Last updated on 2025-11-11
CONTAX G BIOGON T* 21mm F2.8をMs-opticsでライカ Mマウントに改造したレンズをデジタルレンジファインダーカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した
- LEICA M typ240
- LEICA M8
- EPSON R-D1
レビュー


1.概要
BIOGON G 21mm F2.8は、1996年に京セラがコンタックス G2とともにリリースしたオートフォーカスレンズ。
ここではMs-optics(宮崎光学)にてBIOGON G 21mm F2.8をライカ Mマウント(レンジファインダーカメラ距離計連動)に改造されたレンズについて紹介する。
BIOGON 21mmと呼ばれるレンズは、いくつかの種類があり、本レンズはコンタレックス向けビオゴン21mm、コシナ・ツァイス ZMのビオゴン21mmとは異なるレンズだ。
本レンズはコンタックス G1、コンタックス G2でも使用していた。それらを売ってしまったあとMS-Optics(宮崎光学)にてレンズをLeica Mマウントの距離計連動に改造した。改造レンズはMS-21という21mm用の共通ヘリコイドを使用している。
オリジナルレンズとMs-optics改造レンズの主な違いは以下の4点である。
- フード、フィルター枠の固定方式
- オリジナルレンズはフィルターを装着する枠が固定されているので、フォーカス時にフィルターが回転しないため角形フードを使用可能で、PLフィルターも使いやすい、しかし、サードパーティの角形フードとPLフィルターは両立させることはできない
- 改造レンズはフォーカス時にフィルターを装着している鏡筒が回転するため、角形フードやPLフィルターを使いづらい
- 絞りのクリックストップ
- オリジナルレンズは1絞り毎にクリックストップがある
- 改造レンズはF2.8~16まで無段階絞り
- レンジファインダー距離計連動
- オリジナルレンズはGマウントなのでオートフォーカス(以下、AF)
- 改造レンズはライカM型カメラの距離計に連動
- 最短撮影距
- オリジナルレンズは0.5m
- 改造レンズは0.7m
オリジナル CONTAX G BIOGON 21mmの仕様は「CONTAX G BIOGON 21mm・Shige’s hobby」を参照のこと
2.使用感
ビオゴン 21mm F2.8 Mマウント改造はレンズをMマウントに改造している利点として、ライカMレンジファインダーカメラの二重像合致でピント合わせができることがある。
また、マイナーなミラーレスカメラの場合、CONTAX Gマウントアダプターは無くても、ライカMマウントマウントアダプターは提供されていることが多いため、レンズの汎用性が高くなる。
フィルムで使う場合は問題の少ないレンズだけれど、デジタルカメラは周辺減光とカラーキャストの問題が発生するカメラがある。
本レンズはコーティングが良いためか逆光耐性に優れており、被写体に太陽光が入り込むような状況においても、フレアかゴーストによる妖しげな光の発生に遭遇することはほとんどない。
レンズ構成は下図仕様に示すとおりで、対称といえば対称型といえるレンズ構成をしており、後玉の潜り込み量は抑えられた形状をしている。
しかし、レトロフォーカスタイプの広角レンズや一眼レフカメラ用広角レンズと比べると、後玉がセンサー表面に近いため、デジタルカメラの機種によっては、撮影画像の周辺部で紫色のカラーキャストが発生することがあり、青空などを撮影する顕著にそれがみられ、作例においてもLEICA M typ240の1枚目にカラーキャストが確認できる。
カラーキャストへの対応としては、以下5つが考えられるだろう。
- 撮影結果をモノクロームで楽しむ
- カラーの場合は周辺部分を大胆に落とす
- キャストが目立たない色の被写体を選ぶ(青空は諦める)
- フィルムで撮影する
- カラーキャスト(色かぶり)の少ないカメラを選ぶ
このカラーキャストは同じ焦点距離21mmでも後玉がセンサー面から離れているレトロフォーカスタイプのエルマリート 21mm F2.8などはこのような現象は発生しないため、スーパーアンギュロン同様にライカ M9、M、M10などで使った限りでは少し使いづらいレンズだ。
実焦点距離は焦点距離21mmだが35mmフィルム判よりセンサーサイズが小さい、APS-Cサイズセンサーを搭載したEPSON R-D1は換算係数1.5倍して32mm相当、APS-Hサイズセンサーを搭載したLEICA M8は換算係数1.33倍して28mm相当となる。こちらで撮影すると問題となる周辺がカットされるため画像としては問題がなくなる。
LEICA M8で使用する際は、内蔵ファインダーに21mm枠がないため、構図確認のために外部ファインダーが必要となり、28mm外付けファインダーを装着し使用すると撮影範囲としては妥当となる。
APS-Cサイズセンサーを搭載したカメラでも、搭載しているセンサーによっては周辺部のカラーキャスト(色かぶり)が発生することがある。使用したカメラの中ではSONY α NEX-7、LEICA T typ701などは空を撮影するとシアン色にかぶることがある。
BIOGON G 28mm、PLANAR G 35mm、PLANAR G 45mmはいくつかのメーカーが改造レンズの提供をおこなっている、しかし、BIOGON G 21mm F2.8のMマウント改造はMs-optics以外では見たことが無い。
レンズに同梱されている純正の21mm ファインダーはそれほど見え方のよい物ではなく、最新のコシナ・ツァイス、またはライカの21mmファインダーがクリアーな視界が得られるだろう。
■中判センサー搭載ミラーレスカメラ
HASSELBLAD X2D-100Cは中判デジタルセンサーを搭載したミラーレスカメラで、センサーサイズは35mmフィルム判よりも大きく、35mmフィルム判にたいする焦点距離の換算係数は0.8倍となっており、イメージサークルが中判デジタルセンサーをカバーしていれば、17mm相当の超広角レンズとなる。しかし、残念ながらBIOGON G 21mm F2.8の イメージサークルは35mmフィルムサイズがが限界となり、中判デジタルセンサーの範囲をカバーしない。
下図右はもっとも外側が中判デジタルセンサーの撮影範囲で画像の周辺部はイメージサークルが足りないため黒く潰れている。赤線内側が35mmフィルムサイズ(36 x 24mm)の範囲となる。
この画像を見ると周辺部にカラーキャストが現れていないことがわかる。LEICA M-P typ240は場面によっては周辺部にカラーキャストが発生しシアン色が発生しモノクロにしなければ画像として使えないことがあるが、HASSELBLAD X2D-100Cのセンサーは本レンズを使用しても、カラーキャストを発生しない。これは一部の35mmフルフレームセンサーカメラよりも本レンズをカラーで使い易いと言える。
X2D-100Cは35mmフィルム判にクロップする機能があるため、こちらを使うと35mmフルフレームセンサーカメラと同じ使い勝手となる。ただし、X2D-100Cはカメラ本体にシャッター機構がないため、電子シャッターで撮影するので、被写体のローリング歪みに気をつける必要がある。
同じサイズの中判デジタルセンサー搭載したミラーレスカメラのなかで富士フイルムのGFXシリーズはメカシャッターをボディに内蔵しているため、よりライカMマウントレンズは使い易いはずだ。

3.まとめ
Mマウントに改造したBIOGON G 21mm F2.8をまとめると、Ms-OpticsにてGマウントの本レンズをMマウントに改造することによりレンジファインダーカメラの距離計と連動し、ピント位置を正確に合わせることができる。
しかし、デジタルレンジファインダーカメラは構図を確認するための21mmのフィアンダー枠を持ったカメラがないため、外付けファインダーを利用する必要がある。
ミラーレスカメラはこれらの手間がないが、距離計連動機構は無意味となり、Mマウントに改造することのメリットは、各カメラ向けにマウントアダプターが確実に供給されていることだけになる。
仕様・考察など
ライカ製焦点距離21mmのレンズと比較すると、BIOGON G 21mm F2.8は後玉がフィルム面に近いことがわかる。この差がデジタルカメラでは画像周辺部でカラーキャスト(色かぶり)の発生原因となっている。
BIOGON 21mmは1996年発売で、1979年発売のELMARIT M 21mmの球面レンズ採用版と比べると、解像感はよく歪曲補正もよくできている。しかし、1997年発売の非球面レンズを採用したELMARIT M 21mm ASPH.と比べると解像度では劣り、補正については同等となっている。


| 項目 | BIOGON M改造 | ELMARIT M 21mm | ELMARIT M 21mm ASPH. |
| 焦点距離(mm) | 21 | 21 | 21 |
| 最大絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 |
| 最小絞り | 22 | 22 | 16 |
| 絞り羽根 | 7 | 8 | 8 |
| レンズ構成 | 7群9枚 | 6群8枚 | 7群9枚 |
| 最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 (最初期0.4) | 0.7 |
| レンズ長(mm) | 35.5 | 46.5 | 46 |
| レンズ最大径(mm) | 59 | 62 | 58 |
| フィルター径(mm) | 55 | E60 | E55 |
| 重量(g) | 151 | 290 | 415(シルバー) 300(ブラック) |
| フード | 円筒ネジ込み | 12543(旧・ピン) 12537(新・フック) | 12592 14041 |
| マウント | ライカ M | M | M |
| 製造年 | 1996(Original G Version) | 1979 | 1997 |
| 定価(¥/税別) | Ms-optics | – | – |
| 製造本数 | ? | 13,930 | 7,250 |
参考情報
- WikipediaによるZeiss BIOGONの説明ページ
- Zeiss Photography Historical Products(リンク先ページ中段にCONTAX Gレンズのデータシートあり)
- CONTAX G1・Shige’s hobby コンテンツ
- CONTAX G BIOGON 21mm・Shige’s hobby コンテンツ
- LEICA ELMARIT M 21mm・Shige’s hobby コンテンツ
- LEICA ELMARIT M 21mm ASPH.・Shige’s hobby コンテンツ
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