最終球面SUMMILUX R 50mm 2nd E60

LEICA SUMMILUX R 50mm F1.4 E60 新型、II型をフィルムカメラとデジタルカメラで使用したレビューと写真作例
- サイト内広告の詳細はリンクに記載。文中斜め文字リンクは広告リンクで他サイトへ移動する。
- 通販サイトでの買い物は、ここで紹介されるモール形式のサイトを含め、怪しげな業者も同時に表示されるため、購入者が商品の妥当性について判断しなくてはならない。
- 簡易的な確認事項として、「商品写真がオリジナル」、「価格が適正」、「送料が異常に高額」などがある。
- 購入ボタンを押す前に一度冷静になり、購入予定商品を複数サイトで比較しその妥当性を判断することも有効だ。
目次
ギャラリー
写真作例の撮影は以下のカメラを使用した。
- LEICA R8 +KODAK GOLD200 & KODAK ProImage100
- LEICA R8 +DMR(Digital Module R)
- CANON EOS 1Ds Mk-III & CANON EOS-1D Mark-IV
- LEICA SL Typ601 & LEICA CL
- SONY α7Sii
レビュー


1.概要
SUMMILUX R 50mm E60 (新型・II型)はライカRマウント末期の1997年にリリースされたライカRマウントの大口径標準レンズ。
このレンズは旧型のズミルクスから画質向上のためにレンズ構成を7群8枚に変更され、その主な変更内容はフィルター径60mmで前玉が大きくなり前群と後群のあいだにレンズが1枚追加された。旧型のズミルックス R 50mm E55はレンズ構成が5群6枚、フィルター径55mmとなっている。
このレンズに非球面レンズは使用されておらず、R-CAMとROM端子付き以外は見たことがなく、製造時期からして3-CAMは存在していないと推測される。レンズの製造本数は約2700本。
最後の球面ズミルックス Mは1992年のリリースなので、1997年発売の本レンズが最後の球面ズミルックス 50mmとなる。
2.使用感
SUMMILUX R 50mm E60 はフィルムカメラの時代につくられたレンズだ。しかし、デジタルカメラで撮影してた結果をみても描写に不満は無い。所有するレンズは382xxxx、1998年製で本レンズが最も多く作られた年のレンズだ。
ギャラリーは、フィルムカメラとデジタルカメラの撮影結果を掲載している。いずれの結果をみてもレンズの持つキレと柔らかさのバランスを感じてもらえるだろう。
フードは余り伸びずおまけ程度にしか伸びない。それでもレンズ自身の逆光耐性が良いため撮影時に光線状態で悩まさたことはほとんど無い。
このレンズはヤフオクやebayにたまに出てくるが結構強気な価格が付いている。
それぞれのカメラにおける使用感について記していく。
■LEICA R8 +KODAK GOLD200 & KODAK ProImage100
LEICA R8とネガフィルムで使用したところ、ネガフィルムの粗い粒状感とのマッチングもよい。
ネガフィルムの結果をみるかぎりモノクロームで使用しても独特の軟らかさとキレを併せ持った描写が楽しめそうだ。
フィルムカメラのLEICA R8は標準のユニバーサルスクリーン(14343)で絞り開放から問題なくピント合わせ可能である。
■LEICA R8 +DMR(Digital Module R)
LEICA SUMMILUX R 50mm E60をDigital Module Rで撮影した画像は、カメラのイメージセンサーが35mmフィルム判に対して小さいため、表示の焦点距離を1.37倍した焦点距離分を切り取った(クロップした)範囲が撮影される。焦点距離50mmは35mm判換算焦点距離で68.5mmとなる。
デジタルカメラでは粗が見えやすい周辺部がカットされるため、より解像感の高い画像を得ることができ。夕陽のグラデーションも美しく描写されている。
LEICA SUMMILUX R 50mm E60はF1.4の大口径レンズだが、DMRの標準のユニバーサルスクリーン(14392)で問題なくピント位置を決めることができた。別売りの中央部のピント精度を高められるマイクロプリズムスクリーンが必要な場面はほとんど無かった。
DMR専用のフォーカシングスクリーンは35mmフィルムより小さなセンサーサイズに合わせるため、スクリーン内側に撮影範囲を示す四角い枠がある。
DMRはROM端子付きレンズを装着して撮影すると、Exif情報に焦点距離、設定した絞り値などが記録される。以下の例では、焦点距離50mmで絞り開放のF1.4で撮影していることがわかる。レンズによっては焦点距離が伝わらなかったり、絞り値が伝わらなかったりとライカ・アナログとデジタル時代の狭間で仕様にブレが見られる。

■CANON EOS 1Ds Mk-III & CANON EOS-1D Mark-IV
本レンズは35mmフルフレームセンサーを搭載したEOS-1 Ds MKIII、APS-Hサイズセンサーを搭載したEOS-1D Mark-IVの両カメラで問題なく使用できた。
EOSシリーズは基本的にオートフォーカス前提のカメラなのでマニュアルフォーカス時のピントピークのとらえ加減は、MINOLTA α系のハイエンドカメラの方がやりやすい。しかし、SUMMILUX R 50mmに関してはEOS-1 Ds MKIIIとEOS-1D Mark-IVに搭載された標準スクリーンでピント合わせに問題はない。
描写についてはEOS-1 Ds MKIIIの2000万画素はまったく問題なく、よりセンサーサイズの小さいEOS-1D Mark-IVはレンズの中央部分だけ使用するので描写はよくなる。しかし、EOS-1D Mark-IV搭載するAPS-Hサイズセンサーは35mmフィルム判にたいして、周辺部がカットされるため焦点距離が長くなる。その35mm判換算焦点距離の係数は1.3倍で焦点距離50mmのSUMMILUXは65mm相当のレンズとなる。
■LEICA SL Typ601 & LEICA CL
LEICA SL typ601は2400万画素の35mmフルフレームセンサーでCANON EOS 1Ds MK-IIIより2割ほど画素数が多い。2割程度の画素数の増しはほとんどその差を感じることはない。
LEICA CLはセンサーサイズが35mmフィルム判よりも小さなAPS-Cサイズセンサーで、35mmフィルム判換算の係数は1.5倍となっており、焦点距離50mmの本レンズは35mmフィルム判換算で焦点距離75mm相当となり中望遠レンズになる。
両カメラは2400万画素センサーを搭載しており、センサーサイズは異なるが、どちらのカメラで使用しても十分に実用的な解像度とピンと面のキレをみることができる。
デジタルミラーレス・ ライカ SL typ601とライカ純正のマウントアダプター、Leica R-Adapter L(16076)で使用した場合、焦点距離と絞り値などがEXIFに記録される。これはメモをとらないものぐさな人間にとっては大変有用だ。
ただし、新型 SUMMILUX R 50mmのROM情報は旧型のSUMMILUX R 50mmと同じようで、Exifに記録される情報からレンズの新旧を見極めることはできない。
EVFの使えるミラーレスカメラでは、ピント位置拡大機能により、一眼レフカメラでは少々不安だったピント位置の不安は払拭される。

■SONY α7Sii
SONY α7、α9、α1シリーズは35mmフルフレームセンサー搭載だが、一眼レフカメラとは異なりレンズと干渉するミラーが無いカメラなのでライカRマウントレンズを容易に扱うことができる。
SONY α7Siiはボディ内手ぶれ補正機構を搭載し1200万画素と画素数が多くないため、LEICA Rレンズを使いやすいカメラとなっている。α7Siiは手動入力した焦点距離をExifへ反映することができない。記録するためには別売の「レンズ補正」アプリが必要でそれはすでに販売終了している。
後継カメラについては改善されていると思いたいが、調べたかぎりそうでは無いようだ。
コマンドラインでExifに焦点距離を追加するソフトがあるのでそれを使うしかないようだ。
3.まとめ
結論としてSUMMILUX R 50mm E60 についてまとめると、鏡筒をライカ R最後期のE60に変更し少し太く重くなった。それでも2020年代のレトロフォーカス型標準レンズと比べると十分にコンパクトだ。
写りも最新のレトロフォーカス型の標準レンズのようなバキバキの解像度とキレはないけれど、撮影結果をみると絶妙なバランスがクセになる。
仕様・レンズ比較
SUMMILUX R 50mmを新・旧で比較すると、新型は径が少し大きくなり、レンズ中央部分に1枚レンズが足されている。径の大型化は周辺光量アップのため、中央部に足された1枚は収差補正のためと考えられる。


項目 | SUMMILUX | SUMMILUX |
焦点距離(mm) | 50 | 50 |
最大絞り | 1.4 | 1.4 |
最小絞り | 16 | 16 |
絞り羽根 | 8 | 6 |
レンズ構成 | 7群8枚 | 6群7枚 |
最短撮影距離(m) | 0.5 | 0.5 |
レンズ長(mm) | 51 | 50.6 |
レンズ最大径(mm) | 70 | 68.5 |
フィルター径(mm) | 60 | 55 |
重量(g) | 490 | 395 |
フード | 組み込み | 円筒ピン止め |
マウント | ライカR | ライカR |
製造年 | 1997~2005 | 1989~1995(モデル11777) |
製造本数 | 2,700 | 4,149(11777のみ) 35,322(すべて) |
下の比較写真は左からSUMMILUX R50-E60、SUMMILUX R50-E55、SUMMICRON R50-E55の順で並んでいる。
SUMMILUX R50-E60が最も大柄でレンズ枚数が多いため重い。

参考情報
- R型ライカのすべて/著者:中村信一/朝日ソノラマ編 Ads by Amazon
- Canon Leica-R Compatibility Database
- SUMMILUX-R 50mm E55・LEICA Wiki
- SUMMILUX-R 50mm II E60・LEICA Wiki
- SUMMILUX M 50mm F1.4-3rd・LEICA Wiki
- SUMMILUX R 50 2nd Technical PDF
- SUMMICRON-R 50mm F2 Leica wiki
広告
- LEICA Rレンズ・Ads by Rakuten
- LEICA L39 レンズ・Ads by Rakuten
- LEICA M レンズ・Ads by Rakuten
- ライカレンズ・Ads by Amazon
- ライカデジタル・Ads by Amazon
- ライカボディ・Ads by Amazon
- ライカアクセサリー・Ads by Amazon
- ライカ書籍・Ads by Amazon
- LEICA R-Adapter-L (16076)・Ads by Amazon
- LEICA R8・Ads by Rakuten
- LEICA R 50mm・Ads by Rakuten
- LEICA R オプション・Ads by Rakuten

Amazon Prime Sale
更新履歴
- 2025.10.8
- 2025.5.14
- 2024.12.16
- 2024.02.20
- 2022.04.13
コメントを残す