LEICA VARIO ELMARIT SL 24-90mm

LEICA VARIO ELMARIT SL 24-90mm

光学式手ぶれ補正搭載標準ズームレンズ

ライカ バリオ・エルマリート 24-90mmをLEICA SL Typ601で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • 写真作例の撮影はLEICA SL typ601

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

バリオ・エルマリート SL 24-90mmはライカSL用のオートフォーカス標準ズームレンズで、標準ズームレンズにしては珍しく光学式手ぶれ補正を搭載している。
その恩恵は望遠端の90mmで微妙にできる程度で広角端の24mmで恩恵を感じることはなかった。

レンズ構成は、15群18枚と現代レンズの典型的な多レンズ構成で、リアフォーカスを採用しフォーカス速度の高速化とフォーカス時にレンズ長は変化しないインターナルフォーカスとなっている。フォーカスリングはレンズ前方にあり距離指標がないことからフォーカスリングは物理的な機構ではなく、回転を電気信号に変えてフォーカスを動作している。中央後寄りの1枚の非球面レンズは手ぶれ補正の役割をになっている。
前玉はズームリングと連動してズーム時に鏡筒の伸張で焦点距離は変化し、テレ端の90mmでもっとも長くなる。

AF合焦速度はなかなか高速で、LEICA SL typ601で撮影した際、AF合焦速度に不満は無く、AF合焦精度は一般的な風景や人物の撮影で迷ったり外すことは無かった。
藪の奥にいる猫や鳥などの難しい被写体の場合は撮影者の意図通りには合焦しない。その場合はマニュアルフォーカス割り込みで対処可能する。

本レンズのリリース時、ライカのオリバー・カルトナー氏は「ズームレンズなのでズーミングでF値が変化するのは合理的で当然」と述べていた。しかし、その後にF値通しのレンズをラインアップしたのは、F値固定=高級レンズという慣習は今もいきているのだろう。

2.使用感

バリオ・エルマリート SL 24-90mmは、LEICA SL typ601を使っていたときに購入した。

レンズの描写は特に驚きを感じるほどではなく、ズームレンズとしてはよくできたレンズで描写に不満をいだくことはない。

全長140mm、鏡筒径88mm、重量1.14kgの堂々としたレンズで、LEICA SL typ601などの大柄なカメラと装着した際の姿形はよい。大きく重いレンズなので持ち運び時は大型で丈夫なカメラバックを必要とする。
本レンズをAPS-CサイズセンサーのLEICA Tに装着してみたところ、レンズとカメラはアンバランスで使用することは無かった。

買ったけれどあまり使わなかったレンズで、その理由は以下のとおりだ。

  • 標準レンズとしては大きく重い。
  • 90mmより望遠を使うときは、アポ・エルマリート・90-280を使う
  • 35mmより広角を使うときは、スーパー・エルマー・16-35を使う
  • 35-90mmの間は、ライカRマウントの単焦点レンズを使う

ライカオートフォーカスレンズの怖いところはモーターの故障で、保証期間をすぎると修理金額は高額で修理期間もかかる。ライカのオートフォーカスレンズは中古市場でモーターの壊れたレンズを散見され、完動品でも今後の修理費を考えると怖くて手を出しづらい。

3.まとめ

結論としてバリオ・エルマリート SL 24-90mmをまとめると、新しい世代の標準ズームレンズによって役割を終えたレンズだ。大きく重いので持ち出しには気力と体力のいるレンズだ。

SIGMAおよびSIGMA-OEMレンズはズームリングの回転方向はLEICA標準と逆なので、他のライカズームレンズと併用する場合、ズームリングの回転方向をLEICA標準と揃える場合、PANASONIC製かバリオ・エルマリート SL 24-90mmが標準ズームレンズの選択肢となる。

仕様・レンズ比較

Lマウントアライアンスにおいて、35mm判フルサイズカメラ対応の標準ズームレンズは、シグマから3本、パナソニックから2本、ライカから2本リリースされている。

LEICA SL typ601のリリース時は、Lマウントの35mm判フルサイズ向けレンズは、このレンズとズミルックス SL 50mmだけで選択肢がなかった。
しかし、2022年にリリースされた「Vario-Elmarit-SL 24-70 f/2.8 ASPH.」はシグマOEMと思われるF2.8通しのズームレンズで、安価なこのレンズはカメラのバンドルレンズにも採用され、バリオ・エルマリート SL 24-90mmの影は薄くなる。

2000年代のシグマレンズは物としてのクオリティ、撮影画像の品質はよくなり選択肢として有力だ。

しかし、前述のとおりSIGMAおよび、SIGMA-OEMレンズは、ズームリングの回転方向がライカ標準とは逆になっている。
具体的には、ライカ標準のバリオ・エルマリート 24-90mmはワイド端から右回転でテレ端になる。シグマとそのシグマOEMと思われるレンズはワイド端から左回転でテレ端になる。
パナソニックのLマウントズームレンズは、ライカと同じワイド端から右回転でテレ端になる。

パナソニックのLマウント向け交換レンズ、Sシリーズ市場での存在感は薄いけれど、必要な焦点距離は揃っており、ライカ純正レンズとズームリングの回転方向の一致というメリットがある。

ItemsVARIO ELMARIT 24-90VARIO ELMARIT 24-70SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II | Art LUMIX S PRO 24-70mm F2.8
焦点距離(mm)24-9024-7024-7024-70
最大絞り2.8-42.82.82.8
最小絞り22222222
絞り羽根111111
レンズ構成15群18枚15群19枚15群19枚16群18枚
最短撮影距離(m)0.3-0.450.18-0.380.17-0.340.37
レンズ長(mm)138123120.2140
レンズ最大径(mm)88888891
フィルター径(mm)82828282
レンズ手ぶれ補正ありなしなしなし
重量(g)・レンズのみ1140856745935
リリース年2015.11.282022.052024.05.20 2019.9.25
定価(円・税別)¥650,000-¥350,000-¥180,000-¥221,000-

初期ライカ製・Lマウントレンズ

レンズ名SUPER VARIO ELMARVARIO ELMARITAPO VARIO ELMARITSUMMILUX
焦点距離(mm)16-3524-9090-28050
最大絞り3.5-4.52.8-4.02.8-4.01.4
最小絞り22222222
レンズ構成12群18枚15群18枚17群23枚9群11枚
最短撮影距離(m)0.25-0.3-0.450.6-1.40.6-
レンズ長(mm)123138238124
レンズ最大径(mm)88888888
フィルター径(mm)82828282
レンズ手ぶれ補正無し有り(3.5段分)有り(3.5段分)無し
重量(g)・レンズのみ9901,1401,7101,065
リリース年2018.05.102015.11.282016.04.292016.12.28
定価(円・税別)¥760,000-¥650,000-¥820,000-¥770,000-

参考情報

更新履歴

  • 2025.5.16
  • 2024.6.29
  • 2024.03.10
  • 2023.09.02

広告


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA