SIGMA SD14 , SIGMA SD15

フォベオンがマイクロフォーサーズだったら?

シグマ・デジタル一眼レフカメラ SD14、SD15のレビューと写真作例

目次

ギャラリー

  • SIGMA SD14
  • SIGMA SD15

レビュー

レビューは以下の内容について記している。

  1. カメラ概要
  2. 使用感
  3. X3Fファイル
  4. if Foveon(もしフォべ)

1.カメラ概要

SD14は2007年、SD15は2010年にリリースされた、第2世代Foveonセンサーを搭載したシグマ製デジタ
デジタルカメラ。

記録画素数は450万画素 x3で実画素は450万画素だが、JPEG記録とSIGMA PhotoProでは画素を合成してより高画素の出力もできる。処理に時間がかかるのと素の画像よりも加工された画像感があるため使用していない。

SD14、SD15はSD9、10とは異なり、ボディ金型から完全に新規開発されたデジタルカメラであり、このカメラのリリースをもってシグマはデジタルカメラメーカーとして世間に少し認知されたように思われる。それ以前はほんとうにマニアしか知ることのないメーカーのカメラであった。

SD14とSD15の違いは、以下の4点だが、詳細は仕様をご覧いただきたい。

  1. 記録メディア
  2. 背面液晶
  3. カメラのデータバッファーサイズ
  4. 画像処理エンジン

SD15の改良点の一つバッファメモリーの容量をSD14の2倍 *1とした改良は、RAW撮影時でも21コマの撮影ができることは、白樺峠における鷹の撮影で、キヤノン、ニコンには及ぶべくもないが、それなりに連続撮影ができるようになったのはうれしいことだった。

画像処理エンジンが異なるとのことだが、同被写体で厳密な比較はしていないが、RAWデータをSIGMA PHOTO PRO(SPP)で処理する限り違いは感じなかった。

SD14は16GBのコンパクトフラッシュを装着すると、撮影カウンターが999になることに時代を感じる。SD15はSDHCカードに対応しているので、最大記憶容量は32GBとなる。

バッテリーは専用のリチウムイオン電池BP-21、SD1で導入されたBP-22も使用できる。両者の違いはバッテリー容量の違いで、BP-21は7.4V-1500mAh、BP-22は7.4V-1200mAhとなっている。このバッテリーは形状互換品が多く、コニカミノルタのNP-400(7.4V-1500mAh)、ペンタックスのD-LI50(7.4V-1620mAh)などが同一形状、同一電圧である。電池容量はシグマのBP-22が最も少ない。中華製の互換バッテリーは7.4V-2300mAhと記載があるが真にその電池容量があるかは不明である。

2.使用感

SD14はSD10から4年の月日が流れ、EPSON R-D1がすっかりお気に入りのカメラとなり、SD10を使うこともほとんど無くどこかのタイミングで売ってしまい、レンズも処分してシグマとは疎遠になっていた時期に発売された。

SD14の発売された時期は、デジタルカメラの充実期であり、2006年にはLEICA M8がリリースされ、撮影生活はライカMマウント中心になっていた。

それでも、シグマのことは頭の片隅にあり、SD14が発売されたので購入して使ってみた。ちょうど、一眼レフが必要となる白樺峠の鷹の渡りの時期であることも幸いであった。しかし、そこで3日ほど使用して、通常の生活に戻るとほとんど使わなくなったので、価値のあるうちにということで売ってしまった。

そのとき撮った写真を見るとSD10から続く撮影画像に解像感はあるけれど、R-D1やライカM8のように色味やコントラストに独自性を感じなかった。カメラそのものはごく普通のカメラになったことは、本来喜ばしいことだが、癖のありすぎたSD9、SD10に慣れた身には日常的な景色をこのカメラで記録していくモチベーションがわかなかった。また、当時のPCスペックでは、SIGMA PHOTO PRO(SPP)の処理は遅くて不安定で、SPPで画像処理を真面目にやる気は起きないことも大きかった。SD15がSD14のタイミングで出ていればと思うこともあるが、残念ながらシグマの進歩が少し遅かった。

SD15も発売された年の白樺峠「鷹の渡り」のために購入したが、そこでがっつりと使って、外は街場で少し撮影して売ってしまった。そのためSD15もそれほど使い込んだカメラではない。
当時の主力カメラはソニー最後の純一眼レフカメラ・α900になっていたため、SD15はファインダー部、メカ部を含むカメラの完成度が圧倒的にα900に劣っていたこともあまり使わなかった理由の一つだ。

これを書いているときにふと中古を検索すると、SD14は3万円弱で売られている。SIGMA-SAマウントのレンズは手持ちがないので24mm F1.8 HSMと合計5万円弱、通販をポチッとやってしまった。ノスタルジーは実用を超えないことはよくわかっているんだが、過去の写真を整理しているとSD14/SD15を使ってみたい気分になった。

久々に使用したSD14は、シャッター音は小気味よく、連写を必要としない街撮りには十分な性能と感じる。しかし、やはりファインダーには難を感じる。まずセンサーサイズに対して100%近いファインダーにしたため、ファインダーを覗くととても小さく感じる。誰かがいった「井戸の底を覗くよう」というのはいい得て妙である。
筆者としてはSD10のスポーツファインダーの方が好ましいと感じるくらいだ。そして、SD10から変わらない広角レンズを使用したときのピント山のわかりづらさ、マットがAF向けの平坦で起伏が少ないマットを採用しているためと思われる。

また、SD14のAFが高性能であれば問題にはならないが、SD14のAFは周辺の光量が不足してくると動作が怪しくなる。カメラはファインダーに合焦マークを表示するが、それを信じてシャッターは切るとピントが合っていない写真ができることがある。

3.X3Fファイル

X3Fファイルは、R,G,Bの3色の情報を1ピクセル毎に保存しているため、通常のベイヤーセンサーの3倍のデータ量となる。

このX3Fを処理するSIGMA PHOTO PRO(以下、SPP)はSD9のころから使用しているが、不安定、動作が遅いと文句を言っていたが、2024年のM2 Pro搭載のMac miniで使用したところ、SPPの不用意なクラッシュはほとんど見られず、画像の処理速度も実用に十分な速度に達していることを実感した。PCのCPUパワー増大による処理速度向上の恩恵を感じる出来事であった。

フリーウェアのX3FをDNGに変換するユーティリティソフトも使用してみたが、使用した時期のバージョンではDNGに変換した後の画像をかなり処理しないとSPPと同じクオリティにすることが難しく、使いこなしが難しい印象だった。その後改良されているかは不明である。

DNG変換後の画像がSPPデフォルトと同等の画像を得ることができれば、他のソフトで微調整をするのが他のソフトウェアを使い慣れたユーザーには理想的な作業フローだが、そううまい話では無かった。変換ソフトは個人が作成したフリーウェアなので、利用者が文句を言う筋合いが無いことも確かである。

画像処理ソフトのAffinity Photoで現像ができることがわかったので、こちらのページでテストしてみた。こちらもSPPと同じ結果を得るためには、入念に調整方法を研究しなくてはいけないことはわかっているが、SPPがストレス無く調整した画像を出力できるようになったため、あまり深追いはしていない。SPPで出力したJPGをAffinity Photoで最終調整するのが今のところベターな作業フローだと考えている。

2024年現在、新規Foveonセンサーの開発は滞っているようである。今後、新しいX3Fデータに巡り会うことがあるのか、興味深く待っている。

4.if Foveon(もしフォべ)。

SD14のファインダーを覗いているときふと思った。このファインダーは別のカメラで似た印象をいだいたような気がする。けっこうな量のカメラ使用に関する記憶をあさるとフォーサーズカメラ・オリンパス・E-1のファインダーに近いと思い当たった。

そこから、シグマ SD14がリリースされた2007年にリリースされたデジカメについて調べると、フォーサーズマウントカメラ・オリンパス・E-3がリリースされている。

この符合からイメージセンサーについて調べると、SD14に搭載されたFoveon センサーのサイズは20.7×13.8mm (面積:285.7mm2)、フォーサーズ センサーのサイズは17.2mm x 13mm (面積:223.6mm2)となっている。

両者の違いは、Foveonセンサーの方が幅方向に3mmほど大きく、高さ方向はほぼ同じだ。このサイズ差ならば、物理的にもフォーサーズボディにFoveonセンサーを搭載することは可能ではなかろうか?、フォーサーズ センサーの方が小さいので、センサーサイズをあわせるならば、センサーをクロップして使うことが可能だろう。

クロップしたときの画素数を計算すると、450万画素x3の第2世代Foveonをフォーサーズ センサーのサイズに画像をクロップすると352万画素x3となる。
E-3のフォーサーズセンサーはベイヤー配列の1000万画素で、Foveonは3層センサーなので広告としては1000万画素と謳うことが可能であろう。

詭弁ということももっともだが、マーケティング的な土俵では十分に対抗できるのではないだろうか。レンズのイメージサークルに余裕があるならば、クロップせずに、450万画素x3のセンサーをそのまま使用してもおもしろかったかもしれない。

このように、もしオリンパスがシグマからセンサー供給を受けて、従来のベイヤーセンサーを積んだE-3とFoveonセンサーを積んだE-3Fの2種類のカメラを世に問うていれば、少しデジカメの歴史が変わっていたかもしれない。残念ながらそのような出来事はなかったわけだが、歴史のifを想像するのは面白い。

仕様・モデル比較・歴代モデル

項目SD9SD10SD14SD15
カメラ有効画素数1,029万画素(有効画素) (2,268×1,512×3層)1,406万画素(有効画素)
(2,652×1,768×3層)
センサー第1世代
FOVEON X3®
(CMOS)
第2世代
FOVEON X3®
(CMOS)
センサーサイズ20.7×13.8mm
APS-C x1.7
マウントシグマSAバヨネットマウント
背面液晶1.8インチ
低温ポリシリコンTFTカラー液晶モニタ
約13万画素
2.5インチ
約15万画素
3.0インチ
約46万ドット
ファインダーペンタプリズム式一眼レフファインダー
バッファメモリ不明不明正確な数値は不明SD14の2倍
画像処理エンジン名称なしTRUE II
バッテリーメイン
3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本
単3型ニッケル水素電池4本
単3型アルカリ電池4本

サブ
3Vリチウム電池(CR123Aタイプ2個)
3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本
単3型ニッケル水素電池4本
単3型アルカリ電池4本
リチウムイオンバッテリー(BP-21、BP-22)
記録メディアコンパクトフラッシュ
マイクロドライブ
コンパクトフラッシュ(32GBまで)SDカード(SDHCまで)
外形寸法(mm)
幅 x 高さ x 奥行
152 × 120 × 79144 × 107.3 × 80.5
重量(g)約805g (電池除く)約785g (電池除く)約700g (電池除く)約680g (電池除く)
リリース年2002年2003年2007年11月2010年6月25日
販売価格20万円OpenOpen
約20万円
Open

オプション

  • 縦位置グリップ・PG-21
  • シグマSAマウントレンズ全種
  • バッテリー:BP-21、BP-22(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)

参考文献・参考リンク

更新履歴

  • 2024.8.12
  • 2024.2.12:改稿
  • 2023.02.12:初稿

広告

  • シグマ(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)
  • シグマレンズ(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)
  • シグマ書籍(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)
  • シグマ SD14(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)
  • シグマ SD15(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)
  • シグマ SD1(リンク先はアマゾンアフィリエイトリンク)

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントする

Shige's hobby