スクリューマウントを搭載した焦点距離43mmの準標準レンズ。ブラックとシルバーの2色展開で合計2000本の限定でつくられた。
主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。
- 焦点距離 43mm
- 開放F値 1.9
- レンズ構成 6群7枚
- 絞り羽根 9枚
- 最短撮影距離 0.7m
- ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.7m
- フード 組込引出式
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Specialは、ペンタックスが一眼レフのKマウント向けにリリースしている、HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited、smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited と同じレンズ構成をしている。
ここで紹介する、ライカL39スクリューマウント版(以下、L39マウントと略す)はレンジファインダーカメラの距離計に連動するため、バルナックライカ、ライカM型の互換カメラを含む、二重像合致式の距離計を持つカメラで使用する場合は、L39マウント版を購入する価値がある。
しかし、ミラーレスカメラで使用を考えている場合は、一眼レフカメラ向けKマウント版は最短撮影距離が0.45mと短く、最新の「HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」はレンズコーティングも新しくなっているため、レンズ使用上のメリットが大きい。


2.使用感
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Special は、2010年代は比較的中古市場で見かけるレンズで、それほど高くない価格で購入した。
レンズの意匠は1979年から売られているズミクロン 50mmと同様にフードは内蔵しており、フォーカスリングにはズミクロンにない指掛かりが設けられ、有害光のカットと操作性への配慮がなされている。
レンズを使用した結果をみると、繊細さとほどよいボケが同居した落ち着いた描写を見せている。マイクロフォーサーズはレンズ中央部のみを使用するため画面全体に均質感もあり文句の無い描写である。35mmフィルムで使用した場合、四隅はすこしの乱れが見られるが気になるレベルでは無い。
ライカ M8、M9でも使用した撮影結果をみると、M8はセンサーサイズが小さいため、描写に問題はなく35mmフルサイズではすこし苦し句感じる周辺がカットされるため無いためよい描写をする。
M9は周辺部が乱れるのはフィルムと同様で、ハイライト部分に紫の偽色が生じるカットを見ることもあった。35mmフルサイズについては、周辺部はごまかせないが、偽色についてはセンサー側の処理、現像時の処理で低減することができると考える。
デザインは凹凸の少ない円柱状であるため、シンプルなデザインが好みのユーザーは満足な所有感を得られると思う。鏡筒のくびれに萌える性にはイマイチに感じるだろう。
焦点距離43mmとレンジファインダーカメラの標準的なファインダーフレームはなく、外付けファインダーが用意されている。
外付けファインダーは描写の目安となる撮影範囲枠は43mm / 50mmが描かれている。
外付けフィンダーの汎用性を上げるための措置と推察されるけれど、本レンズ専用ファインダーなので無駄な枠をいれずに43mmだけにした方がシンプルで好ましい。
元来、外付けファインダーは撮影範囲の確認だけに使うアバウトな物なので、バルナックライカ系のカメラであれば、50mm枠なので、その少し外側を意識して使用する。
Mマウントカメラの場合は、L39マウントをMマウントに変換するリングの50mm / 75mmのL39-Mマウントアダプターを使用し、表示される外側の50mmファインダー枠の少し外側を意識して使用する。
ちょっと特殊なファインダーを持っている、LEICA CL、MINOLTA CLEは、40mm枠で撮れば、それほど違和感なく撮影できる。
3.付加情報
このレンズは先述の通り焦点距離が43mmと通常のレンジファインダーカメラが装備していない特殊なファインダー枠なことがM型ライカ使いには敬遠され、リリースした年代もあまりよろしくなく、当時はL39マウント、Mマウントの新レンズは一般ユーザーからの関心が低かった。
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Specialの2000本という供給量とあいまって、2010年頃までは箱入りの新品を市場見かけた。2020年代に入りMマウントデジタルカメラの普及とミラーレスカメラの人気上昇から、本レンズも市場から無くなり価格もそれなりに安定している。
時代的なものを振り返ると、このレンズが発売された2000年は小さなセンサーのレンズ一体型デジタルカメラの販売が盛りあがってきたところで、レンズ交換式の大型センサーを積んだ一眼レフはまだまだプロユースの高価格であり、古参のユーザーは一眼レフカメラ、レンジファインダーカメラを問わずフィルムを使用する時代だ。
フィルムを使用する時代は、撮影範囲をファインダーで直接確認できる一眼レフカメラの人気が高くカメラ市場のシェアもほとんどが一眼レフカメラであった。
レンジファインダー・カメラはライカ愛好家が使うカメラで、ライカ愛好家はライカブランド以外にあまり興味が無いことも、発売時にこのレンズの売れ行きがよくなかった一因と考えられる。
そして、この時期はL39マウント、Mマウントレンズがもっとも安価な時期であり、大口径レンズはフィルムカメラで使う場合、被写界深度の浅さから絞りを開けて使うとピンボケ、絞りを閉じて使うなら巨大なレンズは不要と言われた時代でもあり、ノクティルックス 50mmが10万円台から購入できた。
時間が進み2004年にEPSONから、デジタルレンジファインダーカメラ R-D1が発売され、L39マウント、Mマウントのレンズをデジタルで活用する道が開かれた。現在もっともL39/M型レンズが活用されているミラーレスカメラは、その記念碑となるパナソニック G1がリリースされるのは2008年まで待つことになる。
レンズ構成図は各社のPDFより引用、サイズはこちらで調整しているため、厳密ではない。
レンズ筐体写真については、手元のデータベースに所有していたレンズの写真が残っていないので、外観写真などはペンタックス公式が配布したPDFから引用している。
仕様
項目 | SMC PENTAX L 43mm Special | HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited |
焦点距離(mm) | 43 | 43 |
最大絞り | 1.9 | 1.9 |
最小絞り | 16 | 16 |
絞り羽根 | 9 | 8 |
レンズ構成 | 6群7枚 | 6群7枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 47 | 27 |
レンズ最大径(mm) | 55 | 64 |
フィルター径(mm) | 40.5 | 49 |
重量(g) | 230(Black / Silver) | 155 |
マウント | LEICA K39 | PENTAX-K |
製造数 | 2000本 | ? |
リリース年 | 2000.9.23 | 2021.4.28 |
参考リンク
- 世界のライカレンズ(写真工業社)・アマゾンアフィリエイトリンク
- SMC PENTAX L43mmはP110に畑鉄彦氏のレビューあり
- HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited(ENG)
- HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited(JP)
更新履歴
- 2025.3.31
- 2024.06.09
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