SMC PENTAX L 43mm Special

SMC ペンタックス L 43mm F1.9のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はパナソニック・LUMIX GF1
  • 写真作例の撮影はヘキサー RF +KODAK EPR 64リバーサルフィルム

レビュー

SMC ペンタックス L 43mm F1.9は、ペンタックスがライカLマウント向けに2000年9月にリリースした準標準レンズ。ブラックとシルバーの2色展開で合計2000本つくられた。

レンズの意匠は1979年から売られているズミクロン 50mmと同様にフードは内蔵しており、フォーカスリングにはズミクロンにない指掛かりが設けられ、有害光のカットと操作性への配慮がなされている。

レンズを使用した結果をみると、繊細さとほどよいボケが同居した落ち着いた描写を見せている。マイクロフォーサーズはレンズ中央部のみを使用するため画面全体に均質感もあり文句の無い描写である。35mmフィルムで使用した場合、四隅はすこしの乱れが見られるが気になるレベルでは無い。ライカ M8、M9でも使用した撮影結果をみると、M8は概ね問題なく35mmフルサイズではすこし苦しい周辺も無いためよい描写をする。M9は周辺部が乱れるのはフィルムと同様で、ハイライト部分に紫の偽色が生じるカットを見ることもあった。35mmフルサイズについては、周辺部はごまかせないが、偽色についてはセンサー側の処理、現像時の処理で低減することができると考える。

デザインは凹凸の少ない円柱状であるため、シンプルなデザインが好みのユーザーは満足な所有感を得られると思う。鏡筒のくびれに萌えるタイプは今一に感じるだろう。

焦点距離43mmと非常に微妙な焦点距離で外付けファインダーが用意されている。汎用性向上のためと考えられるが、フィンダーには43mm/50mmの両方の枠が描いてあり、専用ファインダーなのに中途半端な微妙な印象を受ける。外付けファインダーを使うのが面倒な場合、レンズのマウントはL39スクリューマウントであるため、50mm/75mmのアダプターを使用すると、LEICA CL、MINOLTA CLEの45mm枠がだいたい当てはまるだろう。また、一般的なM型ライカカメラの場合、35mm枠の内側か、50mm枠の外側を想像で使えばそれほどズレることも無いかもしれない。ヘキサーRFで使うときは50mmの外側を意識して使っていた。

このレンズは先述の通り焦点距離が43mmと通常のレンジファインダーカメラが装備していない特殊なファインダー枠なことがM型ライカ使いには敬遠され、リリースした年代もあまりよろしくなく、当時はL39/M型ライカ用レンズの新製品は一般ユーザーからの関心が低かっため、2000本というすこし強気な供給量とあいまって、2010年頃までは箱入りの新品を市場見かけることがあった。
その後は、ライカMマウントの復権とミラーレスカメラの人気から、本レンズも市場から無くなって、価格もそれなりに安定している。

時代的なものを見ると、このレンズが発売された2000年は小さなセンサーのデジタルカメラの販売が盛りあがってきたところで、大型センサーの一眼レフはまだまだプロユースの高価格で、通常のユーザーは一眼レフカメラもレンジファインダー・カメラもフィルム全盛の時代であった。
4年後の2004年にEPSON R-D1が発売され、L39/Mマウントのレンズをデジタルで活用する道が開かれた。現在もっともL39/M型レンズが活用されているミラーレスカメラは、その記念碑となるパナソニック G1がリリースされるのは2008年まで待つ必要があった。

この時代のカメラ市場は一眼レフカメラがほとんどの市場シェアを持っており、レンジファインダーカメラは一部のマニア向け商品だった。そのため、ライカL39 / Mマウントレンズがもっとも市場にあふれ安価な時期であった。
特に大口径レンズはフィルムカメラで使う場合、被写界深度の浅さから開けて使うとピンボケ、絞って使うなら巨大なレンズは不要と言われる不遇な時代であり、ノクティルックス 50mmが10万円台で購入できた夢のような時代である。

レンズ筐体写真については、手元のデータベースに写真が残っていないので、外観写真などは公式が配布したPDFから引用している。

レンズ外観はPENTAX配布PDFより引用
レンズ構成図はPENTAX配布PDFより引用

仕様

項目備考
焦点距離(mm)43
最大絞り1.9
最小絞り161/2刻み
絞り羽根9
レンズ構成6群7枚
最短撮影距離(m)0.7全域カメラ距離計連動
レンズ長(mm)マウント面からの距離
レンズ最大径(mm)55
フィルター径(mm)40.5
重量(g)230(Black / Silver)
製造数2000本
リリース年2000年9月23日

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.06.09

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