2代目G・AFレンズ交換式カメラ
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Kyocera CONTAX G2のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
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レビュー
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1.概要
コンタックス G2は京セラが1996年にコンタックスブランドでリリースしたオートフォーカス(以下、AF)35mmフィルムカメラ。
G2は名前のとおり、コンタックス G1の後継カメラであり、主な変更点はAF合焦速度、合焦精度の改善、撮影コマ数が秒4コマ、シャッターの最高速は1/6000となった。
以下の機能は、G1から変更はなく、ファインダーは実像式ズームファインダーで、レンズの焦点距離に合わせて視野が可変するが、ピント位置を確認する方法はなく、測距表示とAF合焦マークから判断する。測光方式は、オートフォーカスレンズはTTL(Through the Lens)実絞り測光(中央重点平均測光)で、マニュアルフォーカスのホロゴン16mmのみ外部測光、ファインダー倍率は0.57倍、電源は3Vリチウム電池のCR-2(CR2)を2本使用するのはG1と同じだ。
2.使用感
G2はグリップの斜め上にピント調節用のダイヤルが設置され、カメラがG1よりも一回り大きくなった。
AF関連の改善によりG2の合焦速度はG1よりは早くなり合焦精度が向上したが、その改善をもってしても最長焦点距離のゾナー90mmを使った際のピント歩留まりは少しよくなった程度で常用したいというレンズにならなかった。
当時被写体としていた猫を撮る場合にしばしば遭遇する、藪、フェンスが被写体である猫の前に立ち塞がる撮影条件では、撮影したい猫よりもコントラスト変化が大きいフェンスや藪に合焦する癖は前モデルのG1から変わっていない。
もちろん、上記条件はAFにとって難しい条件であることは分かっており、一眼レフであればマニュアルフォーカスで修正できるが、Gシリーズはピント位置は大まかな距離情報から判断するしかなく、よほど距離感のいい撮影者でなければ、目的の場所にピントをあわせることは困難だ。
マニュアルフォーカスについてはG1の頃から課題を感じていたようで、G2ではフォーカスダイヤルの位置をG1の軍艦トップからカメラ前面に変更した。
しかし、この位置にフォーカスダイヤルあるから、マニュアルフォーカスがしやすいわけはなく、G1のダイヤル位置は親指でダイヤルを回し、G2のダイヤル位置は人差し指で回す違いだけで、正直どちらでも慣れてしまえば操作性に違いはない。
むしろ、G1のピント距離を任意の数字で決め打ちできるダイヤルのほうが便利と思える。また、G2のダイヤルはカメラのシンプルな前面デザインには不似合いで好みではない。
シャッター最高速度の改善は、供給されるレンズの最大絞り値はF2止まりだったので、その速度を活用するシーンはほとんど無かった。ヤシカコンタックスのプラナー50mm F1.4をマウントアダプター経由で使う際に需要があったのかもしれないが、当時はそのような使いかには思い至らなかった。
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3.付加情報
- DIGITAL CONTAX G を想像する
- CONTAX G 交換レンズ
- 他社の類似デジタルカメラ
DIGITAL CONTAX G を想像する
Gシリーズに共通する撮影時にファインダーから、ピント位置を目視できない弱点の解消は原理的に難しく、AFレンズ交換式・ミラーレスカメラはこのG2で終わりとなる。後継のG3が発売されたとしても、フィルムカメラの場合は、それほど大きな変化はなかったと推測される。
デジタルカメラの可能性について考えると、Kyoceraがカメラ事業を撤退するのが2005年、EPSONのデジタルレンジファインダーR-D1が2004年にリリースされるので、当時の600万画素 APS-Cサイズセンサーを積んだ、デジタル・コンタックス Gを発売できる可能性は十分にあったと思われる。
デジタル・コンタックス Gが、R-D1と同程度の価格でリリースされていれば、AFによるピント精度の問題はフォーカスブラケットで枚数を撮影することにより解消できるため、レンズ資産を含めて有望なカメラになった可能性があるだけに残念だ。
APS-Cサイズセンサー機から、フルサイズセンサー機へステップアップしていけば、現在のライカと同じポジションを得られたかもしれないことを考えると非常にもったいないことをしたと思う。
CONTAX G 交換レンズ
専用レンズは、G1リリース時の16mm、28mm、45mm、90mmにプラスして、G2リリース時に21mm、35mm、その少しあとに35-70mmズームがリリースされ、16mm~90mmの5本と1本のズームレンズでレンズラインナップが完成した。
歴史のある一眼レフカメラと比べると少し寂しいレンズラインナップだが、普通に写真を楽しむならこれだけあれば十分だ。
レンズラインナップの薄さを補うために、マウントアダプタ GA-1経由でヤシカ・コンタックスの一眼レフ用レンズも使えるが、このカメラに装着してもAFは使えないため、カメラ内蔵の測距機能を使用してレンズ側のフォーカスリングを回してピント位置を設定するため実用的ではない。
G2はG1を継承するチタンゴールドの外装と、ボディとレンズがセットになったブラックが存在している。ブラック外装バージョンに合わせてホロゴン16mm以外のレンズは黒鏡筒のレンズも発売されている。こちらはチタンゴールドのレンズと比べて製造本数が少ないため、中古市場では高価格で取引されている。手元にはブラック鏡筒でMマウントに改造したビオゴン 28mmとゾナー 90mmがある。
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他社の類似デジタルカメラ
CONTAX G1、G2のコンセプトに近いカメラは、フジフィルムがリリースしているレンズ交換式X-Proシリーズと固定レンズX100シリーズだと考える。
上記のカメラは、撮影時のファインダー部に、素通しの光学ファインダー(OVF) + 電子ビューファインダー(EVF)の構成をしており、ファインダー撮影の撮影結果が不安なときの代替手段が提供されている。また、背面液晶によるプレビューで即時に撮影結果が確認できるという点もデジタルカメラのアドバンテージだ。
このコンセプトは撮影者の趣味性という部分に大きく因っており、カメラ機能だけを考えた場合、高精細なEVFがあれば、OVFを撮影時に積極的に使う理由はほとんどない。もちろん趣味性というのはカメラとして大きな意味があり、撮影者がOVF越しに見た景色を切り取っているという、撮影者の気分は撮影結果に大きく反映されるはずである。
しかし、カメラのファインダーOVFを追加するということは、EVF単体のカメラと比べると、部品数の増加、製造難度の上昇などのコストアップ要因となるため、カメラの価格は高額となる。その点については、フジフィルムの販売戦略で高級カメラとしての立ち位置を確保したことによって、両シリーズはデジタルカメラ市場で生き残ることに成功したと考えられる。
それでも、X-Proシリーズは2019年にX-Pro3が発売されてから2024年で5年が経過するため、X-Pro1からX-Pro2は4年、X-Pro2からX-Pro3が3年でモデルチェンジしていることを考えると期間は空いているが、カメラのリリース間隔は総じて長くなっているため、まだ5年しか経っていないと言えるかもしれないので、今後X-Pro4が発売されるかは興味深いところだ。
レンズ固定のX100シリーズは、最新のX100VIが2024年に発売されている。こちらは発売直後から入手性の問題が話題になっており、転売屋問題などと絡んで、カメラ需要と供給の難しさを感じさせる。
仕様・比較
項目 | CONTAX G1 | CONTAX G2 |
ファインダー | 実像式ズームファインダー | 実像式ズームファインダー |
ファインダー倍率 (無限遠、45mm、視度-1D) | 0.57倍 | 0.57倍 |
視野率 (無限遠、45mm、視度-1D) | 90% | 90% |
AF方式 | パッシブ コンティニュアス非対応 | パッシブ/赤外線アクティブ併用 コンティニュアス対応 |
連続撮影速度 | 秒2コマ | 秒4コマ |
シャッター | 電子制御・縦走行フォーカルプレンシャッター | 電子制御・縦走行フォーカルプレンシャッター |
シャッター速度 | 1/2000〜16秒(絞り優先・自動) 1/2000〜1秒(マニュアル) | 1/6000〜16秒(絞り優先・自動) 1/4000〜1秒(マニュアル) |
バッテリー | CR2-3V 2本 | CR2-3V 2本 |
外形寸法(mm) 幅 x 高さ x 奥行 | 133 × 77 × 42 | 139 x 80 x 45 |
重量(g) | 460 | 560 |
定価 | 143,000円 | 163,000円 |
コンタックス G 専用レンズ リスト
焦点距離 | 名称 | リリース年 |
16mm | HOLOGON 16mm | 1996年 |
28mm | BIOGON 28mm | 1994年 |
35mm | PLANAR 35mm | 1996年 |
45mm | PLANAR 45mm | 1994年 |
90mm | SONNAR 90mm | 1994年 |
35-70mm | VARIO SONNAR 35-70 | 1996年 |
オプション
- マウントアダプター GA-1
- データバック GD-1
- パワーパックアダプター GP-1
- パワーパック P-8
- フラッシュ TLA140
- フラッシュ TLA200
参考リンク
更新履歴
- 2025.2.22
- 2025.1.2
- 2024.7.31
- 2024.1.29