C645 テレコン対応望遠レンズ SONNAR 210

Kyocera / Contax CONTAX 645マウント 望遠レンズ、SONNAR 210mm F4とMutar x1.4をLEICA S Typ007で使用したレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- レンズ単体・写真作例の撮影はLEICA S typ007
- レンズ+Mutar x1.4・写真作例の撮影はLEICA S typ007
レビュー


1.概要
ゾナー210mmは京セラが1999年に中判カメラ・コンタックス645向けにリリースした焦点距離210mmの望遠レンズ。
主な仕様は以下の通りで、詳細は表に載せている。
- 開放F値 4
- レンズ構成 4群7枚
- 最短撮影距離 1.4m
- フード 円筒型バヨネットフード・GB-74
- オプションテレコン Mutar T* 1.4x
レンズのイメージサークルは645フォーマットに対応しているため、焦点距離210mmはオリジナルのコンタックス645フィルムカメラでは0.6倍の126mmとなる。
ライカSの45x30mmセンサーでは0.8倍の168mmとなる。
ゾナー 210mmをLEICA S Typ007へ16038 [ライカ SアダプターC]を経由して装着すると、35mm判換算・焦点距離168mm(210mm*0.8)となる。カメラシステム重量は2.7kgとなる。
LEICA Sシリーズで使う場合はテレコン・Mutar T* 1.4xも使用可能だがMutarを装着すると、さらに510gが足されて合計で3kgを超える。
このMutarを使用した場合、実焦点距離は1.4倍の294mm、開放F値5.6と、いわゆるサンゴロー(300mm F5.6)と呼ばれるレンズとなる。35mm判換算にした場合は235mm F5.6のレンズとなる。
レンズに絞り環を装備しているが、ライカSで使う場合、レンズに装備された絞り環は無視され、カメラ側で絞り値を設定して撮影する。


2.使用感
ゾナー210mmはF4と控えめの絞り開放値であるため、絞り開放から十分な解像度を持つことが確認できる。前後のボケも癖がなく美しい。
Mutar x1.4を追加した場合の画質は、概ねオリジナルレンズを損なうことはないが、木々の縁にパープル(紫色)のフリンジがあらわれることがある。とくに露出オーバー目の撮影をするとパープルのフリンジが目立ってくる。これは、SONNAR 210mmの色収差補正がアポクロマートになっていないことが原因の一つとして考えられる。
Tele Apo Tessar 350mmはレンズがアポクロマート設計なので色収差が抑えられている可能性がある。
このレンズの特徴の一つは最短撮影距離が短いことで、最短撮影距離1.4mはCONTAX 645レンズラインでは1つ下の焦点距離であるSonnar 140mm(1.3m)と遜色なく、焦点距離210mmと相俟ってかなり被写体に寄ることができる。
オートフォーカス(以下、AF)のフォーカス速度はゾナー 140mmとほぼ同じで、合焦精度もそれほどよくない特徴も同じだ。
近接や被写体のコントラストが低い場合、合焦位置を通り過ぎて往復することがありマニュアルフォーカス(MF)で割り込みをするか、最初からMFを使った方がストレスが少ない。
コンタックス645は電子マウントで高価にはなるけれど、SONY E向けにフォーカルレデューサー(0.7倍)を内蔵したAF対応アダプターもある。これを使うと35mmセンサーでオリジナルに近い画角での撮影を楽しむこともできる。
3.まとめ
このゾナー210mmの中古価格は恐ろしいほど値崩れしており、性能のよい望遠レンズを求める場合は候補になるだろう。一眼レフの200mmと比べると大きく重いことは覚悟する必要がある。
また、コンタックス645はそれほどメジャーなカメラシステムでは無いため、マウントアダプターの入手性が懸念点としてある。
仕様・レンズ比較
ゾナー210mmはハッセルブラッドのHC 210mmと焦点距離、絞り開放値が一致するため仕様を比較した。
詳細な表はこちらで、ゾナー210mmのレンズ構成は4群7枚、ハッセルブラッドHC210の6群9枚と比べるとシンプルな構成だ。
HC210mmと比べると外径と重量は10%程度小さく軽いが、下図比較で見るとわかるとおりゾナー 210mmはHC210mmよりレンズ鏡筒が長い。
HC210mmはその太さゆえに大柄に感じられ、シャッターユニットが入っているためゾナーよりカメラシステム重量は重くなる。所有しているHC 210mmはハッセルブラッド X2Dでは問題なく使用できるが、LEICA Sでは使用できないレンズだ。何故使用できないか原因は不明である。
- レンズ構成図は各社のPDFより引用し、サイズはこちらで調整しているため、厳密ではない。


レンズ名 | SONNAR210mm | HASSELBLAD HC 210mm |
焦点距離(mm) | 210 | 211.1 |
最大絞り | 4 | 4 |
最小絞り | 45 | 45 |
レンズ構成 | 4群7枚 | 6群10枚 |
最短撮影距離(m) | 1.4 | 1.8 |
レンズ長(mm) | 177 | 168 |
レンズ最大径(mm) | 81 | 86 |
フィルター径(mm) | 72 | 77 |
重量(g) | 1178 | 1320 |
リリース年 | 1999以降 ボディと同時発売かは不明 | |
価格 | 250,000円 2023年中古価格は3万円〜 | 2023年中古価格は10万円〜 |
参考リンク
- ZEISS History product for CONTAX645 Sonnar210mm
- SUNRISE Photo CONTAX645レビュー
- HASSELBLAD HC 210mm・Shige’s hobby
更新履歴
- 2025.4.8
- 2024.9.2
- 2024.2.11:改稿
- 2023.05.10:初稿
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