LEICA APO SUMMICRON R 90mm ASPH.
レアRマウント・中望遠レンズ
アポズミクロン R 90mm F2 ASPHのレビューと写真作例
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目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影1:LEICA M typ240
- Photo example 2: CANON EOS-1Ds MK III
- Photo example 3: HASSELBLAD X2D
レビュー
1.使用感
アポ・ズミクロン R 90mm ASPH.(以下、アポズミ90R)は、焦点距離90mmのライカR用中望遠レンズ。
写りは最新の非球面を採用したレンズで逆光耐性もあり、何本か所有している中望遠レンズの中ではここぞという場面でこのレンズを選択することが多い。
イメージサークルは広く、HASSELBLAD X2D(X1D / X1DII / X907 / FUJI-GFX)で採用されている44*33mmの中判デジタルセンサーの範囲を完全にカバーしている。35mm判センサーで使用するときは十分な余裕がある。
アポズミ90Rは入手性の困難さにおいて、かなり高レベルなレアレンズの一つだ。何せ中古市場に出てくることが珍しい。Mマウントのアポ・ズミクロン 90mm ASPH.(以下、アポズミ90M)は2024年現在、現行品なので新品の購入が可能で、中古市場でもそれなりに見かけるのとは状況が大きく異なる。
アポズミ90Rは、ebayでは見かけることがあるため、どうしても入手したい場合は海外からの調達になると考える。しかし、2020年代の円安によって安く買うことはできない。
2.レンズ概要
アポズミ90Rはすべてのレンズが独立した5群5枚構成で、前群に3枚のレンズを配置し3枚目のレンズの前側が非球面レンズとなっている。ゾナー形式のレンズは非球面レンズのある箇所に2枚か3枚の貼り合わせレンズを配置しており、非球面レンズの採用により補正量の適正化とバルサム切れの心配などから解放されていると推測される。後群は2枚のレンズを配置し、従来のズミクロンは後群が1枚レンズであったことから、この部分での補正も適正化されていると考えられる。
デジタルミラーレス・ライカ SL typ601とライカ純正のマウントアダプター、Leica R-Adapter L(16076)で使用した場合、焦点距離と絞り値などがEXIFに記録されるのはずぼらな人間にとっては大変有用である。DMR(LEICA Digital Module R)は焦点距離のみEXIFに記録される。
アポズミ90Rはフィルター径60mmを採用し、鏡筒が太くなり重厚感のあり、旧ズミクロン R 90よりも太くなっている。しかし、Rマウントレンズで人気レンズの一つであるズミルックス R 80mmよりは、180g程度軽いため小型のミラーレスカメラに付けた際のバランスが良い。
鏡筒前部に引き出し式のフードを装備しているが、引き出し量は控えめで、遮光効果は高くないため、撮影時に引き出して使うことは少ない。
鏡筒デザインは新世代のRマウントレンズに共通するは凹凸がないストレートな形状で、Mマウント版のマウントに向かって絞られるデザインと姿を異にする。ファットでストレートな鏡筒のデザインを筆者はとても好ましく思う。
アポズミ90Rのレンズ後玉の出っ張り量は少ないため、EOS-1Ds MKIIIにマウントアダプター経由で取り付けた際も問題なく動作した。
3.競合との比較
アポズミ90Rはとアポズミ90Mのレンズ構成は同一のように見える。一時両方を所有していたとき撮り比べた結果では、アポズミ90Mは中央部が先鋭で周囲が少し緩く、アポズミ90Rは画面全体でフラットで解像感が一定するという結果であり、案外違いがでるものだと感じた。これは筆者の目にそう見えただけかレンズ個体の個性という可能性もあるため、実際に撮影者自身で試してみるしかないだろう。
両者のスペックを比べて大きく異なるのは、最短撮影距離でアポズミ90Rは0.7m、アポズミ90Mは1mとなっており、焦点距離90mmの中望遠レンズにおいて、この0.3mという差はアポズミ90Rの大きなアドバンテージだ。
アポズミ90Mも延長チューブの使用やミラーレスカメラを使用して補助ヘリコイドをつけるなどすれば、最短撮影距離の調節は可能だ。しかし、ライカは1mより短い距離の描写性能に関しては考慮していないと考えられ、画質の劣化をおこす場合もある。
仕様・比較
項目 | APO SUMMICRON R | APO SUMMICRON M | SUMMICRON R |
焦点距離(mm) | 90.9 | ← | 90 |
最大絞り | 2 | ← | ← |
最小絞り | 16 | ← | ← |
絞り羽根 | 8 | ← | ← |
レンズ構成 | 5群5枚 | ← | 4群5枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 1.0 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 59.3(Rマウント) | 78(Mマウント) | 61.4(Rマウント) |
レンズ最大径(mm) | 71 | 64 | 69 |
フィルター径(mm) | 60 | 55 | ← |
重量(g) | 520 | 660 | 522 |
リリース年 | 2002〜2003 | 1997〜 | 1970〜1995 |
製造本数 | 2000 | 14,820 (〜2005まで) | 37,954 |
参考文献・参考リンク
- 参考文献:R型ライカのすべて/著者:中村信一/朝日ソノラマ編 Ads by Amazon
- 参考文献:ライカカメラの買い方マガジン VOL.1/Gakken(2003.10.30発行)(最初のページに本レンズの紹介が1ページだけある。)
- 参考リンク:APO SUMMICRON R 90mm F2 ASPH. Leica wiki
- APO SUMMICRON M 2/90 ASPH. (Shige’s hobby内ページへのリンク)
更新履歴
- 2024.09.18
- 2024.02.13:改稿
- 2022.11.02:初稿
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