SIGMA SD9
3層センサーFOVEON搭載一眼レフデジタルカメラ
シグマ・SD9 を使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例はAPO-LANTHAR 180mm F4 Close Focus SLを使用した。
レビュー
SD9を語るとSD10と接続するので、以前は同ページにしていたが、2023年にジャンク品のSD9を回収したので、あらためて別ページをおこした。内容が一部重複しているのはそのためである。
ジャンクのSD9はやはりジャンクで、センサーが死んでいるのか、回路が死んでいるのか、まともな画像は出てこなかった。
SD9は2002年、SD10は2003年にリリースされたシグマ製・第一世代Foveonセンサーを搭載したデジタルカメラ。
シグマはSD9に他社が手を出さなかったFoveon社(後にシグマによって買収され子会社となる)のFoveon 3層センサーを搭載した。
この3層センサーの描き出す独特の描写は、シグママニアを生み出し、SD9/SD10でさえ今でもその画質は十分に通用すると思う。とくに色分離が求められる境目のはっきりした景色や鳥の写真は、ブレていない画像は当時のローパスフィルターを搭載した600万画素の画像とは一線を画していた。
300万画素 x3で実画素は300万画素だが、SIGMA PhotoProで合成してより高画素の出力もできた。
ファインダーはフィルムカメラSA-7のものを流用しているようで、35mmフルサイズのファインダーで周辺部をマスクしたスポーツファインダーと呼ばれるファインダーであった。この方式は不満の意見も聞いたが個人的には写らないところが見えるのはそれなりに重宝した。
時代が進んでセンサーの高画素化とローパスフィルターレスのベイヤーセンサーが出てくると、それほどFoveonにこだわらなくても良いかと思うようになった(それでも同じ被写体を撮り比べると色分離はFoveonがよい)が、歴代のFoveonセンサー機は一通り使った。
とにかく、このカメラは動作レスポンスにおいては忍耐の塊で、撮影後の現像もSIGMA PhotoProは忍耐を要するソフトであり、少々動作の遅いカメラを使ってもなんとも思わなくなったのはこのカメラのおかげだと思っている。
SD9は、カメラ駆動用の単三形電池は4本かCR-V3は2本に加えて、カメラ制御用にCR-123Vを2本用意する必要があり電源周りには難のあるカメラだった。特にカメラ駆動側の単三形電池は電池一本あたりの電圧が1.5Vを下回ると、ほぼカメラが機能しないため、電池電圧1.2Vのニッケル水素電池ではほとんど使い物にならなかった。
解決策としては、使い捨てのCR-V3リチウム電池を使うか、充電式のCR-V3を使うことである。
充電式CR-V3は電池電圧が1.5Vを超える物が多くカメラ基板へのダメージが心配される。
SD10ではCR-123Vは不要になったが、メイン電池の問題は残ったままである。
SD9は発売直後に上野のヨドバシカメラで購入した。当時このカメラを買う好き者はそういないようでカメラ売り場の人から名刺をいただいた。後述する電源周りの不具合でヨドバシカメラ上野にはちょくちょく連絡したが不具合の多さから販売店を通すのが面倒になり、直接シグマとやりとりするようになった。シグマSAマウントのカメラなので交換レンズの入手に難があり大阪のカメラ屋から通販で買っていた記憶がある。
シグマSAマウントは、フランジバックは異なるが形状はPentax-Kマウントと互換性があり、PENTAX のK-M42アダプターを介してM42マウントレンズを使うことができた。フランジバックはSAマウント=44mm、Kマウント=45.5mmと1.5mmの差があるけれど、M42マウントの古いレンズはオーバーインフのものが多くピント合わせで実用上問題になることは少なかった。
また、Penta-Kマウントレンズも絞りレバーなどの干渉物が無ければ、SD9/SD10装着でき使うことができた。
SD9リリースから少しすると、SA-M42マウントアダプター(CSM42)をリリースする趣味の人がいたため、それを利用すると正しいフランジバックでM42レンズを利用することもできた。
下写真の左写真の右の物は、LEICA R-VISOマウントアダプター 14167のライカ-Rマウント部をM42に改造した物、中古で購入したが、これによりLEICA VISOレンズがSIGMA SDシリーズで使えるようになった。Elamar 65mm Viso、Hektor 125mm VisoなどをSDシリーズで使っていた。
SA-NikonFマウントアダプターをリリースする人もおり、NIKON AI 85mm/F1.4を使っていた時期もあった。こちらは、SD9、SD10だけが持つマウント周囲の外爪を利用したアダプターであったため、SD14以降のカメラでは使えなくなった。SD9/SD10の外爪はシグマ自身も使わなかったオプションなので、廃止されるのも仕方が無いとは思うが、Nikon-Fアダプターが使えなくなったのは残念だった。
また、本カメラのSAマウントをCANON-EFマウントに改造するという計画もあり、少額出資してみたが計画は頓挫し出資金は返ってきた。今では考えられない牧歌的な時代である。
SIGMA-SA/M42マウントアダプター
SIGMA-SA/NIKON-Fマウントアダプター
本ページを作るために、久々にMacでSIGMA PhotoPro 6.8.2を起動してSD9画像を現像しようとしたらエラーでできなかった。Windows版では現像できたので問題はないが、それにしてもSIGMA Photo Proはかゆいところに手が届かないソフトウェアから脱却できないと感じる(フォルダ指定がルートになっているだけで落ちるなど)。SDシリーズの色に惚れながら、このソフトウェアのために脱落したシグマユーザーは結構いると思う。QuattroシリーズになってからDNGに対応しているのはうれしいが、DNGがX3Fと等価なのかわからないので気持ちの悪さはある。
SIGMA PhotoProだが、2024年にM2 Pro 32GBのMac mini *1ではSD1のX3Fを扱うぶんには快調に動作しており驚いた。CPUパワーの向上がSPPの処理速度に追いついたようだ。あいかわらず若干の使いづらさはあるが、以前よりは確実に快適に使えるようになったと感じる。 *1:アマゾンアフィリエイトリンク
仕様・モデル比較・歴代モデル
項目 | SD9 | SD10 | SD14 | SD15 |
カメラ有効画素数 | 1,029万画素(有効画素) (2,268×1,512×3層) | ← | 1,406万画素(有効画素) (2,652×1,768×3層) | ← |
センサー | 第1世代 FOVEON X3® (CMOS) | 第2世代 FOVEON X3® (CMOS) | ||
センサーサイズ | 20.7×13.8mm APS-C x1.7 | ← | ← | ← |
マウント | シグマSAバヨネットマウント | ← | ← | ← |
背面液晶 | 1.8インチ 低温ポリシリコンTFTカラー液晶モニタ 約13万画素 | ← | 2.5インチ 約15万画素 | 3.0インチ 約46万ドット |
ファインダー | ペンタプリズム式一眼レフファインダー | ← | ← | ← |
バッファメモリ | 不明 | 不明 | 正確な数値は不明 | SD14の2倍 |
画像処理エンジン | 名称なし | ← | ← | TRUE II |
バッテリー | メイン 3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本 単3型ニッケル水素電池4本 単3型アルカリ電池4本 サブ 3Vリチウム電池(CR123Aタイプ2個) | 3Vリチウム電池 (CR-V3) 2本 単3型ニッケル水素電池4本 単3型アルカリ電池4本 | リチウムイオンバッテリー(BP-21/BP-22) | ← |
記録メディア | コンパクトフラッシュ マイクロドライブ | ← | コンパクトフラッシュ(32GBまで) | SDカード(SDHCまで) |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 152mm × 120mm × 79mm | ← | 144 × 107.3 × 80.5mm | ← |
重量(g) | 約805g (電池除く) | 約785g (電池除く) | 約700g (電池除く) | 約680g (電池除く) |
リリース年 | 2002年 | 2003年 | 2007年11月 | 2010年6月25日 |
オプション
- 縦位置グリップ
- レリーズコード
- シグマSAマウントレンズ
- M42マウントレンズ
- など
参考文献・参考リンク
更新
- 2024.02.12:改稿
- 2023.10.12:初稿
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