LEICA 1st デジタルRF LEICA M8

LEICA M8をLEICA M、L39レンズで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のレンズを使用した。
レビュー


1.概要
LEICA M8はライカ製M型デジタルカメラの初号機で、カメラサイズはフィルムのM型ライカより少し厚みがあるが十分にM型ライカの形状を体現している。
デジタルカメラの心臓であるイメージセンサーはコダック製APS-Hサイズ、1030万画素CCDセンサー 型番:KAF10500を搭載している。
M型ライカのファインダー枠はフィルムのM型ライカは28mm〜135mmをカバーしており、カメラの機種、カメラのファインダー倍率で設定が異なる。
M8は35mm判で24mm〜90mmのファインダー枠が装備されているが、APS-Hサイズセンサーを搭載しているため24mmレンズを装着したとき焦点距離が1.33倍される。ファインダー枠はそれにあわせてあるため、実際に見えている視野は焦点距離32mm相当となる。また、ファインダー枠のない21mm以上の広角レンズは、焦点距離1.33倍になるファインダーを探す必要がある。
具体的にはLEICA SUPER ELMAR 18mmを使う場合、必要な視野枠は18*1.33=24mmとなるため、ELMARIT 24mm向けにリリースされた24mmファインダーで構図決めをした。
またM8の欠点はセンサーのIRカット効果が弱いため、レンズ前面にUV/IRフィルターを装着しないと、マゼンダ被りをおこすことだ。日本のメーカーであればリコールとなるような不具合だが、ライカはその補償として、M8購入者が希望するサイズのUV/IRフィルターを2枚配ることで問題を片付けた。
M8のリリースと同時にレンズ側にも変更が加えられ、、Mレンズのマウント面に6bitコードが付加されるようになった。6bitコードレンズを付加されたレンズをM8に装着すると、カメラからレンズの種類を認識する。
M8は6bitコードでしかレンズ認識ができないため、6bitコードの無いレンズは6bitコード表を見ながらレンズもしくは、L/Mマウントアダプタに6bitコードを付加していた。また、カメラ側の6bitコードの認識はファインダー枠(Mマウントの爪の位置)も判定材料になっており、35/135のマウントアダプターに、28mmの6bitコードを付加してもカメラにレンズは認識されない。
記録メディアは、初代のSDカードでレアな4GB SDカードも使用可能であるが、SDHCカードではない4GBのSDカードを市場で見つけるのは困難だろう。比較的入手が容易な2GB SDカードを使用すると、Raw(DNG)形式の画像を約200枚撮影できるため一般的な利用シーンではまったく問題が無い。
また、M8はファームウェア2.0から最大容量32GBのSDHCカードに対応している。
バッテリーはライカ M9まで継続される Leica 14464を使用する。
2.使用感
LEICA M8は個人的なファースト・ライカボディでEPSON R-D1からステップアップで購入したカメラだ。
昼間の光量が豊富なシーンでISO 160で使用すると、ローパスレスの解像度の高い画像を得ることができる。色味もコダックセンサーの出力する独特の味わいがあり、いまでもM8、M9にファンが多いことがうなずける。
ISO感度を上げていくと1段上げたISO 320で場面によってはノイズが気になり、2段上げたISO 640ではノイズがかなり目立つようになる。最後のISO 1250はざらざらになるが被写体の形はなんとかとどめているという感じになる。
撮影はデフォルトのAモードが実用的でレンズ側で絞り値を決めると、プログラムされたシャッタースピードを自動的に設定される。露出調整は日本のカメラでは露出に対してプラスマイナスをダイヤルなどで設定するが、絞りをレンズ側で決めているためモードダイヤルとシャッタースピードダイヤルが同じダイヤルなので、Aモードで表示されたシャッタースピードに対して露出をオーバーにしたいときはシャッタースピードを下げ、アンダーにしたいときはシャッタースピードを上げる操作になる。この操作方法はフィルム時代から変わっていない。
背面液晶は設定用でライブビューはなく、23万画素の液晶ディスプレイは撮影結果を拡大してもピント位置がはっきりと確認できるわけではない。このためプレビューは常にオフで使っていた。そのほうがフィルムカメラを使っているような緊張感が味わえる。
M8のシャッター音は最高速度1/8000を誇る高速メカシャッターを搭載しているため、2020年代のデジタルM型カメラと比べると大きな金属音がする。その音は撮影時にシャッター音で臆病な猫が逃げるくらいの音量がある。
バッテリーのLeica 14464は形状が独特で、2024年はアマゾン、Aliexpressなどで互換品を見かける。リリース当時の2006年頃に流通した互換バッテリーはカメラが正しくバッテリー状態を認識しないないという問題があったが、最近の互換バッテリーが改善されているかは不明だ。
M8の難点は概要でも記したとおり、UV/IRフィルターで一般的な撮影ではほとんど影響はないが、被写体によってはおかしなモアレが生じるため、どのような被写体でモアレが発生するかを把握しておいて、撮影現場で対処する必要がある。
無償で配られる2枚のUV/IRフィルターもサイズによっては手元に届くのが大きく遅延したユーザーもおり、不具合対応としては褒められた物ではなかった。それでも、大きな問題にならなかったのは、当時ライカのデジタルカメラを買うユーザーはニッチで、それほど購入者が多くなかったことも幸いしたと思われる。
所有しているレンズの全サイズのUV/IRフィルターを購入するのは現実的でなかったため、様々なフィルター径のレンズを所有しているUV/IRフィルターでやりくりするために、多くのステップアップ、ステップダウンリングを購入した。それも途中から面倒になりフィルターを付けずに撮影することも多かった。
APS-Hサイズセンサーを採用する利点として、センサーサイズが35mmフルフレームより小さいため、M9以降で対称構成のレンズ、例えばスーパーアンギュロン 21mm 、CONTAX G BIOGON 21mm、CONTAREX BIOGON 21mm、Russa MR-2 20mmなどの後玉がセンサー面に近くなる広角レンズで悩まされる、画像周辺部に発生するカラーキャストが強制的にカットされるため、その影響を気にせずに広角レンズを使えることだ。しかし、焦点距離は1.33倍となるため本来の画角では撮影できない。
M8は新品で57.5万円という、アマチュアユーザーにもなんとか手の届く価格でリリースされた。2022ごろM8は20万円程度の価格であったが、2023年以降は30万円程度を上下している。すでに保証の無いデジタルカメラとしては高価と言えるが、この状態でも値落ちしないのはライカブランドのすごいところだ。
3.まとめ
結論としてLEICA M8をまとめると、1000万画素あるため通常の撮影には不満は無く、ライカ初のデジタルレンジファインダーカメラとしてはそれなりの完成度をしている。
購入時に考慮するのは以下3点でこれらが気にならない撮影者にはよいカメラだ。
- センサーサイズがAPS-Hなので焦点距離が1.33倍になる
- UV/IRフィルターを装着しないと、被写体によっては偽色やモアレの発生する
- シャッター音が耳障りに感じるかもしれない
仕様・考察など
レンジファインダーデジタルカメラの種類は少なくライカMマウントを搭載しているカメラは、LEICA、EPSON、Pixiiしかない。Pixiiは日本に代理店がないため流通量が少なく、実物を触ったことはない。
ここでは、M8の前に使っていた、EPSON R-D1との比較について記す。
まず始めにレンジファインダーカメラの肝のファインダーはEPSON R-D1は等倍ファインダー、M8はファインダー倍率 0.68倍となっている。しかし、有効基線長はR-D1が38.2mmにたいして、M8は47.09mmとなっており、距離計の精度はライカの方がよい。
両カメラから出力される画像は、M8のAPS-Hセンサーの1000万画素と、R-D1のAPS-Cセンサー600万画素とくらべると、M8はローパスセンサーが無いこともあり解像感に優れている。
つぎにM8以降のカメラと比較すると、M8のバッテリーチャージャーは大柄なものが同梱されており、M8.2以降に同梱されている型番14470のほうがコンパクトで持ち運びに便利である。
6ビットコードによるレンズ認識は、LEICA M9以降のカメラはメニューからレンズ名で焦点距離を設定できるようになったため、この6bitコードを使う利点はコードの付加されたレンズではカメラがレンズ種類を自動認識することだ。手動入力が面倒でない撮影者であれば、メリットはほとんどなくなったと言っていい。
このこともあり、中古レンズの販売、買取りにおいて6bitコードの有無で中古価格に差が生じていた時期もあるが、2024年現在はレンズ状態のほうが優先されるため、状態が同じなら価格に差はない。
M8以外のライカMデジタルカメラの価格だが、後継カメラのM9はセンサー問題により少々複雑で、生産数の多いLEICA M typ240は生産数が多いためか比較的低価格で安定している。M10、M11は円安の影響もあり定価が上昇し中古価格も総じて高い。
モデル名 | M8 | R-D1x | M9 |
カメラ有効画素数 | 10.3-Megapixels | 6.1-Megapixcels | 18.0-Megapixels |
映像素子 | Kodak KAF10500 | 不明 | KAF-18500 |
センサーサイズ | APS-H Size 27 x 18mm | APS-C 23.7 x 15.6mm | 35mm Full frame 35.8 × 23.9 mm |
背面液晶サイズ | 2.5 インチ | 2.5 インチ | 2.5 インチ |
液晶解像度 | 23万画素 | 23万画素 | 23万画素 |
ファインダー倍率 | 0.68 | 1 | 0.68 |
最高シャッター速度 | 1/8000 | 1/2000 | 1/4000 |
バッテリー | Leica 14464 | EPALB1 | Leica 14464 |
メディア | SDHC ファーム2.0以降 | SD | SDHC |
サイズ mm | 139 x 80 x 37 | 142.0 x 88.5 x 39.5 | 139 x 80 x 37 |
重量 g(本体のみ) | 545 | 570 | 585 |
リリース年 | 2006.11 | 2009 | 2009.9 |
カラー | ブラック・シルバー・ホワイト | ブラック | ブラック・グレー |
オプション
- LEICA M8/M8.2/M9 ハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
- サムズアップ
参考情報
- WikipediaによるLEICA M8の説明ページ
- R-D1・Shige’s hobby
- R-D1x・Shige’s hobby
- M8・Shige’s hobby
- M8.2・Shige’s hobby
- M9・Shige’s hobby
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更新履歴
- 2025.9.26
- 2024.12.12
- 2024.7.21:改稿
- 2024.02.12:改稿
- 2023.03.05:初稿
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