ELMARIT M 28mm 1st
伝説のMマウント広角レンズ
LEICA ELMARIT M 28mm F2.8(初代)のレビューと写真作例
目次
ギャラリー
- 写真作例の撮影は、LEICA M9、LEICA M10、LEICA M typ240
レビュー
1.概要
エルマリート M 28mmは、1964年にリリースされたライカMマウントの広角レンズで、1966年の2年間で製造が終了し、3200本が市場に提供されている。
レンズ構成は6群9枚で、対称型に近いためレンズ後玉がカメラ内部に侵入する。絞り羽根は8枚で最短撮影距離は0.7mとなっており。
レンズフードは12501で、Super Angulon-M 21/3.4、2代目 ELMARIT M 2.8/28と共通である。
レンズマウント部が古い構造であるため、ライカ社のレンズ認識6bitコード改造には対応していない。
2.使用感
Mマウントの中でも、この9枚玉のエルマリート M 28mmは人気レンズの一つで、人気では8枚玉と呼ばれるズミクロン 35mm F2と双璧をなしている。
手元にあるレンズは、2197xxxで1966年のカナダ製造である。鏡筒に少しガタつきがあるが、レンズはクリアー、絞りも正常に動作している。レンズストッパーの色は銀色で、feet距離目盛りは黄色だ。
製造ロットによってfeet目盛りが赤色、レンズトッパーが黒色のレンズもある。
feet目盛りは色入れさえすればいかようにも変更できるので、オリジナルが保証されない限りそれほどこだわる物ではないと思っている。
ライカRマウントレンズの蒐集のために、所有していた大部分のM型レンズを売ってしまったがこのレンズは気に入っており今も使用している。
4代目ELMARIT-MとSUMMILUX 1.4/28mm以外のライカMマウント用28mm(2代目、3代目、5代目、SUMMARON 5.6/28、HEKTOR 6.3/28)は使用したことがあるが、絶妙に柔らかさがるこのレンズの描写を最も気に入っている。
本レンズの注意点として、レンズ後部がカメラ内部に入り込むため、一部のカメラ、ヘキサーRF、LEICA CLEなどは、自動測光を利用していると正しい測光値にならない場合があり、アンダー気味に写ることが多い。
また、ファインダー枠の表示にも注意が必要で、ファインダー枠を決める爪長さが最も短い35 / 135mm仕様となっているため、ヘキサーRFやLEICA M6など35mmファインダー枠を持つカメラでは、35mm枠が表示される。これは28mmファインダー枠が実用化される前に製造されたレンズであるため、外付けファインダーの使用が前提のためと考えられる。
面白いのはMINOLTA CLEは28mmファインダー枠が表示されることで、これはMINOLTA CLEのファインダー枠表示の設定が通常のLEICA Mとは異なり、Mレンズの35/135mmを表示するの爪長さに28mm枠がセットされているためである。
初代エルマリート Mはすでに50年以上前のレンズだが、描写には全く問題が無く、人気があることがうなずけるレンズだ。後玉の位置はフィルム面に近いが、焦点距離28mmのためか、カラーキャストに敏感なLEICA M typ240で撮影しても、顕著なカラーキャストは発生しない。
3.付加情報
本レンズより古い焦点距離28mmのレンズは、スクリュー(L)マウントのSUMMARONが同じ焦点距離のレンズとして存在したが開放F値が5.6と暗いレンズであった。本レンズからレンズの開放F値を2.8まで明るくしエルマリート銘となった。
初代は後玉がフィルム面の近く、カメラ内に大きく入り込む形になっている。2代目以降はレトロフォーカス設計となり、後玉の飛び出し量は少なくなり、さまざまなカメラで利用ができる。
初代と2代目が全く同じ鏡筒という記述を見ることがあるが、2代目のストッパー付き鏡筒は初代とはまったく同じでは無く、レンズ付け根部分は同一に見えるが、レンズ前方は2代目のストッパー付き鏡筒のほうが3mmほど長くなっている。以下の比較画像はレンズを真横から撮った写真がなかったので真横に見えるように加工しているが縮尺などは維持している。
仕様
項目 | 初代 | 2代目 | 3代目 | ズミクロン | 4代目 | 5代目(非球面) |
焦点距離(mm) | 28 | 28 | 28 | 28 | 28 | 28 |
最大絞り | 2.8 | 2.8 | 2.8 | 2 | 2.8 | 2.8 |
最小絞り | 22 | 22 | 22 | 16 | 22 | 22 |
絞り羽根 | 8 | 8 | 8 | 10 | 8 | 10 |
レンズ構成 | 6群9枚 | 6群8枚 | 6群8枚 | 6群9枚 | 7群8枚 | 6群8枚 |
最短撮影距離(m) | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.7 0.4(New ver) | 0.7 | 0.7 |
レンズ長(mm) | 42 | 45 | 48 | 40.8 | 41.4 | 30.7 |
レンズ最大径(mm) | 52.5 | 52.5 | 52.5 | 52.5 | 52.5 | 52.5 |
フィルター径(mm) | 48 シリーズ7 | 48 | 49 | 46 | 46 | 39 |
重量(g) | 242 | – | – | 270 | 260 | 175 |
製造本数 | 3,200 | 7,050 | 17,115 | 5500以上 | 10,130 | 40,000以上 |
リリース年 | 1964-1966 | 1969-1978 | 1979-1991 | 2000〜 | 1992-2006 | 1993〜 |
参考文献・リンク
- LEICA WikiによるELMARIT-M 2.8/28(初代)・説明ページ
- 初代ELMARIT-M 2.8/28紹介ページ(Shige’s hobby内リンク)
- 2代目ELMARIT-M 2.8/28紹介ページ(Shige’s hobby内リンク)
- 3代目ELMARIT-M 2.8/28紹介ページ(Shige’s hobby内リンク)
- 5代目・非球面ELMARIT-M 2.8/28紹介ページ(Shige’s hobby内リンク)
- SUMMICRON M 28mm紹介ページ(Shige’s hobby内リンク)
更新履歴
- 2024.11.8
- 2024.02.21
- 2022.04.15
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