唯一ペンタライカ smc PENTAX 43mm

smc PENTAX-L 43mm F1.9 Special・ライカL39スクリューマウントをデジタル&フィルムカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
猫多めの写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
レビュー

1.概要
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Special は2000年にペンタックスからリリースされたライカL39スクリューマウントを搭載した焦点距離43mmの準標準レンズ。ブラックとシルバーの2色展開で合計2000本の限定でつくられた。
主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。
- 焦点距離 43mm
- 開放F値 1.9
- レンズ構成 6群7枚
- 絞り羽根 9枚
- 最短撮影距離 0.7m
- ライカMレンジファインダーカメラ距離計連動 0.7m
- フード 組込引出式
焦点距離43mmはレンジファインダーカメラの標準的なファインダーフレームは無い焦点距離なので、新品レンズには付属品として43mm/50mm枠の外付けファインダーが同梱された。
2.使用感
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Specialの撮影結果は、繊細さとほどよいボケの同居する落ち着いた描写を見せる。35mmフィルムで使用した場合、四隅はすこし乱れるけれど気になるレベルでは無い。
デジタルカメラは35mmフルサイズセンサーのLEICA M9はフィルムと同じで周辺部は少し乱れがみられ、かつ、ハイライト部分に紫の偽色を生じる画像が見られた。
35mmフルサイズセンサーカメラの偽色は画像生成に依存する部分も多いため、使用するカメラとレンズの相性によるところもあるため事前にテストすることが望ましい。
APS-HサイズセンサーのLEICA M8で使用した撮影結果は描写に問題はなく、よりセンサーサイズが小さい、APS-CサイズセンサーのR-D1、マイクロフォーサーズ(M43)センサーのLUMIX GF1は、撮影結果はレンズ中央部だけを使用しているため画面全体が均質で文句の無い描写をする。
いずれのカメラでも、逆光耐性はまずまずで、絞り開放では少しコントラストが落ちる画像が見られたが、コントラストを少し補正することによって気にならなくなる。
レンズ意匠は同時代にリリースされたレンズトレンドを踏襲しており、フードは内蔵、フォーカスリングに指かかりを設けている。これは有害光カットと操作性向上を考慮している。
レンズ外観は凹凸少ない円柱形状デザインであるため、シンプルなデザインを好むユーザーは高評価で、くびれた鏡筒を好むユーザーには面白みに欠ける。
外付けファインダーは43mm / 50mmの撮影範囲枠を重ねて印刷してある。しかし、50mm枠は不要で43mm枠だけあればスッキリしてよりベターだ。
外付けファインダーは撮影範囲の確認だけに使うアバウトな道具で、バルナックライカ系カメラは標準50mm枠、Mマウントカメラは50mm / 75mmのL39-Mマウントアダプターを使用して表示された、50mm枠外側を意識して撮影する。もしくは、35/135mmのL39-Mマウントアダプターを使用して表示された、35mm内側を意識して撮影すれば概ねイメージにあった範囲で景色を切りとれる。
特殊な40mm枠を持っている、LEICA CL、MINOLTA CLE、BESSA R3シリーズは、40mm枠で撮れば違和感は少ない。
3.まとめ
結論としてsmc PENTAX-L 43mm F1.9 Specialをまとめると、レンジファインダーカメラ距離計に連動するため、バルナックライカ、ライカM型互換カメラを含む、二重像合致でピント合わせをしたい場合、L39マウント版を購入する価値はある。
仕様・考察
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Special の時代
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Specialを購入した2010年代はレンジファインダーカメラ用レンズが底値で、このレンズも中古市場でよく見かけた。当時それほど高くない価格で購入した。2000本という過剰な供給量とあいまって発売後10年程度は箱入り新品を見かけた。
時代的なものを振り返ると、このレンズを発売した2000年は小さなイメージセンサーを搭載したレンズ一体型デジタルカメラが発売された時期、レンズ交換式で大型イメージセンサーを積んだデジタル一眼レフカメラはプロユースで、多くの撮影者はフィルムで撮影する時代にあたる。この時期は撮影範囲をファインダーで直接目視できる一眼レフカメラの支持が高くカメラ市場のシェアもほとんど一眼レフカメラだった。
レンジファインダー・カメラは主にライカ愛好家しか使わないカメラで、ライカ愛好家はライカブランド以外に興味は薄く、焦点距離 43mmと通常のレンジファインダーカメラにはない特殊な焦点距離をもつ、このレンズはレンジファインダーカメラユーザーから敬遠されて売れ行きはよくなかった。
時間は進み2004年にEPSONからデジタルレンジファインダーカメラ R-D1の発売により、L39マウント、Mマウントのレンズをデジタルで活用する道を開く。その時期にカメラのレビューとともにこのレンズも紹介されることがあった。
2020年代でもっともL39 / ライカMレンズを活用しているミラーレスカメラは、ファーストリリースとなるパナソニック G1リリースは2008年だ。その後、Mマウントデジタルカメラの普及とミラーレスカメラの人気上昇から、本レンズも市場から無くなり価格もそれなりに安定している。
smc PENTAX 43mm F1.9 の兄弟レンズ
smc PENTAX-L 43mm F1.9 Specialは、ペンタックスの一眼レフカメラ・Kマウント向けにリリースしている、HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited、smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited と同じレンズ構成をしており、兄弟レンズと言える。
この両者はマウント形状が異なるだけでなく、機能面において一つ異なる点がある。
それは、一眼レフカメラ向けKマウント版は最短撮影距離 0.45mと短く、最新のHD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limitedはレンズコーティングも新しくなっているため、L39マウント版よりも性能は向上していると考えられる。
このため、ミラーレスカメラおよび他社一眼レフでの使用を考えた場合は、マウントアダプターの種類が多いため汎用性が高く、最短撮影距離が短いという実用性からPentak-Kマウント版が優れていると考えることもできる。
- レンズ構成図は各社の資料より引用、サイズはこちらで調整しているため、厳密ではない。


項目 | SMC PENTAX L 43mm Special | HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited |
焦点距離(mm) | 43 | 43 |
最大絞り | 1.9 | 1.9 |
最小絞り | 16 | 16 |
絞り羽根 | 9 | 8 |
レンズ構成 | 6群7枚 | 6群7枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.45 |
レンズ長(mm) | 47 | 27 |
レンズ最大径(mm) | 55 | 64 |
フィルター径(mm) | 40.5 | 49 |
重量(g) | 230(Black / Silver) | 155 |
マウント | LEICA K39 | PENTAX-K |
製造数 | 2000本 | ? |
リリース年 | 2000.9.23 | 2021.4.28 |
参考情報
- 世界のライカレンズ(写真工業社)・Ads by Amazon
- SMC PENTAX L43mmはP110に畑鉄彦氏のレビューあり
- HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited(ENG)
- HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited(JP)
- EPSON R-D1x・Shige’s hobby
- EPSON R-D1・Shige’s hobby
- LEICA M9・Shige’s hobby
- LEICA M8・Shige’s hobby
- HEXAR RF・Shige’s hobby
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更新履歴
- 2025.3.31
- 2024.06.09
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