LEITZ TELE ELMAR 13.5cm F4
単焦点135mmレンズのファンはいるか?・その1
テレ・エルマー 13.5cm F4のレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影はHASSELBLAD X2D
レビュー
1.使用感
今回紹介するテレ・エルマーも焦点距離135mm・ライカMマウントの単焦点レンズだ。1992年以前の古いタイプで数千円で入手した。1992年以降の新型鏡筒を持った2700本のレンズはMマウント専用でフード組み込みのモダンなレンズとなっている。他でも書いているが焦点距離135mmはズームレンズにのみ込まれた不遇な焦点距離の一つだ。
Mマウントの焦点距離135mmのレンズは、絞り開放F値が4でも、ライカMレンジファインダーカメラの二重像合致ではピント精度が怪しいため、ミラーレスカメラが普及する前は、VISOFLEX(ビゾフレックス)にマウント変換して一眼レフカメラで使用していた。
ここでのVISOFLEXは、ライカMデジタル用のEVFではなく、レンジファインダーカメラに一眼レフのミラーボックスを追加する機構の総称である。
ミラーレスカメラはフランジバックが短いためライカMマウントのまま問題なくカメラに装着できるようになったので、後述するVISOFLEX用オプションをとっかえひっかえして使用するユーザーもほとんどいないと思われるが、懐古趣味で古い一眼レフカメラを使う際に参考になれば幸いと思い記しておく。
本レンズを一眼レフカメラで使用する場合、16464 /OTZFOというショートヘリコイドを使用する。これはビゾ・エルマー65mmで使われているものと同じで、シルバーとブラックがあり、中古では1万円程度から入手できる。中古市場の在庫も多いため入手難易度は低いが、かなり古いアイテムなので、繰り出し状態には注意が必要で、中古品ではグリスが抜けたスカスカの個体をみかけるため現物を確認してからの購入をお勧めする。適正なグリスが入っているヘリコイドは、スムーズな繰り出しが可能である。
絞り開放値が4なので、一眼レン婦のファインダーで見た際に暗さもそれほど気にならず、エルマリート135 F2.8ほどピントにシビアではないため、F4を我慢できれば、デジタル時代にも通用するキレのある解像度を楽しむことができる。
2.レンズ概要
テレ・エルマー 13.5cmはライカMマウントのレンズだが、ライカMマウントの90mm以上の焦点距離のレンズ、テレエルマー 13.5cm、エルマー13.5cm(F4とF4.5)、ヘクトール 13.5cm、エルマー 9cm、ズミクロン 90mm、エルマリート 135mmなどはMマウントのヘリコイドからレンズ部分を分離することができる。分離したレンズは専用ヘリコイドを用いることにより、古いVISOFLEXのVISOFLEX-M、VISOFLEX-L39に変更することができる。
テレ・エルマーをVISOFLEXで使用するためには、先述の通りVISOFLEX用エルマー65mmで使用されるヘリコイド、16464 / OTZFOを使用してVISOFLEX-Mに変更する。
VISOFLEX-MをライカRマウントで使用するためには、さらにLeica 14167という、Leica M(VISOFLEX-M) to Leica R マウント レンズ アダプターを加える。
最短撮影距離はヘリコイド16464 / OTZFOが比較的長く繰り出せる構造なので0.9mと寄れるレンズとなる。Mマウントヘリコイドを使用した場合は最短撮影距離は1.5mだ。
エルマー 13.5cm(F4)とヘクトール 13.5cmは、専用のショートヘリコイドに装着すると、VISOFLEX-L39に変更できる。
VISOFLEX-L39はOUBIO/16466を使用するとVISOFLEX-Mマウントに変更できる。
3.中判デジタルカメラ
テレ・エルマーをXASSELBLAD X2Dで使用すると、35mm判換算で108mm相当となる。デジタル中判カメラの44 x 33mmのセンサーサイズを完全にカバーしており、フィルム時代に645で問題ないと言われたイメージサークルの広さはその通りだ。
前ボケ、後ボケともに癖は無く、グルグル回るような怪しいボケ方はしない。F4でもピントは薄く合焦部を強調した撮影が可能である。上の写真は、レンズ本体+OTFZO(16464)+16466M+NOVOFLEX R-Xマウントアダプターの4段重ねとなっている。
4.無限遠について
以前から、無限遠が怪しいと思っていたので、どこで寸法が狂っているのか確認した。その結果、レンズヘッドとOTFZO(16464)の隙間をカバーする保護リングの厚みが過剰であることがわかった。
具体的には保護リングを取り除いてヘリコイドとレンズを装着した際の隙間は6.7mm、この状態で無限遠に合焦するため問題は無い。保護リングの厚みを測定すると保護リング無しのときの6.7mmより0.8mm長い7.5mmであったので、保護リングをレンズに装着するとレンズが0.8mm分最初から繰り出された状態になるので、レンズが無限遠で使用できないことがわかった。
保護リングはアルミ製なので、紙ヤスリで保護リングを少しずつ削りながら無限遠で撮影をして、保護リングを0.6mm削った厚み6.9mmのところで無限遠にて撮影できる状態になった。200番台の紙やすりでゴリゴリ削ったが、こういうとき旋盤など電動加工機があればよいなと思う。
保護リングがないときの6.7mmはオーバーインフ(無限遠を越える)状態のようだ。
レンズの無限遠から使用するためには、カメラのフランジバックが重要で、以下にライカマウントのフランジバックを記した。
マウント | フランジバック | 備考 |
Lマウント | 20mm | |
Mマウント | 27.8mm | |
L39マウント | 28.8mm | Mマウントアダプターは厚み1mm |
Rマウント | 47.4mm | R-Mマウントアダプターは各社より提供 |
Sマウント | 53.3mm | フランジバックの公式値が見当たらないため、CONTAX 645マウントの64mmからS-C645アダプターの厚み10.7mmを引いた値を記載する。 |
VISO-M | 68.8mm | 14127でRマウント |
VISO-L39 | 91.1mm | OUBIO/16466でVISO-Mマウント |
仕様と比較
項目 | テレ・エルマー | エルマー | ヘクトール | エルマー |
焦点距離(cm) | 13.5 | ← | ← | ← |
最大絞り | 4 | ← | 4.5 | ← |
最小絞り | 22 | 32 | ← | ← |
絞り羽根 | 10 | 12 | 15 | ← |
レンズ構成 | 3群5枚 | 4群4枚 | 3群4枚 | ← |
最短撮影距離(m) | 1.5 (M-mount) | ← (M-mount) | ← (M-mount) | ← (L39-mount) |
レンズ長(mm) | 63.6 (VISOFLEX-M) | 62.5 (VISOFLEX-L39) | 63.6 (VISOFLEX-L39) | 124 (L39) |
レンズ最大径(mm) | 60 | 52 | 52 | 52 |
フィルター径(mm) | 39 | ← | ← | ← |
レンズフード | IUFOO 12575 | ← | ← | ← |
レンズマウント | VISO-M | VISO-L39 | VISO-L39 | ? |
フランジバック(mm) | 40 | 62.5 | 62.5 | ? |
重量(g) | 342 (VISOFLEX-M) | 165 (VISOFLEX-L39) | 247 (VISOFLEX-L39) | 517 (L39) |
製造本数 | 28,300- | 25,900- | 108,088- | 5,500- |
リリース年 | 1964〜 | 1960-1963 | 1933-1960 | cc |
参考文献・参考リンク
- LEICA Wiki TELE ELMAR 4/135
- LEICA Wiki ELMAR 13.5cm F4
- LEICA Wiki HEKTOR 13.5cm F4.5
- LEICA Wiki ELMAR 13.5cm F4.5
更新履歴
- 2024.10.5
- 2024.05.21
- 2023.03.25