HASSELBLAD HC f2.2 100mm
Hレンズシリーズ・最大口径レンズ
ハッセルブラッド HC 100mm F2.2のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
レビュー
1.使用感
ハッセルブラッド HC 100mm F2.2はハッセルブラッド Hシリーズカメラ用の大口径中望遠レンズ。
オレンジドット付きを確認して購入したのでX H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8でオートフォーカス(以下、AF)が使用できることはわかっていた。購入直後にX1DIIでレンズ情報を確認すると、ファームウェアは18.0.0でシャッター回数は約8000回であった。AFを使うためにファームウェアを19.1.0にアップデートした。
AF速度は他のAF可能レンズと同程度の速度でAF合焦速度は早くはない。特に撮影場所のコントラストの違いがあまりない場所ではAFは迷う。本レンズは重量が重い大きな前玉を動かしてフォーカスするためか、中古市場ではAFモーターが壊れたレンズを見かけるため、AFモーターを酷使するのは危険で、AFはおまけ程度に考えると幸せだろう。
被写体を見てコントラストの違いが少ない被写体では、あらかじめマニュアルフォーカス(以下、MF)に切り替えてフォーカスするのがレンズを痛めないためにもベターだ。AFへの割り込みMFも使用できるが、MF割り込みがレンズモーターにたいしてストレスが大きいかは不明だが、MF割り込みがはいったときにレンズモーターとフォーカスリングのクラッチを瞬時に切るなどの動作がない場合、レンズモーターに悪影響があると考えられる。
幸いにしてフォーカスリングは幅広で使いやすい。フォーカスリングを回すと無限を超えたところで、ざらざらした感触がするのは気になるが、無限を超えたと目安と思っている。また、ボディをX2Dに変更してからAFの迷いが減ったと感じる。駆動モーターと焦点調整レンズの重さから合焦速度はそれほど上がらないが、合焦精度が向上するのはうれしい。
逆光耐性も十分あり、野外にてフード無しで使用しても困ることはほとんどない。
2.レンズ概要
HCシリーズレンズなので、中判カメラHxDで使用する場合、センサーサイズ 40.2 × 53.7(40 x 54) mmまでカバーし、そのとき焦点距離は35mm判換算で約67mmになる。
X1D、X1DII、907X、X2Dは、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由して本レンズを使用でき、x1.7テレコンを使用することもできる。3種類のEXTENSION TUBES H(13mm/26mm/52mm)を使用した近接撮影も可能であり、ギャラリーに26mm延長チューブ・H26を使用した作例を載せた。
- X H Lens Adapterを使用した場合、焦点距離約80mm 最大絞り F2.2
- XH CONVERTER 0.8を使用した場合、焦点距離64mm 最大絞り F1.8
- X H Lens Adapterとx1.7テレコンを使用した場合、焦点距離170mm 最大絞り F3.5
- XH CONVERTER 0.8とx1.7テレコンを使用した場合、焦点距離136mm 最大絞り F2.8
レンズ構成はシンプルな5群6枚のプラナー型、87.5mmという大きなレンズ径で、プラナーが持っているネガな部分を覆い隠す設計思想だ。基本的に大口径化により、光学的に周辺部を補正しなくてもゆがみが減り、センサーへの光の入射角も浅く維持できる。
レンズ単体重量が780gで、コンバータとカメラを足すと1.5kg程度で、HCレンズの中では軽い部類にはいる。
明るいレンズでXH CONVERTER 0.8を使用した場合は絞り開放F値が1.8へとさらに明るくなることもあり、積極的にオレンジドットのついたシャッター速度1/2000の新型レンズを選択する価値はある。
3.アクセサリー互換性
- Converter H 1.7x(x1.7 テレコンバーター)は使用できる。
- Extension-Tube-H(H13/H26/H52)は使用できる。
- HTS 1,5 TILT AND SHIFT ADAPTERは使用できる。
- イメージサークルは中判フィルムサイズまでカバーする。
4.AF対応について
HC/HCDシリーズレンズをマウントアダプター(X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8)を経由してX1D,X1DII,X2D,907Xに装着しオートフォーカス(以下、AF)を動作させるには、レンズファームウェア19.1.0が必要である。レンズファームウェア19.1.0を適用するためには条件があり、ファームウェア18.0.0以降のレンズが必要である。古いファームウェアの17.0.0以前のレンズはファームウェア19.1.0を適用することができない。
Xシリーズカメラにおける、AF対応状況をまとめると以下の通りである。
- オレンジドット レンズ
- レンズにオレンジ色のマークがついた、通称オレンジドットのレンズは、レンズファームウェアが18.0.0以降であり、ファームウェア19.1.0に更新することによりAFが動作する。
- HC120、HC120-IIはハッセルブラッド社の制限により、ファームウェア 19.1.0でもAFは動作しない。
- 非オレンジドット レンズ
- AF可能なレンズ
- レンズファームウェア18.0.0以降の場合、ファームウェア19.1.0に更新してAFが動作する。
- 非オレンジドットレンズは、シリアルナンバーがVから始まる2010年以降に製造されたレンズの一部レンズがレンズファームウェア18.0.0以降となっている。
- AF不可能なレンズ
- レンズファームウェア17.0.0以前のレンズ
- シリアルナンバーがSから始まるレンズ(2000年~2009年に製造)
- フジノンブランドのレンズ
- AF可能なレンズ
上述にも例外があり、レンズの修理時にフォーカスユニット交換などで新しいファームウェアになっている場合もある。
ハッセルブラッド XシリーズでAFを使えるか否かは、シリアルナンバーから判断するだけでなく、カメラに装着して実際のレンズファームウェアを確認するのが最も確実である。
5.FUJINONレンズについて
HCレンズはフジフィルムブランド・SUPER EBC FUJINONのものがあり、HASSELBLAD HCカメラで使用できるが、最高シャッタースピードが1/800のレンズしかなく、最新の最高シャッタースピード1/2000と比べると表現の幅が狭まる。また、レンズファームウェアが古いため、XCDマウントカメラ・X1D、X1DII、907X、X2Dにおいてオートフォーカス(以下、AF)を利用するために必要なHCレンズ・ファームウェア19.1.0を適用することができない。
そのため2種類のマウントアダプター、X H Lens Adapter、XH CONVERTER 0.8を経由してXCDマウントカメラに装着してもAFは使用できない。
フジフィルムブランドのHCレンズは、ハッセルブラッドの修理サポート対象外で、フジフィルムによる修理対応も終わっているため故障時はどうすることもできない。フジフィルムブランドのHレンズは格安で売られているが購入時はそのことを意識する必要がある。ハッセルブラッドブランドのHCレンズであれば、古いレンズでもハッセルブラッドにて、有償だが修理対応してもらえる。
HCレンズは富士フイルム製造なので、X1D、X1DII、907X、X2Dと同じセンサーサイズの富士フイルムGFXシリーズもマウントアダプター(H MOUNT ADAPTER G)を用意している。こちらはMF(マニュアルフォーカス)専用となるが、カメラ側のメカシャッターだけでなく、レンズシャッターも使用できる。
仕様・比較
項目 | HASSELBLAD HC100 | SUMMICRON-S 100 |
焦点距離(mm) | 100 | 100 |
最大絞り | 2.2 | 2 |
最小絞り | 32 | 22 |
レンズ構成 | 5群6枚 | 5群7枚 |
最短撮影距離(m) | 0.9 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 80.5 | 102 |
レンズ最大径(mm) | 87.5 | 91 |
フィルター径(mm) | 77 | 82 |
重量(g) | 780 | 910 |
参考リンク
更新履歴
- 2024.8.30
- 2024.03.22:改稿
- 2022.03.03:初稿