Last updated on 2025-11-05
ライカ・ズミルックス M 50mm ASPH.をフィルムレンジファインダーカメラとデジタルレンジファインダーカメラで使用したレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA M6 +FUJIFILM Velvia100F+NIKON COOLSCAN-V
- LEICA M10
- LEICA M9
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レビュー




1.概要
SUMMILUX M 50mm F1.4 ASPH.(オーダーナンバー:11891-black、silver-11892)は2006年にリリースされた非球面レンズを採用した標準レンズ。
写真のフード一体型モデルの他に、限定モデルとして初代ズミルックスを模した鏡筒のレンズ(オーダーナンバー:11628)も発売されている。
ブラックとシルバーは鏡筒素材が異なり、シルバーは真鍮製で460g、ブラックはアルミ製で335gと約100gの差がある。
2023年のリニューアル(オーダーナンバー:11728-black、silver-11729)では、最短撮影距離が0.45mへの短縮、絞り羽根枚数を11枚に増加し絞り形状を真円に近くするなど、細かい部分の仕様が変更された。しかし、リニューアルにともない販売価格はさらに上昇した。また、シルバーとブラックは塗装の違いだけになり、重量は同じになっている。
この非球面ズミルクスはフードが組み込まれており、フードを引き出して回転させることにより、フードを伸ばした状態でレンズに固定できる。
2.使用感
SUMMILUX M 50mm F1.4 ASPH.はフィルムカメラ、デジタルカメラのいずれで使用しても満足のいく結果を得られる。
ここで紹介するのは、絞り羽根9枚の非球面初期タイプとなる。
フォーカスリングの感触はブラックもシルバーともに、非常にスムーズで初めて使ったときは軽すぎるくらいに感じた。そのため、ピント位置の微調整に苦労することがあった。それでも、少し使っていると素早くフォーカス操作をできたので、重すぎるヘリコイドよりはよいと感じるようになった。
絞り開放の撮影結果は解像感のあるピント面の描写がなめらかにボケていく像をみると、写真がうまくなったような気がする。絞って使えば前面が均一な描写となり面白みが減るため、単調にならないように考えながら絞り開放を積極的に使いたい。しかし、絞り開放の撮影は状況によっては近接時に後ろのボケがうるさくなる、絞り開放時の口径食でラグビーボールボケが発生するなどがっかりすることもあった。
同時期にミラーレスカメラのLEICA SL Typ601を所有していたが、こちらのカメラでは使用しなかった。電子ビューファインダーを使えばより精緻にピント位置を決めることができるが、このレンズはその必要性をあまり感じかなった。また、SL typ601に装着するとカメラとレンズがアンバランスなことも、LEICA SL Typ601で使用しなかった理由の一つだ。
■フィルムレンジファインダーカメラ
このレンズを使っていたときは、LEICA M6(ファインダー0.72倍)、LEICA M6TTL(ファインダー0.85倍)を使用していた。どちらのファインダーを使用しても絞り開放で問題なくピント合わせが可能だが、フィルムM型ライカはシャッター速度の上限が1/1000なので日中は絞って使うことも多かった。
富士フイルムの高彩度リバーサルフィルム Velvia 100Fとの相性もよく、色味は派手になりフィルムの微細な粒状性にみあった精緻な描写をする。
フィルム作例1枚目の富士山の写真は空と山の雰囲気をよく写し取っている。
■デジタルレンジファインダーカメラ
LEICA M10は2400万画素、LEICA M9は1800万画素のデジタルレンジファインダーカメラで、大雑把に2000万画素クラスのデジタルカメラとなる。2000万画素あればおおよその用途には十分な解像度で、非球面レンズを採用したSUMMILUX M 50mmはその解像度に十分に応えることができる。
繊細さとボケのバランスがよい画像と、後ボケがラグビーボール状であまり美しくないものとがあり、ボケに関しては場面を選ぶレンズだ。絞り羽根が9枚の初期型非球面レンズは絞り羽根を絞るとエッジがでるような絞り形状なのでこれも好みが分かれるところである。
3.まとめ
結論としてSUMMILUX M 50mm F1.4 ASPH.をまとめると、絞り解放から安心して使え、SUMMICRON 50mmとほぼ同じ大きさでより大きくボケ、NOCTILUX 50mmよりコンパクトで描写にくずれが少ないため、常用する標準レンズとしてとても使い易い。
非球面レンズの扱いもこなれており、ほとんどの場面でピント位置が端整で前後ボケに安定感がある。しかし、ラグビーボールボケが目立つ場面では使いづらいので、撮影者側で絞り込むなど注意する必要がある。
仕様・考察など
ズミルックス M 50mmはライカ標準レンズのラインナップでは次男的なレンズで、長男のノクティルックスよりレンズは暗いが重量は軽く、三男のズミクロンよりは明るく重量は同等というスペックである。
概要に記したとおり、ブラックとシルバーの違いはシルバーは質量が重くブラックは軽い。
真鍮製のシルバーとアルミのブラックの両方を使用した経験では、シルバーは重厚だが持ち運びを考えたときは軽量なブラックの方が使い勝手がよかった。
手ブレには重い方が有利という説もあるので、シルバーとブラックは撮影者の好みで判断してよいだろう。
他メーカーでは通常中途半端なレンズと言われる恐れがあるけれど、ライカでは独自のポジションを確立しており市場の需要は常にあり価格も安定している。
性能面ではアポ・ズミクロン 50mmというライカのレンズ階層を崩すような標準レンズが発売された。
アポ・ズミクロン 50mmの位置づけは通常のレンズラインとは異なっており、価格がノクチルックス 50mmと同等だったので、ズミルックス 50mmのポジションは維持されている。
また、この非球面レンズ採用SUMMILUXは球面レンズSUMMILUXと比べ解像感は上回るが、画像バランスでは球面レンズSUMMILUXの方が好ましい場面もあり、撮影者の好みで選択する必要がある。
| レンズ名 | SUMMILUX M 50ASPH. | SUMMILUX M 50 III型 | SUMMILUX M 50 I,II型 |
| 焦点距離(mm) | 50 | 50 | 50 |
| 最大絞り | 1.4 | 1.4 | 1.4 |
| 最小絞り | 16 | 16 | 16 |
| 絞り羽根枚数 | 9 >11(New) | 12 | 16 or 12 |
| レンズ構成 | 5群8枚 | 5群7枚 | 5群7枚 |
| 最短撮影距離(m) | 0.7 >0.45(New) | 0.7 | 1.0 |
| レンズ長(mm) | 52.5 >59.3(New) | 54.5 | – |
| レンズ最大径(mm) | 53.5 >58.6(New) | 47.7 | – |
| フィルター径(mm) | 46 | 46 | 43 |
| フード | 内蔵 | 内蔵 | XOOIM 12521 12586 |
| 重量(g) | 335(黒) >337(New) 460(銀) >337(New) | 275(黒) 380(銀/チタン) | – |
| リリース年 | 2006 >2023 | 1992 | 1961 |
所有していたブラックのレンズはフード固定部分に異常がありフードが固定できなかったので修理に出した。修理後のフードはカチッと止まるように修理されており使い心地はよかった。
しかし、フードが固定された状態でカメラを落とした場合、レンズのフードの固定部周辺が確実に壊れるため、ただの引き出し式でルーズなほうが安全な面もあるかもしれない。どちらが良いかは一長一短で、レンズを落とさないようにするのがもっともよいのは間違いないけれど、フィールドでは何があるかはわからない。
参考情報
- Leica Wiki 「SUMMILUX-M 50mm ASPH.」
- LEICA SUMMILUX M 50mm ASPH. 2023Ver.
- 白の貴婦人 SUMMILUX M 50mm 1st.・Shige’s hobby
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更新
- 2025.11.4
- 2024.11.3
- 2023.03.02:改稿
- 2023.06.15:初稿


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