LEICA 1st Digital RF LEICA M8

LEICA M8のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のレンズを使用した。
レビュー


1.概要
ライカ M8は、コダック製APS-Hサイズ・1030万画素・CCDセンサー KAF10500を搭載した、ライカ製M型デジタルカメラの初号機。カメラサイズはフィルムのM型ライカより少し厚みがあるが十分にM型ライカの形状を体現している。
APS-Hというセンサーサイズのため、24mmから135mmのファインダー枠のあるレンズはよいが、21mnより広角のレンズは、焦点距離 x 1.3になるファインダーを探す必要がありフレーミングに困ることがあった。
例えば、COSINAのUltra Wide Heliar 15mmを使う場合は、15*1.33=19.95mmなので、21mmファインダーを使うなどしていた。
このセンサーサイズは、35mmフルサイズより少し小さいため、レンズが本来の画角で使えないことが欠点になるが、ライカ M9以降ではスーパーアンギュロン、CONTAX G BIOGONなど後玉の突き出た広角レンズで悩まされる周辺のカラーキャストを強制的にカットしまともな写真を撮れる利点がある。
ライカ M8の欠点として、センサーのIRカットが弱いため、UV/IRフィルターを用意しないと、マゼンダ被りをおこすことがありその対応が面倒であった。ライカはその補償として、任意のサイズのUV/IRフィルターを2枚配っていた。すべてのUV/IRフィルターを購入するのは現実的でなかったため、様々なフィルター径のレンズを手持ちのUV/IRフィルターでやりくりするために、多くのステップアップ、ステップダウンリングを購入した。途中から面倒になり付けずに撮影していることもあった。
ライカ M8のリリースと同時に、Mレンズマウント面に6bitコードが付加されるようになり、6bitコードレンズを使うとカメラからレンズの焦点距離を認識する機能が追加された。
ライカ M8 / M8.2はマウント面からの6bitコード入力によるレンズ識別のみであるため、6bitコード表を見ながらレンズとL/Mマウントアダプタに6bitコードを付加していた。
6bitコードの認識はファインダー枠(Mマウントの爪の位置)も判定材料になっており、35/135のマウントアダプターに、28mmの6bitコードを付加しても認識されない。
2.使用感
ライカ M8は個人的なファースト・ライカボディでEPSON R-D1からステップアップで購入したカメラだ。
ISO感度は常用感度が160で次の320で少しノイズが気になり、640ではかなりノイズがでる。1250はざらざらであったが、場面を選べば使えることもあった。
撮影はAモードが実用的で、シャッタースピードを調整したいときは、日本式の露出をプラスマイナスする操作ではなく、シャッターダイヤルでダイレクトに目的のシャッタースピードに変更して撮影するスタイルは、過去のフィルム時代から変わらない操作方法で合理的だと思う。
背面液晶は設定用でライブビューなどはなく、撮影結果を拡大してもピントまでわかるものではないため、常にプレビューオフで使っていた。そのほうがフィルムカメラを使っているような緊張感が味わえる。
ライカ M8のシャッター音だが、最高速度1/8000を誇る高速メカシャッターを搭載しているため、2020年代のデジタルMカメラと比べると金属的な大きな音がする。そのためシャッター音で臆病な猫が逃げるくらいの音量がある。
記録メディアは、初代のSDカードでレアな4GB SDカードも使用可能であるが、SDHCカードではない4GBのSDカードを市場で見つけるのは困難だろう。比較的入手が容易な2GB SDカードを使用すると、Raw(DNG)形式の画像を約200枚撮影できるため一般的な利用シーンではまったく問題が無い。
また、M8はファームウェア2.0から最大容量32GBのSDHCカードに対応している。
バッテリーは、ライカ M9まで継続される、 Leica 14464を使用する。このバッテリーは形状が独特で互換バッテリーも一時期見かけたが、一時供給が途絶えたが、2024年現在はアマゾン、Aliexpressなどで互換品を見かける。リリース当時の互換バッテリーはカメラが正しくバッテリー状態を認識しないないという問題に遭遇したが、最近の互換バッテリーが改善されているかは不明である。
高価なカメラなので、互換バッテリーのリスクを冒すのはお勧めできない。中古のカメラを入手する際はバッテリー状態が重要だが、バッテリーについては外観などからわかることは無いため、悩ましい問題である。
M8のバッテリーチャージャーは大柄なものが同梱されており、M8.2以降に同梱されている型番14470のほうがコンパクトで持ち運びに便利である。
3.まとめ
結論としてLEICA M8をまとめると、1000万画素あるため通常の撮影には不満は無く、ライカ初のデジタルレンジファインダーカメラとしてはそれなりの完成度だ。
購入時に考慮するのは以下3点でこれらが気にならない撮影者にはよいカメラだ。
- センサーサイズがAPS-Hで焦点距離が1.33倍になる
- こと、UV/IRフィルターを装着しないと、被写体によっては偽色やモアレの発生する
- シャッター音が耳障りに感じることがある
仕様・競合カメラとの比較
レンジファインダーカメラの命である、ファインダーはEPSON R-D1は等倍ファインダーで、M8はファインダー倍率は0.68倍と小さい。しかし、有効基線長はR-D1が38.2mmにたいして、M8は47.09mmと距離計の精度は高くなっている。また、ライカのファインダーは歴史的が長く作りがこなれており見やすい。
出力される画像は、M8のAPS-Hセンサーの1000万画素がR-D1のAPS-Cセンサー600万画素とくらべると解像感はあるが、Web用の縮小画像、L版での印刷ではAPS-CとAPS-Hのセンサーサイズによる画質の差は感じられない。
M8の最大の問題点は、前述のとおりUV/IRフィルターの問題だ。
これはR-D1にはない問題で、M8は撮影時に被写体によってはおかしなモアレに悩まされることがある。
6ビットコードによるレンズ認識だが、ライカ M9以降はメニューからレンズ名で焦点距離を設定できるようになったため、この6bitコードの出番はほとんどなくなった。中古レンズの販売、買取りにおいて、6bitコードありなしで中古価格に差があル時期もあったが、2024年現在はレンズ状態のほうが優先され状態が同じなら価格に差はない。
ライカ M8は新品で57.5万円というなんとか手の届く価格でリリースされた。2022現在、M8は20万円程度の価格で下げ止まっていたが、2023年現在は30万円程度に戻している。すでに保証の無いデジタルカメラとしては高価としか言いようががないが、この状態でも値落ちしないのはライカプライスの不思議である。また、その他のM型デジタルボディも生産数の多いM typ240を除いて総じて高価格で安定している。
モデル名 | M8 | R-D1x | M9 |
カメラ有効画素数 | 10.3-Megapixels | 6.1-Megapixcels | 18.0-Megapixels |
映像素子 | Kodak KAF10500 | 不明 | KAF-18500 |
センサーサイズ | APS-H Size 27 x 18mm | APS-C 23.7 x 15.6mm | 35mm Full frame 35.8 × 23.9 mm |
背面液晶サイズ | 2.5 インチ | 2.5 インチ | 2.5 インチ |
液晶解像度 | 23万画素 | 23万画素 | 23万画素 |
ファインダー倍率 | 0.68 | 1 | 0.68 |
最高シャッター速度 | 1/8000 | 1/2000 | 1/4000 |
バッテリー | Leica 14464 | EPALB1 | Leica 14464 |
メディア | SDHC ファーム2.0以降 | SD | SDHC |
サイズ mm | 139 x 80 x 37 | 142.0 x 88.5 x 39.5 | 139 x 80 x 37 |
重量 g(本体のみ) | 545 | 570 | 585 |
リリース年 | 2006.11 | 2009 | 2009.9 |
カラー | ブラック・シルバー・ホワイト | ブラック | ブラック・グレー |
オプション
- LEICA M8/M8.2/M9 ハンドグリップ(下面カバーを取り替え)
- サムズアップ
参考リンク
- WikipediaによるLEICA M8の説明ページ
- R-D1・Shige’s hobby
- R-D1x・Shige’s hobby
- M8・Shige’s hobby
- M8.2・Shige’s hobby
- M9・Shige’s hobby
更新履歴
- 2024.12.12
- 2024.7.21:改稿
- 2024.02.12:改稿
- 2023.03.05:初稿
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