6枚玉 SUMMICRON R 35mm 2nd
LEICA SUMMICRON R 35mm / F2(II型・新型)をデジタルカメラとフィルムカメラ LEICA R8で使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA R8 +KODAK Proimage100 +NIKON LS-50
- CANON EOS 1D Mk-IV
- LEICA SL typ601
- SONY α7
- SONY α NEX-5 +BAVEYES x0.7
- LEICA CL typ7323
レビュー


1.概要
ズミクロン R 35mm II型 は1976年にリリースされたライカRマウントレンズ。
主な仕様は以下の通りだ。
- レンズ構成 6群6枚
- 最短撮影距離 0.3m
- 絞り羽根 6枚
- フィルター径 55mm
- レンズフードは組み込み式
- レンズマウント 3カム、Rカム、ROM端子付き
2.使用感
ズミクロン R 35mm II型・新型の描写は新型レンズだがリリース年が1976年とSUMMILUX R 35mmの1983年と比べてかなり古いため、それほど性能は高いレンズではない。レンズサイズが小さいため、ミラーレスカメラに装着しても違和感の無い大きさで、コンパクトな35mmレンズを求めるならば候補となるレンズだ。
描写等については以下のそれぞれのカメラに記している。
■フィルム一眼レフカメラ
フィルムカメラ LEICA R8をネガフィルムで使用した結果は、
LEICA R8にSUMMICRON R 35mm II型・新型を装着するとレンズがかなり小ぶりに見える。コンパクトなのは良い点もあるが、カメラが大きいためレンズにもう少し大きさが欲しくなる。LEICA R8との組み合わせは旧型のSUMMICRON R 35mmのほうが見栄えがよい。
カラーネガフィルムの撮影結果をみるかぎり、四隅の描写が旧型SUMMICRON R 35mmより改善されていることがわかり、全体的な描写としては新型の方が纏まっている。
■デジタル一眼レフカメラ
EOS-1D Mark-IVは1600万画素・APS-Hサイズセンサーでセンサーサイズが35mmフィルムより小さいため、画像周辺部がカット(クロップ)されるため画像としてみた際の描写はよくなる。しかし、カットし分だけ焦点距離が長くなり、焦点距離35mmはセンサーによる換算係数1.3をかけることにより、35mmフィルム判換算距離で45.5mmとなる。
撮影範囲だけ見ると1D Mark-IVはほぼDigital Module Rの代替と言える。残念ながらDigital Module Rでは使用した記録がなく作例写真がない。
また、35mmフルフレームセンサーを搭載した、EOS 1DS MK-IIIで使用する際に一部レンズで問題となる問題となる、レンズ後玉はそれほど出っ張っておらず、後玉がカメラのセンサーに干渉して発生するエラー20(Err20)は発生しない。
■35mmフルフレーム・ミラーレスカメラ
LEICA SL typ601とSONY α7はともに2400万画素の35mmフルフレームセンサーを搭載したカメラだ。旧型のSUMMICRON R 35mmは周辺部の描写に難を感じることがあったが、その改良版である本レンズは画面全体で描写のクオリティが上がっている。
使い勝手についてはピント調整についてはEVFの拡大機能を使うことにより正確にピント位置を決定でき、ミラーレスαは2代目から手ぶれ補正機構を搭載しているため、Rマウントレンズを使い易くなっている。
ソニーカメラは標準機能ではマニュアルフォーカスレンズの焦点距離や名前の情報をExifに登録する方法がないため、撮影後にExifを編集するか、すでに販売の終了したアプリを使う必要がある。
LEICA SL typ601はROM端子付きレンズを純正のL-Rマウントアダプター(16076)を使用すると、撮影ファイルのExifに撮影情報を記録することができる。しかし、旧型と新型で記録される情報が同じため、Exif情報からだけではどちらの35mmレンズを使ったのかはわからない。

■ APS-Cセンサー・ミラーレスカメラ
LEICA CL typ7323は2400万画素のAPS-Cセンサーを搭載したミラーレスカメラで、SUMMICRON R 35mmを使用すると、センサーサイズによって撮影範囲がクロップされるため、35*1.5=52.5mmとなる。周辺部がカットされるため画像隅まで問題のない画像を記録する。
NEX-5は1400万画素のAPS-Cセンサーを搭載したミラーレスカメラで、作例はKIPON製フォーカルレデューサー BAVEYES x0.7を使用している。撮影時の実焦点距離は、センサーサイズとフォーカルレデューサーの倍率が掛け合わさり、35*1.5*0.7=37mmとほぼオリジナルレンズと同じ焦点距離となる。フォーカルレデューサーの効果でレンズ絞り値は1段明るくなり、絞り開放では37mm F1.4のレンズとなる。この組み合わせはフォーカルレデューサーの悪いところがよくわかり、作例の絞り開放は画像周辺部が渦巻き状、いわゆるグルグルボケになっていることがわかる。氏惚れはある程度改善するが、マスターレンズとフォーカルレデューサーの相性もあり、このレンズはこのような描写傾向となる。

■中判デジタルセンサー・ミラーレスカメラ
HASSELBLAD X2D-100Cの搭載するデジタル中判の44 x 33mmセンサーの撮影結果をみると、撮影結果は周辺減光だけ見ると画面全体のうち約86%をカバーしている。しかし、35mmフィルムサイズを超えた周辺部の描写は少し乱れがみられるため35mmフィルムサイズで止めておくのが良い。

3.まとめ
新型SUMMICRON R35mmは旧型から、フード内蔵でコンパクトかつ軽量になり、取り回しがよくなったレンズだ。
描写についても不満は無く、小型の一眼レフ向け35mmレンズとしてバランスのよいレンズとなっている。
しかし、RマウントのズミクロンはMマウント・ズミクロンのような伝説に彩られたレンズではなく、極平凡なレンズだ。
仕様・考察など
ズミクロン 35mm 新(II)型は旧(I)型と比べると、設計は年代なりに新しくなっており、描写に癖のない中庸で堅実な描写をするレンズだ。モデルチェンジの大きな目的はレンズのコスト削減を目指したように見える。コスト削減が感じられるところとしては、以下の3点が挙げられる。
- レンズ構成は新(II)型は6群6枚と旧(I)型の7群9枚からレンズ枚数を削減
- コンパクトな鏡筒で、レンズ重量を旧(I)型と比べて70g軽量化
- 絞り羽根も旧(I)型の8枚→6枚に減少

しかし、SUMMILUX R 35mmの新型も古いレンズには違いなく、RマウントカメラがDigital Module R以降のデジタル時代に継続されていたら、真っ先にリニューアルの対象になってもおかしくないレンズだ。その際は非球面レンズを採用するなど贅を尽くしたレンズになっていたかもしれない。
時代は進んで、2019年にAPO SUMMICRON SL 35mmがリリースされているが、ミラーレスカメラ向けレンズとは思えない大きな鏡筒を採用しており、一時期使用していたがレンズサイズは常に過剰に感じられた。
YASHICA/CONTAX ディスタゴン(Distagon) 35mm F2.8も6群6枚のレンズ構成でレンズ間隔が比較的広いこと3枚目に厚みのあるガラスを採用しているなどレンズ構成は少し異なるが、発売年は近いので、似た思想のレンズかと思って並べてみたが、パワーのある太いレンズの前後に採用されているレンズ形式が異なるため設計思想は違うように思われる。
- 図は各社の公式PDFより引用、サイズはこちらで調整した。


| レンズ名 | SUMMICRON R 35mm(II 型) | DISTAGON 35mm Y/Cマウント |
| 焦点距離(mm) | 35 | 35 |
| 最大絞り | 2 | 2.8 |
| 最小絞り | 16 | 22 |
| 絞り羽根枚数 | 6 | 6 |
| レンズ構成 | 6群6枚 | 6群6枚 |
| 最短撮影距離(m) | 0.3 | 0.4 |
| レンズ長(mm) | 57.5 | 46 |
| レンズ最大径(mm) | 66 | 62.5 |
| フィルター径(mm) | 55 | 55 |
| 重量(g) | 430 | 245 |
| リリース年 | 1976-2005 | – |
| 製造本数 | 29,839 | – |
参考情報
- Leica Wiki 「SUMMICRON-R 35mm II」
- Canon Leica-R Compatibility Database
- Distagon ® T* f/2.8 – 35 mm・Zeiss公式PDF
- LEICA SUMMILUX R 35mm・Shige’s Hobby
- 3代目エルマリート35mm/F2.8・Shige’s Hobby
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更新
- 2025.10.20
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