SONNAR 140 for CONTAX645
ロシアンゾナー似のマッチョレンズ
SONNAR 140mmのレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はLEICA S typ007
レビュー
1.使用感
ゾナー 140mm F2.8は、京セラが中判カメラ・コンタックス645向けにリリースした焦点距離140mmの中望遠レンズで、ライカSシリーズで使う場合は、35mm判換算で112mmの焦点距離となり、適度な圧縮感が得られ前後のボケ味も悪くない素直な描写をする。コンタックス645フィルムカメラで使用すると、35mm判換算0.6倍となるため、84mm相当のポートレートレンズとなる。
焦点距離140mmのレンズは35mm判では珍しいため、中古屋で見るたびに気になっていたが、コンタックス645マウントということで長らく縁がなかった。LEICA S用の16038 [ライカ SアダプターC]を手に入れ、ゾナー140mmは安く手に入るコンタックス645レンズだったので入手して使用した。
LEICA Sで使う限りオートフォーカス(AF)速度はのんびりしたもので、被写体のコントラストが低い場合合焦しないこともあり、これはLEICA Sのオートフォーカス性能が低いことも影響していると考えられるため、レンズだけを悪者にするのは気が引ける。
AFは今一だが、レンズ鏡筒には幅広のフォーカスリングがあるためマニュアルフォーカスはしやすいが、これもEVFを付けたカメラの方がピント精度において満足できると思われる。絞り開放F2.8は中判レンズとしては明るい方で開放では丸いボケが美しいが、絞ると羽根のエッジがボケにあらわれて気になることがある。
このレンズ最大の問題点は最短撮影距離が1.3mでSONNAR 210mm(最短撮影距離1.4m)とほぼ同じとなっており被写体に寄れないことだ。撮影距離を延長するオプションのMutar x1.4も使用できるが、焦点距離が196mmで最大絞り値がF4となり、SONNAR 210mmとまるかぶりのスペックになるため、この使用方法も積極的につかう気はしない。
Auto Extension tubeを使う場合、13mm=0.9m /26mm=0.8m /52mm=0.7mと、チューブを装着する面倒があるわりに、近接性能はほんの少し改善するだけである。
中古市場では不人気レンズの一つで、状態が並クラスだと五万円を切る価格で入手できる。持っている個体もくたびれた個体でレンズ指標の白ポッチもない状態であった。やはり使い道に乏しいため売ってしまった。
2.レンズ概要
ゾナー 140mm F2.8は、5群7枚のレンズ構成を持ち、レンズのイメージサークルは645フォーマットに対応しているため、ライカSの45x30mmセンサー、35mmフルサイズセンサーを余裕でカバーする。
レンズに絞り環を装備しているが、16038 [ライカ SアダプターC]を用いて、ライカSで使う場合は絞り環は無視され、カメラ側で絞り値を設定して撮影する。
フードは、アポ・マクロ・プラナー120mmと共通のGB-73を使用する。
見た目は、M42マウントのカールツァイス・イエナ製MCゾナー135mm F3.5と良く似ており、このレンズもツァイスの血統なのだと感じさせる。
3.競合との比較
ゾナー140mmは、ハッセルブラッドのHC150mmとスペックが近いので比較して表がこちらである。作画において望遠側の焦点距離10mmの違いはそれほど大きくはない。レンズ構成はゾナーが5群7枚とシンプルな構成でHC 150mmは8群9枚と贅沢なレンズ構成となっている。
重量はゾナーは688g、HC150は970gとなっており、3割ほどHC150の重量が増している。これはハッセルブラッドHCレンズがシャッター機構を内蔵していることと、焦点距離が10mm長いことが影響していると考えられる。下の比較写真を見てわかるとおり、サイズもCONTAX 645 ゾナー140mmが一回り小さい。
仕様
レンズ名 | SONNAR 140 | HC150 |
焦点距離(mm) | 140 | 150 |
最大絞り | 2.8 | 3.2 |
最小絞り | 32 | 45 |
レンズ構成 | 5群7枚 | 8群9枚 |
最短撮影距離(m) | 1.3 | 1.3 |
レンズ長(mm) マウント面からの距離 | 98 | 124 |
レンズ最大径(mm) | 81 | 86 |
フィルター径(mm) | 72 | 77 |
重量(g) | 688 | 970 |
リリース年 | 1999年 | – |
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.9.2
- 2024.2.11:改稿
- 2023.05.31:初稿
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