2焦点レンズ DR SUMMICRON M 50mm F2

2焦点レンズ DR SUMMICRON M 50mm F2

LEICA DR SUMMICRON M 50mm F2をフィルムカメラLEICA M6とミラーレスカメラ α NEX-5で使用したレビューと写真作例

目次

ギャラリー

写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。

  • LEICA M6 +KODAK E100VS +NIKON COOLSCAN-V
  • SONY α NEX-5

レビュー

Before imageAfter image

1.概要

DR SUMMICRON M 50mm F2は、ズミクロン50mmに眼鏡(近接アダプター)を装着することで0.48mまでの近接撮影を可能にしたレンズ。ギミックは機械的で眼鏡をレンズに装着すると、レンズ側にあるボールが押し込まれ、近接領域にヘリコイドが移動できるようになる。レンズから眼鏡を外した場合は、∞〜1mの範囲にピントが合い、通常のレンズと同様の取り扱いとなる。

眼鏡にもうけられたストッパー部品はM6以前のM型ライカの全高77mmに合わせてあるため、M6-TTL以降の電子部品の追加でカメラの全高が80mmへ変更されたフィルムカメラ、全高80mmのライカM互換のヘキサーRF、デジタルM型ライカのLEICA M8、M8.2、M9、M10、M typ240などは眼鏡のストッパーが邪魔になり眼鏡を装着できない。
しかし、このストッパーを取り除けばカメラへのレンズ装着は可能で使用にも問題はない。それは同じ眼鏡付きのSUMMICRON 35mm F2をそれらのカメラに装着した際、眼鏡位置による使用上の不具合が無いことは確認しており、眼鏡付きレンズはこれらのカメラでも装着できれば使用には問題ないことがわかっている。

DRズミクロンの眼鏡付き中古品で眼鏡のストッパーが除去されたものを見かけるのはこのためである。

2.使用感

DR SUMMICRON M 50mm F2は外観写真を見てわかるとおり眼鏡が付いたレンズで、DRズミクロンの眼鏡部分は取り外しが可能になっている点が他の眼鏡付きレンズと異なる。

また、眼鏡の機能的に違いがあり、眼鏡付き35mmレンズはM3の50mmファインダー枠を35mmに拡大するのが主な目的で、最短撮影距離も0.65mと眼鏡なしレンズとほぼ同じで近接撮影が目的の物ではない。
135mmの眼鏡付きレンズは、焦点距離135mm用の小さなファインダー枠を拡大する目的で近接撮影能力の向上はない。

DR SUMMICRONの描写は1m〜無限遠は定評のある50mmズミクロンの写りで、近接撮影時はパララックスは仕組み上仕方が無いが、フィルムで使用する場合はその場で撮影結果がわかるわけではないため、現像後の写真を見るかぎりそれほど意図から外れたとは感じない。デジタルレンジファインダーカメラの場合は、プレビューでその結果がわかるためパララックスが機になら場合は、電子ビューファインダーをそなえたミラーレスカメラでの使用が無難となる。

フィルムカメラを使用していたときは、これがあると近接撮影ができるので好んで使用していた。
眼鏡付きレンズはカメラに装着するとレンジファインダーカメラの軽やかさをスポイルするがカメラにメカメカしい重厚感を与えてくれる。上写真のようなグリップと眼鏡を付けた状態にすると、カメラ全体でそれなりの重量になり、首から下げるのは少ししんどいが目立つことは間違いない。

ミラーレスカメラのNEX-5でマウントアダプターを介してミラーレスカメラで使用すると眼鏡は邪魔になる。
眼鏡を取り外して撮影する場合、1m〜無限遠の通常撮影は問題ないが、近接撮影をする際はレンズのモードを近接モードに変更し、ヘリコイドを動かすためにレンズと眼鏡の接続部にあるボールを指で押し込みながらヘリコイドを動かす必要がある。実際問題としてこの操作を撮影中におこなうのは面倒だ。

この問題を解消するためには、若干邪魔だが眼鏡を付けたままにするか、補助ヘリコイド付きのマウントアダプターを利用して近接撮影する方法が考えられる。
装着した外観写真を残しておかなかったのは、片手落ちだが装着した姿は角のある雄ヘラジカのようでいかつい。
また、補助ヘリコイドの使用についてだが、DRズミクロンの近接撮影はレンズの移動はなく、ヘリコイドの繰り出しのみによって実現されているので、補助ヘリコイドの使用とレンズの近接モードを利用することに差はないと考えられる。そして、ミラーレスカメラは電子ビューファインダーもしくは背面液晶でピント位置を設定できるため、パララックスの影響もなく撮影者の意図通りの撮影が可能だ。

外観と価格については、この時代のレンズのシルバークローム外観は表面仕上げのためか塗装面がツルツルな現代レンズと異なりマット調の仕上げがとても美しい。フォーカスリングのローレットも現代レンズではありえない凝った作りで、所有する満足感のあるレンズだ。数多く製造されたレンズなので状態の良い個体も多く、探せば好みの個体が見つかるだろう。
2010年以前は眼鏡付きレンズはかなり安く売られていたけれど、2020年代に入り他のレンズ同様に値上がりしている。

デジタルM型ライカでの使用については眼鏡ストッパーの付いたレンズを持っていたので、わざわざ外すのも躊躇われたためデジタルMカメラ使用したことはなかった。
また、デジタルM型ライカについてはマップカメラの提供しているコラムTHE MAP TIMESはデジタルMでは近接撮影ができない旨記述があり、ライカWikiはDRバージョンはM8、M9で使用できないとの記載がある。この記述が正しいか、眼鏡のストッパーが原因か他の原因で装着できないかは確かめていない。

3.まとめ

結論としてDR SUMMICRON M 50mm F2をまとめると、レンジファインダーフィルムカメラで近接0.48mまで寄れる珍しいレンズ。焦点距離の切り替え機構も凝っており、メカ好きにはたまらないレンズだ。

しかし、ミラーレスカメラではこの近接機構を使わなくても、接写するためのオプションがあるため、必要性はほとんど無い。DRレンズは製造クオリティが高いとの話を聞くことがあるが真実かどうかは分からない。

仕様・考察など

初代のズミクロンは、沈胴式と固定鏡筒の2種類があり、そのうち固定鏡筒はこの眼鏡有りと、眼鏡無しがあるため、合計3種類のレンズが存在している。レンズ構成は6群7枚といずれのレンズも同じだ。
DRズミクロンは、「世界のライカレンズ」のP84・中村文夫氏の寄稿を見ると、レンズ構成は同一だが、レンズエレメントが異なることが確認できる。

歴代のレンズは1968-1979の2代目ズミクロンはレンズ構成が5群6枚で、1979年の3代目のズミクロンからレンズ構成が4群6枚に変更され、それは2025年現在現行製品であるフード組み込み型のSUMMICRON 50mm F2も継続している。

項目DR ズミクロンズミクロン 4代目・フード内蔵
焦点距離(mm)5050
最大絞り22
最小絞り1616
レンズ構成6群7枚4群6枚
絞り羽根108
撮影距離(m)∞〜1.0∞〜0.7
眼鏡使用時(m)0.9〜0.48
レンズ長(mm)43?
レンズ最大径(mm)5353
フィルター径(mm)3939
フードSOOFM / ITDOO / IROOABuild in
重量(g)339240:Black(11819・11826)
335:Silver(11816・11825)
335:Titan(11624)
眼鏡重量(g)52
リリース年19561994
製造本数?94,573+
(1977-2005 )

参考情報

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更新履歴

  • 2025.10.19
  • 2024.11.5
  • 2024.02.20
  • 2022.04.28

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