曇る望遠ズーム V ELMAR R 80-200

ライカ・バリオ・エルマー 80-200mm F4のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA SL typ601、LEICA M typ240
Bee and Oga lotus・蜂と大賀蓮
VARIO ELMAR 80 200mm F4 LEICA SL typ601
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レビュー

1.概要

ライカ・バリオ・エルマー 80-200mm F4は、1995年か1996年にリリースされた、ライカ Rマウント用のF4通しの中望遠ズームレンズ。

このレンズの難点は中玉がバルサム切れをおこして曇りやすいことだ。そこで表題を「曇る望遠ズーム V ELMAR R 80-200」としている。

詳細な仕様は表に載せているが、主な仕様を抜粋すると以下の通りである。

  • 焦点距離 80mm~200mm
  • レンズ構成は8群12枚
  • 回転式ズーム
  • 最短撮影距離 全域1.1m
  • フィルター径 60mm
  • フード組み込み

ROM端子付きバージョン(オーダー番号 11281)は、LEICA R8、R9でTTLフラッシュの制御ができる。また、DMR(Digital Module R)と純正マウントアダプターのLEICA R-ADAPTER L(オーダー番号 16076)でLEICA Lデジタルカメラにレンズを接続すると、フラッシュ制御の他、レンズ名、絞り値、焦点距離、一部レンズは撮影距離などの情報をカメラに伝えることができ、その情報を画像ファイルのexifに記録することができる。

Rカムだけのバージョンは、オーダー番号 11280。

レンズ曇りに関しては2022年頃は関東カメラサービスで修理を受け付けていたようだが、現時点でも可能かは関東カメラサービスに問い合わせてみる必要がある。曇ったレンズはかなり格安で売られているが、修理費用を考えると最初から正常品を求めた方がよいかもしれないが正常品を探すのもなかなか困難である。

2.使用感

ライカ・バリオ・エルマー 80-200mm F4のレンズ操作部は、根元にがズームリング、中程にフォーカスリングの順でライカRマウントの回転式ズームで統一された様式となっている。

外見からインターナルズームのように見えるが、フォーカスリングを回すとレンズ全長が微妙に変化する。レンズフードは組み込みで、先端を引き出して使うが、引き出し距離がそれほどでもないため、200mmではフード長が足りないように思われる。レンズ鏡筒には、ズームレンズや望遠レンズ特有のライカ赤バッチがあしらわれており、筒型の鏡筒デザインにマッチしている。

作例をみてわかるとおり、ズームレンズのなかではボケが綺麗で、最短撮影距離は1.1mと寄れるレンズではないがネイチャー写真にも向いている。0.7m程度まで寄れればと思うこともあるがズームレンズの利便性とのトレードオフと考えて諦めていた。マクロアダプターの装着は可能なので、どうしても寄りたいときはそちらを使うことも可能だ。

日中に使う限りF4の絞り開放値が問題になることもなく、細身のレンズは大きめのカメラに付けるとホールド性が悪く感じるが、持ち運びには軽いという利点が勝つためフィールドでは使い易い。

3.付加情報

ライカ・バリオ・エルマー 80-200mm F4は、同様の焦点距離のレンズが過去3本リリースされており、このレンズは最新モデルの4代目となる。

過去のライカRマウントの中望遠ズームレンズは、フォーカスと焦点距離変更がワンアクションで可能な直進ズームを採用している。4代目のライカ・バリオ・エルマー 80-200mm F4は、フォーカスリングとズームリングが分かれた2リングの回転ズームを採用している。

この2リングの回転ズームは、ズームリングを手動で操作し、フォーカスはカメラに担当させるオートフォーカスレンズに向いている機構で、マニュアルフォーカスのライカRマウントレンズでは利点を見出し辛い。

ライカが1995年に新しいズームレンズを作るにあたって、マニュアルフォーカスでは使いづらい回転ズームを採用したかを考えると、このレンズがリリースされた時期は日本製オートフォーカスカメラがカメラ市場で幅をきかせてきた時期に当たり、リニューアルされる最新のズームレンズは2リング回転式への切り替えが進んでおり、直進ズームを採用しているメーカーはなくなっているという時代背景があるだろう。

代表的なところでは、ニコンの1988年発売のAi AF Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8Sは直進ズーム、その後継レンズ、1996発売のAi AF Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8D(New) で回転ズームに切り替わる。キヤノンは1989年のEF80-200mm F2.8Lがすでに回転ズームである。

このように回転ズームが主流になりつつある時期であるため、時流に乗っていない直進ズームを採用することをためらったか、日本に製造を依頼した際に直進ズームの作るための設備や職人がいなかった可能性などが考えられる。

VARIO ELMAR 35-70 F4と同様に、Mada in Japanの刻印があり、京セラが製造していると言われている。

近い焦点距離により明るい、バリオ・アポ・エルマリート 70-180mm F2.8があるが、このレンズと比べると倍程度の重さになるため、気軽に持ち出すことが躊躇われるレンズになっている。

仕様

レンズ名VARIO ELMARVARIO ELMARVARIO ELMAR
焦点距離(mm)21-3535-7080-200
最大絞り3.5-444
最小絞り222222
絞り羽根枚数668
レンズ構成8群9枚7群8枚8群12枚
最短撮影距離(m)0.50.5 (0.26 macro)1.1
レンズ長(mm)66.37946
レンズ最大径(mm)757462.5
フィルター径(mm)676060
重量(g)5005051020
レンズフードプラスチック爪 12438ねじ込み 12437組み込み
製造本数*13,400(2005まで)8,680(2005まで)14,350(2005まで)
リリース年-2001-1996-1995

参考リンク

更新履歴

  • 2025.1.9
  • 2024.03.26
  • 2023.11.15:初稿

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