SIGMA dp0 Quattro
歪み0・超広角レンズ搭載レンズ一体型カメラ
シグマ製レンズ一体型デジタルカメラ・dp Quattro 0のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
レビュー
1.カメラ概要
dp0 Quattro1 は2015年に発売された、APS-Cサイズ第4世代Foveonセンサーを搭載したレンズ一体型デジタルカメラ。
センサーサイズは、DPメリル、SD1などの第3世代Foveonセンサーと同じ大きさ(24mm×16mm)で、レンズ焦点距離は35mm判換算で1.5倍となる。
第4世代Foveonセンサーは、Quattroセンサーと呼ばる2,000万画素 +500万画素 +500万画素の3層構造を持つ、B(青)のトップを2,000万画素にすることにより基本の解像度を向上させ、ミドルとボトムのG(緑)とR(赤)の画素数を500万画素を減らすことにより、全画素数を増やさないコンセプトで設計されている。
全体の画素数は第3世代Foveonセンサーの1,500万画素 x3=4,500万画素から500万画素程度減っている。
それに伴い、X3Fのデータ容量はDPメリル、SD1の1枚あたり50MB程度から、Quattroでは45MB程度と若干に減っており、データの書き込み速度が向上している。
最終的に生成される画像は、2,000万画素のB(青)の情報を元に作られるため、2,000万画素が基本の画素数となる。
バッテリーは、BP-51という小さな角形バッテリーを採用している。特徴的なトンファーボディを実現するために必要な措置のようだが、容量が足りていないことはシグマ自信が理解しているようで、パッケージにバッテリーが2個ついてくる。これはサービスが良いのか、そもそも実力が足りていないのか微妙な印象を受ける。
dp Quattroシリーズは4機種リリースされ、0=21mm相当、1=28mm相当、2=45mm相当、3=75mm相当となる。
2.使用感
広角21mmの0はゼロディストーション、歪み無しというシグマ自信のレンズに惹かれて購入した。レンズ一体型カメラだが、コンパクトなカメラではないため、ここではコンパクトカメラとは称していない。
後発のdp0が、SD Quattro H2のAPS-Hサイズセンサーで焦点距離1.3倍換算のカメラであれば、いろんな意味で伝説のカメラになったのでは?と妄想する。レンズ固定のカメラなので、やって欲しかった気もするが、価格は20万円に迫るだろう。
他焦点距離のQuattro 1、Quattro 2、Quattro 3については、DP1メリル、DP2メリル、DP3メリルをすべて購入してが個人的にはあまりよい思い出がないため購入していない。dp Quattroシリーズは終売直前に一時的に新品、中古ともに値段が下がったが、販売終了してからは価格は上昇しており、いまさら購入して使うほどのものではないと思っている。
歴代シグマのデジタルカメラ同様に、カメラの動作はそれほど速くはなく、移動物体の撮影は、高度な技量の持ち主でも難しいだろう。建築物など静物を撮影することに向いている用に思われる。
撮影結果はレンズとセンサーは一体型の強みを生かして、素晴らしい画像をもたらしてくれるが、手ぶれには要注意である。
素人考えではQuattroセンサーのB(青)の4ピクセルに対して、G(緑)とR(赤)は1ピクセルとなるため、グラデーションがなめらかなデータは問題ないだろうが、従来Foveonが得意としていた電線などの境目のはっきりしたデータでは、境界部分に破綻が生じ無いか疑念がわく。
しかし、1ピクセルの情報の決定を単純なRGBの合成ではなく、B(青)の4ピクセルの濃淡情報から、その下にある一様なG(緑)とR(赤)の情報を演算でもとめることにより、最終的な1ピクセルの値を決めていると推測される。
上記推測が正しい場合、G(緑)とR(赤)の最終データを決めるために、B(青)を元にした演算が必須となるため、カメラ内JPG記録、SPPを使ったX3Fファイルからの最終画像データの作成には、多くの演算パワーが必要で、カメラサイズを考えるとある程度実用的な時間で処理できていることには感心する。
ボディが一般的なスクウェアなボディのカメラであったなら、他のdp0以外も買って使ったと思うほど、トンファー風のボディは好きにはなれない。とくに、レンズフードと21mm外部ファインダーを装着したときはのカメラの収まりの悪さはいままで使用したカメラの中でもっとも悪い。
dpX Quattroシリーズは、DPx Merrillのようなスクウェアなボディを採用し、バッテリーに一眼レフ用のBP-22、BP-61を採用したら、より幸せなカメラになったと思う。
新センサーを創るたびに、レンズ一体型デジタルカメラの形にしてリリースしてくるシグマの戦略はとても好ましい。今後も新センサーの開発とコンパクトカメラのリリースを期待したい。
3.X3Fファイル
X3Fファイルは、R,G,Bの3色の情報を1ピクセル毎に保存しているため、通常のベイヤーセンサーの3倍のデータ量となる。
このX3Fを処理するSIGMA PHOTO PRO(以下、SPP)はSD9のころから使用しているが、不安定、動作が遅いと文句を言っていたが、2024年のM2 Pro搭載のMac miniで使用したところ、SPPの不用意なクラッシュはほとんど見られず、画像の処理速度も実用に十分な速度に達していることを実感した。PCのCPUパワー増大による処理速度向上の恩恵を感じる出来事であった。
フリーウェアのX3FをDNGに変換するユーティリティソフトも使用してみたが、使用した時期のバージョンではDNGに変換した後の画像をかなり処理しないとSPPと同じクオリティにすることが難しく、使いこなしが難しい印象だった。その後改良されているかは不明である。
DNG変換後の画像がSPPデフォルトと同等の画像を得ることができれば、他のソフトで微調整をするのが他のソフトウェアを使い慣れたユーザーには理想的な作業フローだが、そううまい話では無かった。変換ソフトは個人が作成したフリーウェアなので、利用者が文句を言う筋合いが無いことも確かである。
画像処理ソフトのAffinity Photoで現像ができることがわかったので、こちらのページでテストしてみた。こちらもSPPと同じ結果を得るためには、入念に調整方法を研究しなくてはいけないことはわかっているが、SPPがストレス無く調整した画像を出力できるようになったため、あまり深追いはしていない。SPPで出力したJPGをAffinity Photoで最終調整するのが今のところベターな作業フローだと考えている。
2024年現在、新規Foveonセンサーの開発は滞っているようである。今後、新しいX3Fデータに巡り会うことがあるのか、興味深く待っている。
4.DNGファイル
Quattroセンサー搭載カメラからRawデータに、従来のX3FとDNGデータの2形式から選択できるようになった。
dp Quattroシリーズの作るDNGデータは100MBになるため、撮影中のメディアへの書き込み速度は遅く、メモリーカード容量を45MB程度のX3Fより余計に容量を消費することになる。
SPPが快適に使える環境ならば、DNG記録にこだわる必要はないだろう。
DNGデータの容量が大きいのは、演算後の2,000万画素分のRGBデータと、演算前のB(青)2,000万画素、R(赤)500万画素 、G(緑)500万画素の両データを保存しているためかと考えたが、通常の2,000万画素のRawデータが20MB程度、演算前のX3F画像データが45MB程度なので、そのほかの付加情報を加えたとしても少し大きすぎる感じがする。
DNGファイルについては、企画提唱者のAdobe Systemsのサイトが参考になる。
仕様
項目 | dp0 Quattro | dp1 Quattro | dp2 Quattro | dp3 Quattro |
カメラ有効画素数 | 約29MP (20x5x5) | ← | ← | ← |
撮像素子 | FOVEON X3®(CMOS) 23.5×15.7mm | ← | ← | ← |
焦点距離 | 21mm(14mm) | 28mm(18.5mm) | 45mm(30mm) | 75mm(50mm) |
レンズ構成 | 8群11枚 | 8群9枚 | 6群8枚 | 8群10枚 |
絞り羽根 | 7 | ← | 9 | 7 |
背面液晶 | 3.0型・92万ドット | ← | ← | ← |
ファインダー | 光学式ビューファインダー VF-51 *1 | 光学式ビューファインダー VF-31 *1 | 光学式ビューファインダー VF-41 *1 | なし |
バッテリー | BP-51 | ← | ← | ← |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 161.4 × 67 × 126 | 161.4 × 67 × 87.1 | 161.4 × 67 × 81.6 | 161.4 × 67 × 101.8 |
重量(g) (電池、カード除く) | 500 | 425 | 410 | 465 |
リリース年 | 2015年7月10日 | 2014年10月24日 | 2014年6月27日 | 2015年3月12日 |
オプション
- 光学式ビューファインダー VF-51
- ボディケース
- 専用リチウム充電池(Li-ion Battery Pack BP-51)
- 専用充電器(Battery Charger BC-51)
- ACアダプターSAC-6(DCコネクターCN-21併用)
参考文献・参考リンク
更新履歴
- 2024.8.18
- 2024.2.8:初稿
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