アベノン製L39 AVENON 28mm

AVENON 28mm F3.5をLEICA M8 デジタルレンジファインダーカメラで使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影は、LEICA M8.2
- 写真作例の撮影は、EPSON R-D1
レビュー


1.概要
アベノン 28mmは1982年、1992年と1997年に、今は無きアベノン光機がリリースしたライカL39スクリューマウントの広角レンズ。
このレンズはマイナーチェンジを何度かしており、ここでは1982年から1997年までを前期型と呼び、大きな変更があった1997年にリリースされたレンズを後期型と呼ぶ。
前期型と後期型の違いはフォーカスレバーの形状、絞り羽根の枚数と最短撮影距離だ。
フォーカスレバーの違いは、前期型は上写真にあるような古いライカ・エルマー50mmなどに見られるピン形状、後期型はズミクロン6枚玉などに似た二股形状となっている。
絞り羽根の違いは前期型が6枚、後期型が10枚。
最短撮影距離は、前期型が1m、後期型が0.75m。*1
前期型は銀色と黒色があり後期は黒色だけである。後期型を探す場合はフォーカスレバーの形状、絞り羽根の枚数を確認する必要がある。
レンズ構成は前期、後期ともにかわらず、4群6枚のガウス型となっている。
レンズコーティングは年代毎に進化している可能性があるが詳しい資料を持っていない。
レンズの付属品は、前期型はラッパ型のネジ込みフードとファインダーが付属している。
ブラック後期型はレンズ単体で入手したため付属品は不明だが、中古市場ではレンズ単体の箱で売られているのを見かけたので、ブラック後期型にはファインダーは付属していないと思われる。
アベノンは28mmレンズの他、より広角の21mmレンズも提供した。
- *1:WikiにはすべてのAVENON 28mmの最短撮影距離が1mになっているが、二股フォーカスレバーの後期型は0.8mと目盛りが刻まれ、そこからさらに繰り出しが可能で0.75mとなっている。ebayなどで売られているAVENON 28mmの写真で距離計目盛りが確認できる。
2.使用感
焦点距離28mmは汎用性が高いので、アベノン28mmもアベノン21mmよりはよく持ち出していた。
実写を見てもわかるとおり、APS-H以下のセンサーで使う分には申し分の無い性能だが、最短撮影距離が1mなところは残念だ。
コンパクトなレンズなので、コンパクトなカメラが似合う。このレンズは主にR-D1とM8/M8.2で使っていた。M9を使用にはすでに売却してしまいフルサイズでの写りは確かめることができなかった。
アベノンレンズは2000年代はかなりリーズナブルな価格で取引されていたが、2023年現在では中古市場で品は見かけるが価格は上昇傾向にあり、描写など現代レンズにはかなわないため、実用で考えるとその価格の価値があるかは微妙だと思う。コレクターは手に入れたいので価格がいくらになろうがあまり気にしないだろう。
このレンズをもう一度入手するか?と問われると正直なところ微妙である。焦点距離28mmはLEICA-L39スクリューマウント、Mマウント共に多くの個性的なレンズがあり、手元に残した焦点距離28mmのレンジファインダーレンズはELMARIT-M 28mmの初代対称型とCONTAX G 28mmとMs-Optics製の数本で、使用した28mmレンズの中でアベノン28mmの存在感は薄かった。
3.まとめ
結論としてAVENON 28mm F3.5をまとめると、28mmではあまり例のないダブルガウス型の28mmを使ってみたいという衝動があるか無いかだろう。写りに関してはそれほど特徴があるわけでは無いため、許容できる範囲の価格で見かけたら購入するくらいのレンズだ。
ダブルガウス型の28mmは以外と少なく、所有している、もしくは過去に所有したレンズの中ではMs-OpticsのAPOQUALIA G 28mmしか見当たらない。薄型で少し気になった中華のBrightin Star 28mm F2.8もダブルガウス型ではない。
28mm F3.5レンズ
28mm F3.5のレンジファインダーカメラ向けレンズは、現代レンズではVoigtlanderのCOLOR SKOPAR 28mm F3.5、MINOLTA G-ROKKOR 28mm F3.5があり、近代レンズではCANON S 28mm F3.5、W-NIKKOR 28mm F3.5がある。
現代レンズのうち、MINOLTA G-ROKKOR 28mm F3.5はコンパクトカメラ TC-1から転用したレンズで描写に独特の癖があるため、COLOR SKOPAR 28mm F3.5と比較してみた。
AVENON 28mmは極オーソドックスなダブルガウス型、COLOR SKOPAR 28mmは前玉に設計上の工夫を感じる現代的なレンズに仕上がっている。中心部は両レンズ共に問題のない描写をしており、レンズの違いは周辺部の描写にあらわれそうだが、両レンズの作例はすべて35mmフルサイズセンサーより小さなセンサーのカメラで撮影しているため、周辺部の善し悪しについては判断できない。
- レンズ構成図はアベノンは古いチラシの図をトレースして引用し、Voigtlanderはコシナの発行したPDFより引用した。図のサイズと位置はこちらで調整しているため、厳密ではない。


アベノンとは
アベノン光機はスーパーワイド・21mmのほかに、28mm、Avenon P.H AIR LENS・ピンホールレンズの3種をL39スクリューマウントでリリースしている。ピンホール以外のレンズは他社にOEM供給され、コバレックス(Kobalkux)銘、などでリリースされている。
また、CONTAX-GマウントレンズをライカL39スクリューマウントで距離計連動に改造するサービスもおこなっており、手元にCONTAX-G 28mmのLマウント改造品がある。
書籍「世界のライカレンズ Part2」写真工業出版社(ISBN978-4-87956-065-0)のP94に中村文夫さんがAVENON SUPER WIDE 21mmのレビュー、P96に萩谷剛さんがAVENON 28mmのレビューをそれぞれ寄稿している。こちらで所有している2刷りの書籍では、萩谷剛さんのレビューに載っている28mmのレンズ構成図は、4群6枚は正しいが後群のレンズの構成がAVENON作成のチラシと異なる。仕様・比較で掲載したレンズ構成図は、AVENONのチラシの図を参考にしている。
アベノン光機に関しては、あまり詳しい情報はWebに残っておらず、先述した中村文夫さんがCapaに寄稿した記事で少し触れられており、先述の書籍「世界のライカレンズ Part2」写真工業出版社(ISBN978-4-87956-065-0)の萩谷剛さんのAVENON 28mmのレビューにてアベノン光機の社長の名前が「阿部毅」との記述がみられる。この情報も真偽を確かめるためには、過去の雑誌などを探す必要があるが、ウェブでアベノンについてまとめられた情報も出典不明のものが多い。
仕様・競合レンズ比較
項目 | 前期(銀色・黒色) | 後期(黒色) | Color Skopar |
焦点距離(mm) | 28 | 28 | 28 |
最大絞り | 3.5 | 3.5 | 3.5 |
最小絞り | 16 | 16 | 22 |
絞り羽根 | 6 | 10 | 10 |
レンズ構成 | 4群6枚 | 4群6枚 | 5群7枚 |
最短撮影距離(m) | 1.0 | 0.75 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 17.4 | 17.4 | 25.8 |
レンズ最大径(mm) | 51 | 51 | 50 |
フィルター径(mm) | 43 | 43 | 39 |
レンズフード | ネジ込み円筒ラッパ型 | ネジ込み円筒ラッパ型 | ネジ込み円筒型、角形LH-1 |
マウント | L39 | L39 | L39 |
重量(g) | 100 | 100 | 163 |
リリース年 | 1982,1992 | 1997 | 2002年5月 |
価格(税別) | ? | ? | シルバー ¥45,000 ブラックペイント ¥48,000 |
参考リンク
- THE MAP TIMES AVENON 28mm
- 「世界のライカレンズ Part2」写真工業出版社 ・Ads by Amazon
- ライカ通信 No.3 P11,P92に記事あり・Ads by Amazon
- Brightin Star 28mm F2.8・KENKO TOKINA公式サイト
- COLOR SKOPAR 28mm F3.5・Shige’s hobby
- MINOLTA G-ROKKOR 28mm F3.5・Shige’s hobby
- Ms-Optics APOQUALIA G 28mm 1型・Shige’s hobby
- Ms-Optics APOQUALIA G 28mm 2型・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.4.1
- 2024.9.6
- 2024.2.7:改稿
- 2023.6.22:初稿
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